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さて、記念すべき第一回のベストレビューは、かすてらさんの『戒名探偵 卒塔婆くん』に決まりました。かすてらさん、ありがとうございました。



 こんなけったいな探偵、しかもこんなぶっとんだタイトル、誰が思い付くちゅーねん? 高殿円さんダッ!

レビュアー:かすてら さん 



 戒名からその人の生前の在り方や亡くなった状況を推理する戒名探偵。高校生の外場薫(そとば・かおる)こと「卒塔婆くん」。
 よく思いつくなー、面白そう!って、ことでこの作品に飛びつきました。

 漢字数文字に込められた意味を紐解き、人物や事件を解き明かすという手法はすごく面白いし、戒名が人生を凝縮したものであり推理できるものであることに気づいた作者の勝利。

 戒名から人生を垣間見られるなんて今まで気が付かなかったですよ。

 物静かで毒舌、戒名を見るなり一を聞いて十を知る、ぬるりと笑う卒塔婆くんがホームズならば、金満寺の次男坊にしてのほほんと生きる同級生の金満春馬(かねみつ・はるま)が、ワトソン役。住職代行の兄に扶養家族ならぬ「不要家族」扱いされながらではありますが、無理難題を吹っ掛けられて、致し方なく金満寺に供えられた高級菓子を賄賂に、卒塔婆君に泣きつきます。

 卒塔婆くんと住職代行のお兄さんのキャラが濃い濃い。主人公の春馬はやや薄め。

 さて、内容はと言いますと、短編、『戒名探偵 卒塔婆くん』『わが青春の麻三斤館』『西方十万億土の俗物』の三篇と中編『いまだ冬を見ず』一編プラス『エピローグ』の連作短中編になっています。

 それぞれに戒名にまつわる趣の違うストーリーが展開されます。

 私が好きなのは、最初の『戒名探偵 卒塔婆くん』。いきなり墓石が食卓の真ん中に置かれ、横暴なる兄から、この墓の縁故者をみつけろ、と無理やり命令されて、春馬は卒塔婆くんに助けを求めるという。唯一の手掛かりは墓に刻まれた戒名と年号のみ。

 ですが、卒塔婆くんは一目でこの墓石の主がどんな人間なのか見抜いてしまうのです。


「ほかに『蓮』とついている墓を探すことですね」
 と戒名の一文字について卒塔婆くん。

『蓮』にどんな謎が隠されいるのか。そうだったのかぁ……。そんなことがあったのか。
と、心がちょっと熱くなったり。


 中編の『いまだ冬を見ず』はペリリュー島にかかわるちょっと重いストーリー。

 本の中で次々に謎が提示されて、それが卒塔婆くんによって解明されていきます。

 ですがっ!

 読み終えたのに、最大の謎である「戒名仏教その他もろもろにめちゃ詳しい卒塔婆くんとは一体何者なのか?」が解き明かされておりません。
 それにそれに。外場くん、その名前自体にも秘密がある?

 謎はまだまだ、うーん知りたい。

『戒名探偵卒塔婆くん』続編プリーズ!


☆書誌ページ:https://www.kadokawa.co.jp/product/321806000293/
☆試し読み:https://kadobun.jp/readings/487/d5a7f10e
☆かすてら さんレビューページはこちら→https://www.honzuki.jp/book/270954/review/217177/(本が好き!)

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レビュアー:藤田 香織

あるある、わかるわかると同調&共感できる小説の心強さも捨てがたいが、面白さという意味では…

書籍

『戒名探偵 卒塔婆くん』

高殿 円

定価 1512円(本体1400円+税)

発売日:2018年11月02日

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