『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』より、第1章を特別公開!
>> 第 4 回「明治期に、天皇系統図から外された女性天皇のこと。」


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――対外危機が起こると、持ち上げられる神功皇后伝承。
蒙古を撃退した女性天皇としてもてはやされ、
今もたくさんの伝承や遺蹟が西日本各地に残る。
三浦 神功皇后はどういう形で語り継がれ、庶民の間で信仰されてきたんでしょうか。

 鎌倉時代「元寇」のときに、水や火や風を操り、蒙古を撃退したのは神功皇后だという縁起本が出て、広がりました。対外的な危機が神功皇后を押し上げた。
三浦 秀吉の朝鮮出兵のときは、「香椎宮に祀られてる神功皇后に、戦勝祈願しにいこうぜ」という感じだったんですか?

 いえ、向こうに行って思い出したんです。
三浦 えっ、遅くないか!?

 文禄ぶんろくの役のときには、現在の 38 度線付近にある臨津江りんしんこうの戦いで、武将の家臣が神功皇后の三韓征伐を思い出しています。
三浦 戦地でようやく、神功皇后のご加護で勝ちたいなと思いはじめた、と。確認ですが、神功皇后の三韓征伐って伝説なんですよね?

 はい、実証されていません。ただ平安時代から『日本書紀』の研究は盛んでしたので、宮中でも勉強会が開かれていた。何種類も研究書が出ていたので、皆一通り読んでいたのではないでしょうか。
三浦 戦地でようやく、神功皇后のご加護で勝ちたいなと思いはじめた、と。確認ですが、神功皇后の三韓征伐って伝説なんですよね?

 はい、実証されていません。ただ平安時代から『日本書紀』の研究は盛んでしたので、宮中でも勉強会が開かれていた。何種類も研究書が出ていたので、皆一通り読んでいたのではないでしょうか。
三浦 確か紫式部も、「日本紀のお局」とあだ名をつけられてますよね。「女なのに漢文オタ」みたいなニュアンスで。
 江戸時代より前の関東平野なんて、沿岸部は葦の生い茂る湿地帯でしょうし、文化も経済も西のほうが断然中心地ですから、神功皇后の伝説はあまり伝播でんぱしてきてないですよね? 関東育ちのものにとっては、ヤマトタケルのほうが親しみがある気がします。

書籍

『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』

原 武史 三浦 しをん

定価 1620円(本体1500円+税)

発売日:2019年02月27日

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    書籍

    「本の旅人2019年3月号」

    角川書店編集部

    定価 100円(本体93円+税)

    発売日:2019年02月27日

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