6月に約1年半ぶりの新作アルバム『Proof』のリリースを控えるBTS(防弾少年団)。デビュー曲から最新曲までを網羅し、初公開の楽曲やデモバージョンの収録も発表されるなど連日話題が止まず、世界中から注目が集まっています。
そんな彼らの影響力は出版・書店業界にも波及。メンバーが紹介した本の数々は、「推しの愛読書を読んでみたい」とファンに読み継がれて大ヒット。「BTSセラー」(!)とまで呼ばれるようになっています。
2022年に入って新たに邦訳版が発売された「BTS関連本」のなかには、メンバーが誕生日のV LIVEで紹介していた短編集や、メンバーやファンになぞらえた詩を収録した詩集、楽曲のモチーフにしたとされる小説も!
今回はJ-HOPE、RMに馴染み深く、新たな「BTSセラー」となりうる最新の邦訳書籍3冊をご紹介します。
J-HOPEが誕生日に「今読んでいる本」と紹介した、長い余韻の短編集
『世の中に悪い人はいない』
J-HOPEが2021年の誕生日に、ファンと一緒に過ごすため行ったV LIVE(ライブ配信)で「今読んでいる本」と紹介した一冊。目を惹く猫のカバービジュアルが印象に残っているファンの方も多いはず。
一躍有名になった本書は、「短編小説よりも短い、てのひら小説」を集めたコンパクトな作品。さらりと読み始められる気軽さがありながらも、人生で起こるさまざまな出来事を包み込んでくれるような、長い余韻を感じさせる短編集です。J-HOPEが自身の節目に手に取っていたことを想像すると、物語をさらに深く味わうことができそう。ちょっと不思議であたたかいエピソードたちが、疲れてしまった心も癒してくれるはず。
書誌情報
『世の中に悪い人はいない』
(ウォン・ジェフン:著 岡崎暢子:訳/KADOKAWA)
「それでも、僕の周りはあたたかな人たちであふれている」
疲れた心を解きほぐす、小さなエピソードたちがついに邦訳!
心のいちばん奥にしまった「あのとき」「あのひと」のこと。
記憶の断片をやさしく包み、長い余韻を生む、不思議な短編集。
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322111000851/
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著者プロフィール
●ウォン・ジェフン:1988年世界文学冬号に詩「恐竜時代」を発表し、作品活動を開始。以後、詩集や長編小説、散文集などを幅広く出版。放送関連の仕事や、出版企画集団の企画委員など多岐にわたり活動する。
●岡崎 暢子:韓日翻訳、編集者。1973年生まれ。2002年に韓国留学。帰国後は韓国語学習誌、新聞や書籍などの編集を手掛け翻訳にも携わる。訳書に『あやうく一生懸命生きるところだった』(ダイヤモンド社)など。
5か国で刊行され累計40万部!
RMが楽曲のモチーフにしたのではと話題になった『ある日、僕が死にました』
RMが2017年に発表した楽曲『Always』のモチーフになったのではとファンの間で話題になった本書。
本と歌詞に共通するのは、今を力強く生きるために「死」を意識するというテーマ。また、『Always』には『ある日、僕が死にました』を彷彿とさせるような歌詞のフレーズも。韓国で出版された原書の帯には「BTSのRMさんが読んだ本」と掲載され、楽曲を詳しく読み解きたいファンたちの間で読み継がれてきました。
本書を読んだというARMYのひとりからは、「RMさんの楽曲『Always』は、人生で辛かったときの気持ちをそのまま残したという歌詞です。この本を読んで、ある日、突然自分が死んだと仮定することで、逆に強く生きていけるというテーマが歌われているようにも思えました」と、楽曲を読み解くきっかけになったという感想も寄せられています。
当時のRMの心情や楽曲を深く知る手がかりにもなる本作、ぜひチェックしてみてください。
書誌情報
『ある日、僕が死にました』
(イ・ギョンヘ:著 小笠原藤子:訳/KADOKAWA)
韓国のベストセラー青春小説が日本上陸!
「涙がとまらない」と韓国中で話題となり、5か国で累計40万部突破したベストセラー小説。親友を亡くした少女が、遺作の日記を手にしたことで始まる喪失と再生の物語。
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322112000135/
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著者プロフィール
●イ・ギョンヘ:晋州で生まれソウルで育つ。幼い頃、部屋で本を読んでいた経験から、小説家になる。絵本から小説まで多様な文章を書き、フランス語と英語の本を韓国語に訳す仕事もしている。
●小笠原 藤子:上智大学大学院ドイツ文学専攻「文学修士」。大学でドイツ語講師をしている。訳書に、『私が望むことを私もわからないとき 見失った自分を探し出す人生の文章』(ワニブックス)などがある。
J-HOPEが読んだ、想い焦がれる詩を収録。
詩集『あの人ひとりが この世のすべてだった頃』
J-HOPEがテレビ番組内で朗読した詩『ぼくが君を』が収録された詩集も、待望の邦訳版が発売!
本作の著者ナ・テジュは、詩集『花を見るように君を見る』が韓国で50万部のベストセラーとなるなど、若い世代を中心に絶大な人気を誇る詩人。世界的アイドルたちに愛され、人気韓国ドラマ『ゆれながら咲く花』や『ボーイフレンド』でも作品が引用されるなど、たびたび注目を集めています。
BTSメンバーではJ-HOPEとRMが折に触れて詩を引用したり、グループやARMYをナ・テジュの詩になぞらえたりするなど、ナ・テジュ作品はかねてからファンの間でもなじみ深いはず。
愛する人を想って詠んだ100編の傑作が収録された本書から、BTSやメンバーのこともより深く知ることができそうです。
書誌情報
『あの人ひとりが この世のすべてだった頃』
(ナ・テジュ:著 藤田麗子:訳/KADOKAWA)
韓国で50万部を突破しベストセラーとなった『花を見るように君を見る』著者による、待望の傑作100編をまとめた詩集。
BTSのJ-HOPEが読んだとして一躍有名になった詩『ぼくが君を』、韓国ドラマ『ゆれながら咲く花』でイ・ジョンソクが読んだ詩『草花』、同じく韓国ドラマ『ボーイフレンド』でパク・ボゴムが好きだと言っていた詩『憧れ』をはじめ、話題を呼んだ作品など多数収録。
繊細なイラストとともに、不器用でいとおしい「あの頃」の記憶がふと蘇るような、あたたかい言葉たちが染み入る一冊。
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322108001049/
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著者プロフィール
●ナ・テジュ:作家・詩人。1945年、忠清南道生まれ。初の詩集『竹やぶの下で』を出版して以来、48冊の詩集を出版。詩集『花を見るように君を見る』は韓国で50万部を超える大ベストセラーとなった。
●藤田 麗子:韓日翻訳家、フリーライター。複数の編集部を経て、2009年よりフリーとして活動。訳書に『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(ダイヤモンド社)、著書に『おいしいソウルをめぐる旅』(キネマ旬報社)などがある。