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特集

【特別インタビュー】オリジナルクイズも出題! 東大王・伊沢拓司が選ぶ角川文庫5選

撮影:玉井 美世子  取材・文:清水 耕司 

クイズ番組「東大王」(水曜夜7時~TBSほか)などで活躍する東大生クイズ王・伊沢拓司さんがこの春、角川文庫フェアに登場! 近代文学の名作から、まさに東大王!といった感じのお役立ち本まで、バラエティーに富んだ5冊を選んでくれました。“東大脳”にビビッと響いた角川文庫5選とは!? 伊沢さんならではの読書についても話してくれたインタビュー前編をお届けします。本の内容に合わせて伊沢さんが考えてくれたオリジナルクイズも必見です!


――このたびは角川文庫フェアへのご登場ありがとうございます。伊沢さんが今回選んでくださった角川文庫5作は『こゝろ』(夏目漱石)、『不道徳教育講座』(三島由紀夫)、『「A」 マスコミが報道しなかったオウムの素顔』(森達也)、『テロリストのパラソル』(藤原伊織)、『だれでも書ける最高の読書感想文』(齋藤孝)と、バラエティーに富んだものになりました。



伊沢:今回は「学生の方を中心としつつ、老若男女誰でも楽しめる本をお願いします」というリクエストをいただきまして。どういう本を選ぶべきなのかけっこう迷いましたけど、文庫の目録を眺めているだけでも楽しかったです!


―― 1作ずつオススメポイントをうかがっていきたいのですが、その前にまず、伊沢さんにとっての“読書”とは、というところからお聞かせください。


伊沢:10代のころより最近の方が本は読んでいますね。でもペースが決まっているわけではなく、自分の中には読みたい本が常に積まれているので、余裕のあるときに読む感じです。月に5冊は読んでいるかな。最近は自分の本を書かせていただくことが多いので、常に本に触れていたいなとは思っています。


――本との出会いはどういうところで?


伊沢:やっぱり書店ですね。書店で買うのが8割、それから、これは必要だなとハッキリわかっている本はamazonでパッと買ってしまったりもします。でも、書店には週に1回は行っていますね。


――書店ではどういうコーナーを中心に見るのでしょう?


伊沢:「話題の本」コーナーは気になりますし、必ず立ち寄ります。最近だと落合陽一さんの本はよく読んでいますね。あとは単純に、書店が好きなので、書店巡りもよくしますね。書籍もですけど、僕、雑誌もよく買うんですよ。雑誌を読みに書店に行ってるのかもしれない(笑)。定期購読している雑誌はないんですが、「Quick Japan」「ケトル」といった太田出版系の雑誌とか、「ユリイカ」も読みますね。「BRUTUS」「POPEYE」もチェックしちゃいますし。最近で言うと、山本直樹さんがもともとすごく好きなので、山本直樹特集をしていた雑誌は読みふけってしまいました。


――山本直樹さんがお好きなんですか。


伊沢:大好きです! 短編集から入って「ありがとう」「レッド」などをそろえて……。エロティックな描写が話題になりがちな方ですけど、そういう面を除いても、ものすごく良い漫画が多いし、エポックメイキングな方だと思うんですね。今回選ばせていただいた本5冊も、決めるまでに紆余曲折がありまして……。



――そうなんですよね。けっこうとがった本がお好きだということで、当初は大槻ケンヂさんのエッセイも候補に挙がっていたり。


伊沢:マンガの「るろうに剣心」が大好きだったんですが、その作者の和月伸宏さんが大槻ケンヂさんのファンだったというのがきっかけです。小学生のときに「るろうに剣心」を読んでて、その作者の影響で筋肉少女帯を聴きはじめて、すっかりハマってしまいまして。大槻さんのエッセイもそこからの流れで自然と読んでいました。それを入り口として、エッセイはわりと好きでいろいろと読んでいると思います。中島らもさん、穂村弘さん、枡野浩一さんとか…。あと一時期、能町みね子さんのエッセイもよく読んでいました。


――なるほど。夢中になった作品から著者に興味が移り、今度はその著者が好きな作品にも広がっていく……と。


伊沢:「気になるな」「好きだな」という感情が芋づる式につながっていく感じは面白いですよね。たとえば僕は小学生のころにシャーロック・ホームズが好きだったんですが、大槻ケンヂさんもシャーロック・ホームズが好きだということを知って、そのつながりがうれしくて推理小説への熱がまたグッと上がったりもしました。



――推理小説といえば今回、藤原伊織さんの『テロリストのパラソル』を選んでいただいてますね。


伊沢:『テロリストのパラソル』は推理ものでもありハードボイルドでもあり、大好きです。確か僕、最初はクイズで知ったんですよ。どこかで出題されて、それでこの本のタイトルを知って、手に取ったんですよね。そしたらめちゃくちゃ面白くて! もともとジェームズ・ボンドが好きだったので食指が動きやすいジャンルですし、和風なハードボイルドというのかな。ちょっと湿っぽい感じがして、そこがいいですね。ボンドも意外とドライじゃなくて、過去を引きずるタイプだったりして(笑)、そこが日本人ウケしてると僕は思っていまして。


――ウェットな感じですよね。


伊沢:そうなんです、ウェットな中年男性が好きでして(笑)。湿っぽいハードボイルドというか、ちょっと主人公が情けない系のハードボイルドというくくりで、『テロリストのパラソル』はすごく大好きな作品です。フィリップ・マーロウとはまた違うスタイルのカッコ良さがあるというか。


――ストーリー面で「ここがオススメ」というポイントも教えてください。


伊沢:推理小説というよりハードボイルドとして僕は読んでほしいです。結末を予想したり犯人を推理したりしながら読むというよりは、登場人物の感情の機微に注目していただけたらと。特に主人公の島村の感情がぐいぐい変化していくので、そのあたりを読み飛ばさずに、世界に浸ってほしいですね。登場人物が比較的少なく、ストーリーを追いやすくて読みやすいというところも、オススメしたいですね。


――なるほど。そして今回は、クイズ王・伊沢さんならではということで、文庫のオビでそれぞれ作品にちなんだクイズも出題していただいたんですよね。


伊沢:クイズを解きながら本を読むと、また違った楽しみ方をしていただけるのではと思ってます。ぜひ書店で文庫を手に取って、クイズに挑戦してみてください!



東大王・伊沢拓司からの角川文庫クイズ!

1.『テロリストのパラソル』(藤原 伊織)から出題!
【問題】作品を象徴するアイテムの一つとなっているのが“お酒”ですが、特に重要な場面に登場し、英国王室御用達でも知られる有名なスコッチウイスキーは何?

2.『こゝろ』(夏目 漱石)から出題!
【問題】『こゝろ』の初版本には漱石自身の強いこだわりが反映されています。現代の作家がほとんどやらない仕事まで彼自身が手がけているのですが、さてそれは何?

3.『だれでも書ける最高の読書感想文』(齋藤 孝)から出題!
【問題】文章が散漫にならないために、齋藤孝先生は「書きたいことを◯個にしぼれ」と提言しています。さて、それはいくつ?

4.『不道徳教育講座』(三島 由紀夫)から出題!
【問題】漫画好きとして知られていた三島由紀夫。発売日に最新話を読めなかった三島が、深夜にわざわざ出版社まで読みに行った、というエピソードが残る名作漫画は何?

5.『「A」 マスコミが報道しなかったオウムの素顔』(森 達也)から出題!
【問題】森達也が『A』の映像では絶対に使わないようこだわった、バラエティー番組などでよく見る映像加工手段は何でしょう?

クイズの正解はインタビュー後編(3月下旬アップ予定)で発表!
また、『こゝろ』(夏目漱石)、『不道徳教育講座』(三島由紀夫)、『「A」 マスコミが報道しなかったオウムの素顔』(森達也)、『だれでも書ける最強の読書感想文』(齋藤孝)についても語っていただきます。さらに、裏表紙側のオビにも注目! 伊沢さんが掲げている5つの数字をつなげると、ある暗号が浮かび上がります。インタビュー後編で謎が明かされるので、お楽しみに!


伊沢 拓司

1994年茨城県生まれ。登録数40万人超のYouTubeチャンネル、「QuizKnock」編集長。『東大王・伊沢拓司の最強クイズ100』なども著す、クイズ界をけん引する存在。

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