株が暴落したら全力で買う準備をすべき
康平:僕はオヤジとは違うところでヤバさを感じています。ベンチャー企業3社のCFO(最高財務責任者)になっているのですが、投資家は明らかに去年よりも保守的になっている。公的な統計がなく、その場にいる人間にしかわからない「空気」なのですが、今まではフィンテック、AI、ビッグデータという単語だけで投資を決めてくれたのに、今は「利益は出ているのですか」なんて聞かれる。金融業界にいる人たちは、今年から景気は悪化すると思っているはずです。
卓郎:そろそろ債券を売って、暴落した株を買う準備をしておくべきだ。
康平:右から左にお金を動かすような儲け方はしてはいけないと言う人がハゲタカと同じことをしようとしている(笑)。
卓郎:「博打と詐欺と泥棒」はだめだけど、自分の資産を守るのはいい。
井上:自己防衛目的ならいいのですね。
2冊を通じて親子でお金の話をしてほしい
――最後に『親子ゼニ問答』と、『キミのお金はどこに消えるのか 令和サバイバル編』について著者の立場でひとことずつお願いします。
卓郎:金融の知識をちゃんと身につけておかないと騙されます。お金は知恵のない人から知恵のある人へ移っていくものなので、『親子ゼニ問答』を読んでいただいて、体系的・実践的に金融の知識を学んで、子どもたちに教えてほしい。同時に、お金にお金を稼がせてはいけないことも子どもに教えるべきです。
康平:僕で失敗しているし(笑)。
卓郎:一生懸命努力をして額に汗して働くところに付加価値が生まれると教えたのに、親の心子知らずで(笑)。
康平:この本では、父親(卓郎)が母親(僕から見れば祖母)に教えられたこと、僕が父親に教えられたこと、そして僕が子どもに教えていることが書いてあります。祖母、父、僕、子どもと4世代にわたり100年の時間をかけて実証実験をしている。これはすごいことだと思っています。
井上:『キミのお金はどこに消えるのか 令和サバイバル編』は、お金とはこんなに面白いものであるということをマンガで表しています。お金のことを知るための入り口になるとうれしい。また消費税や年金問題にも触れているので、一通りのことは学べると思います。
――お金の話にはまだまだタブー感がありますが、この2冊を読むことで、親子でお金の話ができそうですね。『キミ金』と『ゼニ問答』はセットでどうぞ、を結論にします。ありがとうございました。
プロフィール
森永卓郎(もりなが・たくろう)
経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。東京大学経済学部卒業。日本専売公社、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て現職。主な著書に『なぜ日本だけが成長できないのか』『消費税は下げられる!』『雇用破壊』(角川新書)など。『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)では、“年収300万円時代”の到来をいち早く予測。
森永康平(もりなが・こうへい)
株式会社マネネCEO、経済アナリスト。証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。現在は複数のベンチャー企業のCFOや監査役も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員。Twitterは@KoheiMorinaga
井上純一(いのうえ・じゅんいち)
TRPGデザイナー。漫画家。玩具会社「銀十字社」代表取締役 代表作:スタンダードTRPGシリーズ(SRS)『アルシャードセイヴァー』、『エンゼルギア』、『天羅万象』他。著作に『中国嫁日記』『中国工場の琴音ちゃん』『キミのお金はどこに消えるのか』などがある。
撮影にご協力いただいた場所
「B宝館」
森永卓郎さんが50年間に渡って収集してきたコレクション10万点を収蔵。グリコのおまけをはじめとする食玩、お菓子や飲料のパッケージ、ミニカーなどの模型、フィギュア、携帯電話やカメラなどの歴代デジタル機器などが所狭しと展示されている。(毎月第1土曜に公開)
http://www.ab.cyberhome.ne.jp/~morinaga/