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特集

お笑いトリオ・ハナコの秋山寛貴さん 「小説 野性時代」でエッセイ「人前に立つのは苦手だけど」連載スタート記念! スペシャルインタビュー。

キングオブコント2018で優勝を果たした人気トリオ芸人・ハナコ。そのネタ作りも担当する秋山寛貴さんが、エッセイの執筆に初挑戦! 「小説 野性時代」12月号から連載エッセイ「人前に立つのは苦手だけど」がスタートします。第1回「怪我をするほどコントが好き」の執筆秘話をはじめ、ハナコのメンバーへの思いや、本格的な執筆業に臨む意気込みなどをたっぷりお聞きしました。

写真/中林 香 構成・文/高倉優子



人前に立つのが苦手なおとなしい子どもだった


――エッセイの第1回で「小学生の頃はスピーチで半泣きになったほど人前に立つのが苦手な僕ですが」という表現がありました。そしてその一部が連載のタイトルにもなっているわけですが、子ども時代、どんなシチュエーションで半泣きになっていたのでしょうか?

たとえば、日直で帰りの会の挨拶をしなければいけないとき。授業で発表するとき。とくに国語の朗読で、自分の声だけが教室に響いている瞬間など……とにかく、ちょっとしたことでも人前に立ってしゃべることが苦手でした。だから当時を知る同級生は、僕が芸人になったことにびっくりしていると思います。高校時代、「M-1甲子園」にも一度出場したんですけど、祖母が「嘘でしょう!?」と驚いたほど(笑)。そのくらいおとなしい子どもだったんです。


――それでは文章を書くことはいかがでしたか? 普段、メンバーの岡部 大さんと共に、ネタ作りを担当なさったり、昨年は連続ドラマ「でっけぇ風呂場で待ってます」第3話の脚本を執筆なさったりと、文才を生かした仕事をなさっているので。

教科でいうと国語と算数が好きでしたが、とくに作文や読書感想文が得意だったというわけではありません。ただ小さいころからお笑いが大好きでいろんな番組を観ていたせいか、コントの台本を書くことは最初から苦にならなかったんですよ。挑戦させてもらったドラマの脚本も、ジャンルがシチュエーションコメディだったこともあり、普段のコントの延長のような感覚で楽しく書くことができました。


――そして今回は初のエッセイ執筆です。実際に書いてみていかがですか?

自分のことを書くことが恥ずかしいということもあり、右も左もわからない。何が正解なのかもわかりません。でも、小説よりは書きやすいですね。というのも最初は「小説を書いてみませんか?」というオーダーをいただいたんですよ。普段コントも書いているし、「きっといい作品が書けますよ!」「任せてください!」と意気揚々とお引き受けしたものの、あまり小説を読んでこなかったこともあり、書き方がわからなくて……。そのうち単独ライブの準備で忙しくなり知らんぷりしていたら(笑)、「エッセイのほうが書きやすいのでは?」と再度ご提案くださったんです。


――エッセイを読むことはお好きだったんですか。

そうですね。エッセイには人柄が出るし、仕事の舞台裏も知ることができるのでよく読みます。お笑い芸人のエッセイだと、ウッチャンナンチャンの内村光良さん、千原ジュニアさん、劇団ひとりさんなどが好きですね。最近だと、Aマッソの加納愛子さんの『イルカも泳ぐわい。」が最高に面白かったです。あまりにも感動して、読んだ直後に「感想を伝えたいのでお茶してください!」とお誘いしたほど。結局、関係ない話ばかりしていた気がしますが(笑)。

ハナコは「協調性のある会社」なんだと思う


――連載第1回目の「怪我をするほどコントが好き」は、キングオブコント2018で優勝した「つかまえて」というネタにまつわるエピソードが綴られています。スラスラ書けました?

そうですね。とりあえずいったん書いたところで奥さんに見せました。彼女は本をたくさん読んでいる人なので参考になる意見をくれて。その後、編集さんにもいろいろアドバイスをもらい、無事に完成させることができました。コントを書くときは大丈夫なんですが、エッセイは不慣れな分、「これ、本当に面白いかな?」「意味が伝わるかな」と心配になっちゃうので、客観的な意見をもらえるのは助かりますね。



――コントと同じように、エッセイでも菊田竜大さんがキーマンになっていて、すごく面白かったです。

菊田が落としてくれるのは、ハナコあるあるですから(笑)。第1回「怪我をするほどコントが好き」はそこに注目して読んでもらえたら嬉しいです。


――読んだメンバーの反応は?

菊田は自分のネタが書かれているせいか恥ずかしがっていましたね。「え、これ使うの? 掲載されたくないわ」と(笑)。岡部は「いい感じだね」と褒めてくれました。


――ハナコというグループの関係性がよくわかる内容でもありました。ちなみに、秋山さんから見た菊田さん、岡部さんはどんな人物ですか?

ふたりともワタナベコメディスクールの同期生なんですけど、菊田は当時からまったく変わらないですね。いつまでもお客さんみたいに「芸人ってすげーな」と言いながら隣にいます。数年前、あるネタ番組でひな壇に座っていたときも、麒麟の川島明さんが「麒麟です」と言った瞬間、あいつ「すげー」って言ったんですよ。プロ集団に素人が紛れ込んでいる感じで周囲がザワついていました(笑)。長らく芸人をやっているのに、素人の感覚を持ち続けている珍しい芸人なんです。


――元々は、秋山さんと菊田さんがコンビを組んでいて、そこに岡部さんが加わる形でトリオになったんですよね。岡部さんが加入することになったとき、菊田さんは難色を示したそうですが、その理由って何だったのでしょう?

菊田はネタを書かないし、コンビ時代も主導権は僕が握っていたし、そこに何でも器用にこなす岡部が入ってきたら、自分は必要なくなるんじゃないかと思ったみたいで。あと「変化が怖かった」ってよく言いますね。でも変化も何もないんですよ! だってふたりで活動しているときには芽が出ず、「このままだと芸人を辞めなきゃいけないかも……」と僕は思っていたくらいなので。

菊田はよく「夢は何ですか?」と聞かれると、「現状維持です」と答えるんですね。普通、どんな仕事であっても上を目指し続けて、それをどうにか維持できれば万々歳くらいの話じゃないですか? それなのに30代で現状維持ってどういうことだよ、と(笑)。とにかく変化を嫌う性格なんだと思います。


――聞けば聞くほど、ユニークなキャラクターですね。それでは、岡部さんはいかがですか? インスタグラムでは、秋山さんを被写体にした記事を投稿なさっていますよね。「#きょうひろ」、「#ひろき」、「#かわいい」などといったハッシュタグにも愛を感じます(笑)。

岡部は小中高とずっとバスケ部のキャプテンや学級委員長をやってきたリーダー気質です。いつもメンバーの調子を気にかけてくれる頼りになる男ですね。インスタは、何かテーマを決めて投稿しようと考えたらしく、それが僕だったみたいで……。ピンの現場も気になるのか、マネージャーに僕の様子はどうだったか聞いたりしているらしいです。愛というより圧を感じますね(笑)。

よく「ハナコは仲がいいね」と言われるんですが、具体的に言うと、協調性のある「会社」なんだと思います。菊田は問題児だけどちゃんと出勤するし、自分の席に座って仕事をして、定時になったら真っ先に帰るような社員。僕と岡部は彼の分まで残業する社員、みたいな。コントで菊田に長い台詞を用意しないのは、その人に見合った仕事を振っているから。ね、いい会社でしょう?(笑)

純粋に好きなものを追求したエッセイが書きたい


――今後はどんな内容のエッセイを書いていく予定ですか?

純粋に好きなものを追求したエッセイを書きたいですね。たとえば、夜な夜な見ては泣いてしまうテレビ番組「ナンデモ特命係 発見らくちゃく!」について。同じ事務所のパラシュート部隊・斉藤優さんが一般の方から調査依頼を受け、それを解決していく福岡のローカル番組なんですけど、どハマリしちゃって。くだらない依頼にも真摯に向き合い、ちゃんと面白く編集してくれる熱くて優しい番組なんです。ある制作系の仕事をしている方に、この番組への思いを語っていたら、「秋山さんは、その番組の『人格』が好きなんですね」と言われました。ああ、そっか、僕は作り手の人格が好きだったのかと、しっくりきました。その方はCMなどを作るとき、依頼された会社をクラスの生徒のキャラクターで考えるそうなんです。やんちゃで授業中も走り回っているような会社だからこんなプランはどうか、この会社はいつも静かに本を読んでいる女の子みたいだから、こっちの案を提案しようか、と。会社を擬人化するのがすごく面白かったので、そんなテーマでも書いてみたいと思っています。



――「体がもうひとつあったら何がしたいか」という案もあるそうですね。

僕、パントマイムユニットをされていた「が~まるちょば」さんが大好きで、体がもうひとつあったら弟子になりたかったんです。1度ライブを観に行ったことがあるんですけど、カーテンコールでも一切しゃべらないんですよ。スタッフを紹介するときでもジェスチャーで表現したり、とにかく徹底していて。大好きなコメディアンのMr.ビーンもそうだけど、台詞がない中で人を笑わせるってすごいな、と。「体がもうひとつあったら弟子になりたい」くらい好きなクリエイターさんのことを紹介したいです。


――最後に、読者にメッセージをお願いします。

居酒屋「庄や」のおむすびは、めちゃくちゃおいしいです。びっくりしますよ。あまりにもおいしいので調べてみたら、「板前がいる町の酒場」というコンセプトらしいです。だからおいしくて当然だったんですね……。感動した話や大事件ばかりではなく、こういった小さなマイニュースも書いていこうと思っています(笑)。いいことでも悪いことでも何でもいいので、感想をぜひSNSで聞かせてください。お待ちしています!

秋山寛貴(あきやま・ひろき)



1991年岡山県生まれ。ワタナベエンターテインメント所属。2014年、同じくワタナベコメディスクールの12期生だった岡部大、菊田竜大とともにお笑いトリオ・ハナコを結成。「キングオブコント2018」で優勝。「ワタナベお笑いNo.1決定戦 2018/2019」2年連続優勝。

〈連載紹介〉
『人前に立つのは苦手だけど』秋山寛貴



コツコツした作業が好きで、小さいころから慎重派、なのに芸人。そんなハナコ・秋山さんが文章を綴り、イラストを描く、ゆるくてニヤリの初エッセイ。

<掲載書誌情報>
「小説 野性時代」電子版
・「2022年12月号」配信開始日:2022年11月25日(金)
・配信日:毎月25日
・ダウンロード型の電子書籍に加えて「角川文庫・ラノベ読み放題」や、「カドブン」「カクヨム」「note」などのサイト内でも作品を展開予定。
・希望小売価格:350円
書誌ページ:https://kdq.jp/d_yasei2212_a_e_r_k


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