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特集

これを読まずに年は越せない! ベストミステリー国内編10選

年間数百冊の作品を読んでいる書評家・大矢博子さんが選ぶ、国内の傑作ミステリー10冊をご紹介!今回は2018年のダ・ヴィンチ本誌から抜粋して、数多の中から選ばれた、はずれなしの作品をご紹介します!
※本企画はダ・ヴィンチ2018年1月号の転載記事です

選・文:大矢博子

ベストミステリー国内編10選

記憶を巡るテクニカルな仕掛け
秋吉理香子『ガラスの殺意』(双葉社)



人を殺した、と警察に告げた女性。だが彼女には記憶を蓄積できない障害があり、次の瞬間には自分の行為を忘れていた……。記憶が混乱する当人の視点が見事! 驚きの仕掛けはもちろん、シビアなテーマにも注目。

へこたれない女探偵に痺れる!
若竹七海『錆びた滑車』(文春文庫)



仕事はできるが不運すぎる探偵、葉村晶。簡単な調査仕事のはずが、なぜか今回も不運の波状攻撃に遭う。だが晶はくじけない。常にクールでタフ、ピンチのときほどユーモアが冴える。今、いちばんかっこいい女探偵だ。

サイコパスの悲しみに震える
道尾秀介『スケルトン・キー』(KADOKAWA)



児童養護施設育ちの錠也は自分がサイコパスであることを自覚し、「もうひとりの自分」を抑えて生きてきたが……。途中であることに気づいた瞬間、慌てて前のページを確認するはず。悲しみと驚きのハイブリッド。

悲しき復讐劇にガリレオが挑む
東野圭吾『沈黙のパレード』(文藝春秋)



行方不明だった娘が、数年後、遺体で発見された。しかし容疑者は証拠不十分で釈放され、遺族や友人の間に怒りが渦巻く。何重にも仕掛けられたトリックは圧巻の一言! 6年ぶりのガリレオシリーズ最新作。

謎解きとホラーの見事な融合
三津田信三『碆霊の如き祀るもの』(講談社文庫)



海辺の村に伝わる4つの怪談。それをなぞるように起きた連続殺人事件に、作家・刀城言耶が巻き込まれる。怪異の数々は論理で鮮やかに解き明かされるが、それでも怖いのがこのシリーズ。二段構えの恐怖に震えて眠れ!

細菌兵器を巡る歴史SFミステリー
上田早夕里『破滅の王』(双葉文庫)



日中戦争さなかの上海。細菌学の研究者・宮本は「キング」と呼ばれる細菌兵器の治療薬を作るよう命じられる。だがその「キング」は……。大戦という時代に翻弄された人々を臨場感たっぷりに描く迫真の物語。

怪談の恐怖とサプライズ
芦沢央『火のないところに煙は』新潮文庫



怪談の依頼を受けた作家は、自分の知り合いが体験した「実話」を連載することに。ところが……。恐怖と謎解きの両方が味わえる短編集、かと思いきや最後に思わぬ着地を見せる。読み出したら止まらない、でも怖い!

遷都を邪魔するのは誰だ?
安部龍太郎『平城京』(角川文庫)



飛鳥から奈良への遷都が決まり、阿倍宿奈麻呂と弟の船人は用地確保や資材手配に動く。ところが事故が多発、ついに死者まで……。遷都妨害の黒幕を探る古代史ミステリー。古代テクノクラート小説としても読み応え十分!

他人事ではないドイツの悲劇
深緑野分『ベルリンは晴れているか』(ちくま文庫)



米ソ英仏の統治下に置かれた1945 年のベルリン。ドイツ人少女アウグステの恩人が、毒入りの歯磨き粉で殺された。アウグステは訃報を伝えるため故人の甥を探すが……。戦争の恐怖と驚きの真相がダブルで胸を抉る力作。

至高の文章芸で紡がれるロマン
奥泉光『雪の階』(中公文庫)



昭和10年、春。女子学習院に通う笹宮惟佐子は親友の心中事件に疑問を抱き、真相を追い始める。二・二六事件に向かう社会を眩惑的に描いた柴田錬三郎賞受賞作。下敷きとなった武田泰淳『貴族の階段』も併せてどうぞ。

どの作品も読み応えのあるものばかり!ぜひ、年末年始の新しい出会いとして手に取ってみてほしい。


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