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特集

加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史― 展示代表・高田貫太さんによる解説【2022年10月4日~12月11日 国立歴史民俗博物館】

加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―
10月4日(火)~12月11日(日)国立歴史民俗博物館

2022年10月4日(火)~12月11日(日)、国立歴史民俗博物館にて開催予定の「加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―」。
展示代表の高田貫太さんよりご寄稿いただきました。




1冊の図録

ぼろぼろになった1冊の図録が手元にある。1992年に東京国立博物館などで開催された「伽耶文化展―よみがえる古代王国」のものだ。この展示は、その前年に大韓民国国立中央博物館(以下、韓国中央博)で行われた展示を基盤にしたものだった。加耶の墳墓や集落などから出土した、350点あまりの遺物の写真が掲載されていて、加耶の文化や歴史についての最新の情報をヴィジュアルに知ることができた。学生当時、この図録をひっくり返しながら、加耶について学んだ記憶は、今も鮮やかである。

加耶とは

加耶は朝鮮半島の南部において、たがいに協力し、時には競い合いながら活躍した古代の国々のことである。国々には金官加耶、阿羅加耶、大加耶、小加耶などがある。

3~6世紀に、海上交易と鉄生産を一体として運営し、東の新羅や西の百済、海をはさんだ古代日本の倭、そして遠く中国などとも交流を重ねながら、成長をとげた。しかし、百済と新羅という強国のはざまで、徐々に勢力が弱まり、562年には滅亡してしまう。


大加耶の王陵群と山城〔高霊池山洞古墳群と主山城〕


加耶は倭がもっとも緊密に交流した社会のひとつである。倭の社会は、加耶との交流を通して、当時の先進の情報や技術、道具を入手し、それをみずからの文化として定着させた。それは、須恵器と呼ばれる硬い焼き物、鉄の道具、金工、馬の飼育、灌漑、ひいては蒸し器などの炊事道具や新しい暖・厨房施設(カマド)など多岐にわたる。

30年後のいま

1992年の展示から28年後、韓国中央博で2019年12月3日から2020年3月1日まで、「加耶の本質―剣と琴」という大々的な展示が開かれた。それまでの加耶のさまざまな遺跡についての調査・研究の成果を一堂に集め、東アジアのさまざまな社会と交流を重ねた加耶の姿に光をあてた内容だった。


加耶の甲(よろい)〔金海退来里〕


私が奉職する国立歴史民俗博物館(以下、歴博)は、長年にわたって韓国中央博と学術交流を積み重ねている。その信頼関係の中で、日本に住む方々や日本を訪れる方々にも加耶の豊かな歴史を知ってもらおうと、歴博でも2020年に国際企画展示「加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―」を開催する運びとなった。しかし、コロナ禍の影響を受け、開催直前で延期を余儀なくされた。その後、韓国中央博と協議をつづけ、2022年10月4日から12月11日の開催を決定することができた。韓国中央博の惜しみないご協力に、心から感謝の意を表したい。


大加耶の土器


日本で観覧する方々に向けて

韓国中央博の展示にもとづきながら、日本で展示をご覧になる方々に加耶の歴史をわかりやすく展示しようと、同僚の上野祥史さん、松木武彦さん、仁藤敦史さんらとともに、展示の構成を練り上げている。その詳細については、れきはくホームページ(https://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/)をご参照いただきたい。

加耶の墳墓から出土した金銀のアクセサリー、整美な土器、武威をしめす武器や馬具、成長の礎となった鉄、そして対外交渉をしめす外来の品々など、220点あまりの資料を駆使して、加耶のなりたちから飛躍、そして滅亡までの歴史、そして加耶と倭の交流の歴史を展示する予定である。


金製の耳飾り〔陜川玉田M4号墳〕


今回の展示をご覧になる方々が、海をはさんだ加耶の歴史を体感しながら、日韓の悠久の交流が現在、そして未来へとつづいていくことに思いをはせていただければ、と願ってやまない。

1992年に東京国立博物館で開催された展示に比べると、展示資料の数はちょっぴり少なくて、展示室もちょっと狭いけれども、内容の濃さには自負がある。今年の秋は、ぜひ歴博にお越しください。


首飾り〔金海良洞里162号墓〕


開催概要

国立歴史民俗博物館 国際企画展示「加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―」
会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室A(千葉県佐倉市)
共同主催:国立歴史民俗博物館、大韓民国国立中央博物館、九州国立博物館
会期:2022年10月4日(火)~12月11日(日)
休館日:月曜日(月曜日が休日の場合は開館し、翌日休館)
開館時間:9:30~16:30(入館は16:00まで)
料金:一般1,000円/大学生500円
※高校生以下は入館料無料です。
※障がい者手帳等保持者は手帳等提示により、介助者と共に入館料無料です。
※総合展示・くらしの植物苑もご覧いただけます。

関連する催し物

○第440回歴博講演会「加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―」
2022年10月8日(土)13:00~15:00
講師:高田貫太
○第441回歴博講演会「中国と加耶と倭」
2022年11月12日(土)13:00~15:00
講師:上野祥史
○第442回歴博講演会「加耶と倭の武器と武具」
2022年12月10日(土)13:00~15:00
講師:松木武彦

会場:国立歴史民俗博物館講堂(事前申し込みが必要、詳細はホームページにて)

お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
れきはくホームページ:https://www.rekihaku.ac.jp
※最新の情報はホームページ等をご確認ください。

※掲載写真は大韓民国国立中央博物館より提供いただきました


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