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【期間限定全文無料公開!】11月7日に気を付けて――恒川光太郎「秋の牢獄」お得な三大キャンペーン開催が決定!

2008年『夜市』でのデビュー以来、唯一無二の美しくも怖ろしい世界観を作り上げてきた恒川光太郎さん。
2022年には新刊『箱庭の巡礼者たち』が刊行され、作品がテレビ番組でも取り上げられるなど今あらためて注目が集まっています。
『夜市』と並んでファンの人気が高い短編「秋の牢獄」は、今の時期こそ読んでほしい作品です。



<「秋の牢獄」あらすじ>

11月7日を繰り返す女子大生・藍は朝になったら全てがリセットされる日々を過ごしている。このループに終わりは来るのか──。美しく長い秋の1日を描いた傑作短編。

11月7日は「秋の牢獄」の日ということで、この日を最大限楽しむためのキャンペーンの開催が決定!
ずっと昔からのファンの皆さんも最近恒川光太郎を知った方も、ぜひこの11月7日の渦に飛び込んでみてください!

11月7日を存分に楽しもう! お得な3大キャンペーン開催!

①    「11月7日は『秋の牢獄』の日 恒川光太郎フェア」がBOOK☆WALKERで開催!

11月7日に向けて恒川光太郎作品を楽しんでいただくために、BOOK☆WALKERで電子書籍フェアの開催が決定!
「秋の牢獄」70%OFFになるほか、コインの20%還元も実施中!
『夜市』『月夜の島渡り』『雷の季節の終わりに』恒川さんの作品をお得にゲットするチャンスです。
期間は、2022 年 10 月 28 日(金)0:00 ~ 11 月 10日(木)23:59まで!!
▼詳細はこちらから!
https://bookwalker.jp/select/1819/?adpcnt=7qM_N3f

②    11月7日限定! 読書メーターでプレゼントがもらえるレビューキャンペーン実施!

読書メーターでは11月7日に『秋の牢獄』レビューキャンペーンを実施します!
11月7日中に『秋の牢獄』を読んだ感想を読書メーターに投稿していただいた方の中から、抽選で電子書籍ストアBOOK☆WALKERで使える、10%OFFクーポン(文芸のみ)をプレゼント!
詳細は下記をご確認ください。

読書メーター レビューキャンペーン概要

https://media.bookmeter.com/2022/10/akinorougoku.html

参加方法:『秋の牢獄』を読んだ感想を、読書メーターに投稿する
応募期間:2022年11月7日中
賞品:応募者の中から抽選で50名様に電子書籍ストアBOOK☆WALKERで使える、10%OFFクーポン(文芸のみ)をプレゼント
参加条件:「読書メーター」の会員登録(無料)

読書メーターとは
読んだ本・読みたい本など、状況に分けて書籍を登録、読書量をグラフで記録管理できるアプリ・webサイト。読書習慣の維持、向上はもちろん買い忘れや二重買い防止などにも効果的。さらに、日本最大級の書評・レビューサイトとして、本の感想・レビューやユーザーとの交流を通じて、読書の幅を広げ、読書をより一層楽しくするサービスです。
【URL】https://bookmeter.com/

③    繰り返す11月7日を味わおう! 傑作短編「秋の牢獄」を24時間全文無料公開!

ループする11月7日をみんなで体験をしよう! ということで、なんと2022年の11月7日は24時間限定で「秋の牢獄」を無料全文公開いたします!
作品が読めるのは、11月7日の0:00~23:59まで。全文はカドブンにて公開されます。
この機会に、ぜひ11月7日の世界に足を踏み入れてみてください。

▼「秋の牢獄」24時間限定無料全文公開:公開期間11月7日0:00~23:59
https://kadobun.jp/trial/akinorougoku/45wohxrr7fms.html

そして11月7日を目前に、冒頭試し読みを実施!
一足先に秋の牢獄を体験してみませんか?

    1

 これは十一月七日の水曜日の物語だ。

 アスファルトや草木がさらさらとれていくひんやりとした音で、私は目を覚ました。
 雨だ。どこかから朝の冷気が忍び込んでいる。
 暖かい布団の中で外の雨音を聴くのは、至福の心地だった。
 さて、起きて学校に行かなくてはならない。
 私は東京の四年制大学の二年生だった。

 玄関をでると雨は上がっていて、濡れたアスファルトの路面に十一月の朝の光が反射していた。見上げる空は秋の高さだ。
 午前中の講義を受けたあと、親友のと学生食堂で昼食を食べた。昼はいつも由利江と待ち合わせて一緒にとっている。
 由利江は、カレーを食べながら、日曜日に家族で海釣りに行った話をした。堤防であいなめを四匹釣ったそうだ。

 二時にはアパートに戻った。図書館で借りてきた雑誌を読んだ後、たつでテレビを見ていたら、急に薄ら寒くなった。
 時折、私は背筋から首筋のあたりがすっと冷えるのだ。これは気温とはあまり関係がない。
 薄ら寒さと呼んでいるが、ただ寒いのとは違う。たとえていうなら胴回りの一メートルほどもある巨大な蛇が、私の背後を音もなくすうっと通り過ぎていくような感覚だ。
 自分以外誰もいない部屋が、奇妙なぐらいの静けさに包まれている。部屋に大蛇がいる。
 カーテンの隙間からかすかな西日がさしこんでいた。
 私は引き出しからマルボロの箱と灰皿をとりだした。普段外で吸うことがないので、由利江も私が煙草を吸うことを知らないと思う。
 ミニコンポにCDをセットして音楽をかけると、たて続けに二本吸った。
 薄ら寒さが去っていく。
 音楽と煙草が効くのだ。
 千葉の高校を出た後、東京で一人暮らしをはじめて二年近くなる。最初の年こそ、音楽サークルに属していたが、すぐに嫌気がさしてやめてしまった。それ以降、私は基本的に一人だった。
 冷蔵庫の中身を確認した。よし、今日は買い物しないで大丈夫、あるものでいける。米を炊き、豚肉とキャベツをしよういためた。
 食事が終わるとに入り、眠りにおちた。

 十一月七日の水曜日はそのようにして終わりを告げた。

 翌日、社会心理学の講義を受けに講堂に入った。だが、やってきたのは見知らぬ老年の教授で、経済学の講義がはじまった。教授は一向に間違いに気がつく様子もなく、周囲に座っているあまり見覚えのない生徒たちも、何も言わずにノートをとっていた。
 私は胸のうちで舌打ちして、ぼんやりと経済学の授業を聞いた。

 学食のテーブルで、由利江が日曜日に釣りに行った話をはじめた。話を四分の一ほど聞いたところで、私は口を挟んだ。
「ちょっと、それ、もう聞いた」
 由利江の話は、内容も話し振りも、昨日と全く同じだった。
 由利江はげんそうに首を突き出した。
「ええ? いつ」
「昨日」
「あれ、昨日、私たち会ってないじゃん」
「会ったよ、ここで」私は由利江のカレーを見ながら笑った。
「あんた、昨日の水曜もカレー食べながら同じ話をしたよ」
「昨日は、火曜日でしょ」
「違うって。昨日は、水曜日だって。今日は木曜でしょ?」
「今日が水曜日だよ」
 携帯電話で日付を確認すると、由利江の言う通り十一月七日の水曜日だった。もちろんそんなはずはないのだ。今日は変だ。私以外の何かが間違っている。
「何を勘違いしているんだか」由利江が勝ち誇ったように笑った。
「水曜日は昨日だって」
 私は引き下がらなかった。
 私と由利江はしばらく議論した。私は、確かに昨日が水曜日だったことを主張しながら、考えてみれば朝から妙な既視感がずっとあったことや、授業を間違えたことなどを話した。
 私たちは最終的に、私が同じ水曜日を二回繰り返しているのだという結論にたどり着いた。由利江はため息をついた。
「つまり、一日だけタイムスリップした、と。そういうことになるのかな」
 私は、うーんと首をひねった。確かにそういうことになる。
「すごいじゃん。本当だったらテレビに出られるよ。十一月七日の水曜日を繰り返した女って。じゃあ、今日の午後から何が起こるか全部わかるの?」
 全部はわからない、と答えた。そもそも昨日は、同じ一日をもう一度繰り返すことになるとは露知らず、ぼんやりと過ごしたのだ。テレビのニュースすら見ていなかった。全部わかるどころか、ほとんど何もわからなかった。一生に一度あるかないかの体験なのにもったいないことをしてしまった。
 由利江は好奇心と哀れみの入り混じった複雑な顔で私を見た。
「あーでも、なんかそういう映画観たことあるわあ」
 由利江とは駅前のドーナツ屋でしばらく話した後に別れた。

 その夜は外食にした。近所の回転寿屋で八皿食べて勘定にした。普段は一人で回転寿司に入ったりしない。私にはぜいたくすぎたからだ。だが今日は、なんとなく小さな奇跡を祝いたくなったのだ。
 皿を積み上げながら、我が身に起こった不思議について考えた。この先のことがあれこれわかるならともかく、自分がタイムスリップして戻ったのは一日だけ、その一日ももう終わりかけている。そう思うと少し切なくなった。

 翌日になり、雨の音で目を覚ました。ベッドから身を起こすと最初に携帯電話で日付を確かめた。
 十一月七日の水曜日だった。
 また戻ったのだ。
 どうせ戻るのなら、昨日の夜の回転寿司屋で、もっと高い皿を沢山食べればよかった。
 私はとりあえず学校に足を向けた。
 講義を受ける気はしなかった。生協で本を買って、ベンチで読んで暇をつぶした。

 由利江は昨日話したことを全て忘れていた。カレーを前に釣りの話をはじめる彼女に、私は時間反復現象について最初から話さなくてはならなかった。表情には出さなかったが、それは内心うんざりさせられることだった。彼女は一日前と同じ反応をした。
「すごいじゃん、本当だったらテレビに出られるよ。ねえじゃあ、今日の午後から何が起こるかわかるの」
 ここにいる由利江は、昨日の由利江と同じ存在なのか、それとも違うのか。私はあきれたように由利江の顔を眺めた。
「ところでさあ」由利江が言う。「あいは何かしなくていいの?」
「何かって何を?」
「わかんないけどさあ、あるじゃん、ほら、一日戻ったことの動機とか目的っていうの? あーなんかそういう映画観たことあるけど、過去に戻って誰かの命を救うとか」
 私は首を横に振った。
 動機とか目的。
 自分の意志で繰り返しているわけではないのだから、そんなものがあるわけがない。
 昨日の夜は、寿司屋から帰った後にニュースをじっくり見ていたので、今日一日にどんな事件が起こるか知っていたが、未来を知る私が朝から根回しすれば回避できるような殺人事件や交通事故はなかった。あったところで、面識すらない人間に電話で忠告するために、この繰り返しが起こっているとも思えなかった。
 おそらく……何かの事故で、私は目的もなく、ただこの秋の一日を繰り返しているのだ。

 夕食はピザにした。アパートにMサイズのピザを配達してもらい、一人で全てたいらげた。冷蔵庫を開けば一度使いきったはずの豚肉とキャベツが入っており、不気味なことこの上なかった。
 よく考えれば、何一つ定かではない。食べたのか、食べた記憶を持っているだけなのか。現物がここにある以上は、客観的には食べた記憶を持っているだけなのだろう。
 私はコーヒーをれながらぼんやりと思った。
 さて、明日も水曜日のままだったらどうしよう。
 胸の内で、誰かに問いかけてみる。
 私、何かした? これは何か、罰とか呪いとかそういうものなの? それとも、知らないうちに私は頭がどうかしてしまったのかな?
 答えるものはいなかった。強い風が吹き、庭木が揺れた。部屋の蛍光灯が点滅する。どこか遠くで犬がえる。
 薄ら寒さが訪れる。
 今日は部屋で寝ないで、他の場所にいたらどうだろうか、と、煙を吐きながら考えた。環境を変えれば水曜日を繰り返さないで済むかもしれない。そうだ。由利江のマンションに行こう。
 由利江のマンションに泊まりに行ったことは過去に何度かあった。オートロックのついた小奇麗なマンションで、学生の一人住まいとしては上等な部類に入る部屋だった。
 私はさっそく由利江に電話をかけた。
 受話器の向こう側の由利江の声は、昼間よりもいくぶん余所よそ余所よそしかった。私は水曜日の繰り返しのことを考えて部屋に一人でいたら、空恐ろしくなってきたので泊まらせてほしい、と頼んだ。
 由利江は、えへへ、と笑った。今、彼氏が来ているのよ、ごめんね。
 私はなるべく動揺を隠して、そうなんだ、こっちこそいきなりごめんね、じゃあまた明日、と電話を切った。
 私はこの瞬間まで由利江に恋人がいることを知らなかった。日曜日に家族で釣りに行った話などを聞きながら、漠然と恋人はいないのであろうと思っていた。彼女とは一年生のときに同じクラスになって以来の付き合いだから、そろそろ二年近くなる。それなのに、なんとなくこの種の話題を敬遠していた。
 由利江は彼氏がいたのに、今まで私にはそういう話をいっさいしなかったわけだ。
 由利江が話したがらないことに首を突っ込みたいわけではないけれど、友達なのに、ちょっと水臭いのではないか?
 あるいは、由利江にとって私は友達なんかじゃないのかもしれない……。だが、それならそれでもいい。私だって本当は由利江のことなど友達だとは思っていないのだ。ただ寂しいから一緒にいるだけ……利用しているだけだ。考えてみたら、水曜日の繰り返しだって彼女が本当に信じているかは怪しい。逆の立場なら私は信じていない。今頃は恋人と二人で私を笑いものにしているのかもしれない……。
 そんなくだらないことを惨めな気持ちで、しつようにぐるぐると考えた。

 夜の九時を少しまわってから、着替えて外に出かけた。部屋にじっとしていると気がった。
 由利江に断られた以上、特に行き場所もなく、ビデオでも借りて部屋で観ることにした。街灯が照らす夜の道をぶらぶらと歩きながらふと思った。
 このままずっと外にいたらどうなるのだろう。もしかすると目を覚まして行動しているものには十一月七日の繰り返しは起こらないのかもしれない。試してみよう。
 今日は寝ないで外にいよう。

 夜気に湿った公園のベンチに腰掛けて煙草を吸っていると、ふいに全身が熱を帯びた。

(つづく)

気になる続きは当日の11月7日にお楽しみください!

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