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「おかえりなさい」が心にしみる。「ふるさと小説5選」
年末年始とお盆は帰省シーズン。
生まれ故郷や住んでいた街、学生時代を過ごした場所を久しぶりに訪ねると、見覚えのある風景を懐かしく思ったり、かつてあったお店が無くなっていることに寂しくなったり、他愛もないやりとりを思い出して笑顔になったりしますよね。「いつか過ごした時間が保存されている場所」がどこかにあって、しばらく離れていても、自分のことを待っていてくれる。そんなふうに思えることが、故郷(ふるさと)というものの温かいイメージを作っているのかもしれません。
一方で、たとえその場所を訪れたことがなくても、初めて歩く街角で懐かしさを覚えたり、人の優しさに触れて自分がそこへ「帰ってきた」ような心地がしたりすることがあります。小説の中に登場する故郷も、知らないはずの場所が、昔から知っていたかのように感じられるものです。見知らぬ故郷に帰りたくなるような、懐かしくて温かいおすすめ作品を5つ、ご紹介します。
懐かしくて、温かい。心にしみる「ふるさと小説5選」
重松清『みんなのうた』(角川文庫刊)
世代を超えた心の交流を描く、家族とふるさとの物語。
夢やぶれて実家に戻ったレイコさんを待っていたのは、いつの間にかカラオケボックスの店長になっていた弟のタカツグで……。家族やふるさとの心の絆に、しぼんだ心が息を吹き返していく様子を描く感動長編!
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321304000055/
辻村深月『島はぼくらと』(講談社文庫刊)
17歳。卒業までは一緒にいよう。
この島の別れの言葉は「行ってきます」。きっと「おかえり」が待っているから。
瀬戸内海に浮かぶ島、冴島。朱里、衣花、源樹、新の四人は島の唯一の同級生。フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出る。ある日、四人は冴島に「幻の脚本」を探しにきたという見知らぬ青年に声をかけられる。淡い恋と友情、大人たちの覚悟。旅立ちの日はもうすぐ。別れるときは笑顔でいよう。
大人も子供も一生青春宣言!辻村深月の新たな代表作。
有川浩『県庁おもてなし課』(角川文庫刊)
ふるさとに恋する観光小説!
とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。若手職員・掛水は、地方振興企画の手始めに、人気作家に観光特使を依頼するが、しかし……!? お役所仕事と民間感覚の狭間で揺れる掛水の奮闘が始まった!
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321205000210/
小川糸『食堂かたつむり』(ポプラ文庫刊)
おいしくて、いとおしい。
同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。
巻末に番外編を収録。
髙田郁『ふるさと銀河線 軌道春秋』(双葉文庫刊)
大ベストセラー「みをつくし料理帖」シリーズの著者が、初めて現代の家族を舞台にした珠玉の短編集。
ふるさとへの愛と、夢への思いの間で揺れ動く少女が主人公の表題作をはじめ、遠い遠い先にある幸福を信じ、苦難のなかで真の生き方を追い求める人びとの姿を、美しい列車の風景を織りこみながら描いた感動的な9編を収録。
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