角川文庫キャラ文通信
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真夜中に営業している不思議な定食屋が舞台の、美味しく切ない青春小説「最後の晩ごはん」シリーズ。元俳優の海里をはじめとしたイケメンたちと絶品レシピが大人気で、ドラマ化もされた本作の読みどころや、構想中の新作について、椹野さんに教えていただきました!
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――長く愛されているシリーズですが、今回の新刊の読みどころはどこですか?
椹野:家族との絆が戻り、夏神さんの苦しみもある程度和らいだ今、海里が今の自分を見つめ直し、これから進むべき道を模索し始める一冊になりました。
いつもの面々に加え、なかなか個性的な新しいキャラクターも登場します。
読みどころは何といっても、ついに海里が……いえ、そこは本編を読んでのお楽しみで。
勿論、今回も美味しい食べ物がたくさん出てきますよ!
――なるほど! 海里君のことも気になりますが、椹野さんのお気に入りのキャラクターは誰ですか。
椹野:みんなお気に入りなのでその設問だとどうにも選べないのですが、「頼りにしている」と言い換えてしまうと、断然、夏神さんです。
実はプロットを練るときにいちばん最初に現れたキャラクターなのです。
勿論、「最後の晩ごはん」は海里の成長物語なのですが、夏神さんが物語の要石として存在してくれればこそ、私も安心して他のキャラクターを動かすことができると感じています。
――先生のお薦め芦屋めぐりスポットを教えてください。
椹野:今は保存修理工事中なのですが、フランク・ロイド・ライト設計の名建築「ヨドコウ迎賓館」を見学後、芦屋川沿いに海まで歩く、というのがお薦めです。
お天気のいい日だと気持ちのいいお散歩になりますし、気になった建物や店があったら、寄り道するのも素敵です。ドラマ「最後の晩ごはん」のロケ地になった河川敷に降りてみるのも楽しいと思います。
波打ち際が見えてくると、ちょっと感動しますよ。
――今までの文庫に掲載された中で、先生のお薦めレシピを教えてください。
椹野:なんといってもドーナツ! 「穴」部分も揚げて美味しく食べられるのは、ホームメードならではだと思います。イーストを使わないので、思い立ったらすぐ作れるところもいいですね。真ん中は、ペットボトルの蓋で上手に抜いてください。
あと、海里君のまかないボロネーゼ風パスタも大好きです。慣れると本当に短時間で作ることができます。レシピで海里君も言っていましたが、とにかく挽き肉の表面を焼き付けるのがポイント。
――今回のレシピも楽しんで頂きたいですね!それでは気になる今後の展開を教えてください。
椹野:何を言ってもネタバレになってしまいそうなので言いにくいのですが、淡海先生が海里を主人公のモデルにした小説を書き上げたとき、話が大きく動くことになると思います。人間は、永久に同じ場所に留まることはできない、というのも、「最後の晩ごはん」の大きなテーマの一つです。
――とても深いテーマですね。これから先のお話も楽しみです。先のお話、といえば、新作も準備中なんですよね?
椹野:「最後の晩ごはん」とは少し毛色が違う、しかし、命と心を丁寧に描いた物語を執筆中です。
過去に大きな過ちを犯し、償うことができずに苦しみ続ける法医学者と、とある事情から、彼のもとに身を寄せる、人間の肉体を持ちつつも、人間の心を持つことができずにいる「人ならざる」生き物。
そんな二人の男たちが、穏やかな日常、そして法では裁けない犯罪を通して、魂に刻まれた癒えない傷、人間の倫理、喜怒哀楽、矛盾、愛憎……そんな複雑な人間の心を探り、追い求めていく繊細なストーリーです。
楽しみにお待ちいただけたら、とても嬉しいです。
――とても楽しみです!! 最後に、読者の皆様に一言メッセージをお願いします。
椹野:これからも、美味しい食べ物、そして人が人を好きになる……いえ、魂が魂を好きになる、とてもシンプルですが愛おしいお話を、こつこつと紡いでいけたらと思っております。
末永くお付き合いいただけましたら幸いです。
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