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特集

理屈より、ふとした思いつきが正解だったりする 『グッバイ、ドン・グリーズ!』いしづかあつこ監督インタビュー①

取材・文:熊倉久枝 

大ヒットアニメーション『宇宙よりも遠い場所』を手掛けたいしづかあつこ監督×MAD HOUSEのタッグによる、オリジナル劇場アニメーション『グッバイ、ドン・グリーズ!』。現在公開中で、角川文庫、角川つばさ文庫から小説版も発売中の本作は、少年たちの出逢いと成長を瑞々しく描いた物語。田舎町に暮らすロウマ、東京に進学したトト、アイスランドからやってきたドロップ。このちょっと冴えない男子3人組“ドン・グリーズ”の誕生秘話を、いしづか監督に伺いました。



――いしづか監督が2018年に発表された『宇宙よりも遠い場所(よりもい)』は、高校生の女の子たち4人が南極を目指す物語でした。そして本作は高校生の男の子3人組が主人公ですが、これは初期段階から決まっていたそうですね。

いしづか:はい。『よりもい』で女の子を描いていたときに思ったのが、体力勝負なことというか、フィジカルなストレスをかけられないなということ。危険な行動はやっぱりさせにくいんですよ。その点、男の子なら潔くバカなこともできるし体も張れる。ベランダくらい高いところから飛び降りちゃう、みたいな(笑)。


――確かに男性のほうが、子どもの頃に大ケガをした経験がある人が多い気がします。

いしづか:その後先を考えない行動力、自分の体力を信じてしまっている感じは男の子ならではのものだし、羨ましいところでもあります。そういう無茶ができるキャラクターを描いてみたいと思って、今回は男の子の物語にしようと。そこから「やっぱり男の子だったら、世界を広げて男として大きくなっていく、みたいな話をやりたいね」ということで、だんだん話がまとまっていきました。



――毛利衛さんの言葉が由来の『宇宙よりも遠い場所』というタイトルも素敵でしたが、今回のタイトルにはどんな由来があるのでしょうか。

いしづか:実は由来は特になくて、私がふと“ドン・グリーズ”という名前を思いついたところから生まれたタイトルなんです。少年たちの変化や成長を大きく描く作品ということで、途中までは『CHANGE!』という仮タイトルでした。でもいよいよ最終稿という頃に、この男子3人組のチーム名としてドン・グリーズという言葉を思いついたんです。


――ドン・グリーズは、周囲から少し浮いていたロウマとトトが小学生のときに結成したチームで、高校1年生になってドロップが加わります。では最終稿まではチーム名はなく、単に「幼なじみの親友2人に1人加わった」という形だったんですね。

いしづか:ずっと「3人の友情を象徴するものがほしい」とは思っていて、そのために秘密基地を置いていたのですが、それだけだと少し弱いなと感じていたんです。ドロップを含めた3人として、何かしらの枠がほしかった。そこで何か名前を決めようと思ったとき、思いついた言葉がドン・グリーズだったんです。その音からまず『どんぐりの背比べ』というイメージが湧き、他にはどんな意味がこの字面に含まれるかなと考えていって、最終的に『ドン・グリーズ(DonGlees)』という表記になりました。


――意味ではなく響きから生まれた名前なんですね。

いしづか:こういうものって理屈で考えるよりも、ふと思いついたもののほうが正解という不思議なことがままあるんです。そうして3人のチーム名は決まったけどタイトルはどうしようか、さすがにドン・グリーズだけだと何のことだかわからないし……。そう考えていたときに“グッバイ”という言葉が出てきて、『グッバイ、ドン・グリーズ!』というタイトルが生まれました。

(後編へ続く)

プロフィール

いしづかあつこ
2004年MADHOUSEに入社し、多数のMADHOUSE作品で監督・演出を担当。監督として、TVシリーズ『ノーゲーム・ノーライフ』『ハナヤマタ』『プリンス・オブ・ストライド オルタナティブ』と精力的に作品を生み出す。2017年『ノーゲーム・ノーライフ ゼロ』で劇場版初監督を、2018年にはオリジナルアニメーション『宇宙よりも遠い場所』の監督を務めた。

作品情報

映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』
大ヒット上映中!



【STORY】
東京から少し離れた田舎町に暮らすロウマは、周囲と上手く馴染むことができない少年。彼は、同じように浮いた存在であったトトと二人だけのチーム“ドン・グリーズ”を結成する。その関係はトトが東京の高校に進学して、離れ離れになっても変わらないはずだった。
「ねえ、世界を見下ろしてみたいと思わない?」
高校1年生の夏休み。それは新たに“ドン・グリーズ”に加わったドロップの何気ない一言から始まった。ある出来事から、山火事の犯人に仕立て上げられてしまったロウマたちは、無実の証拠を求めて、空の彼方へと消えていったドローンを探しに行く羽目に。ひと夏の小さな冒険は、やがて少年たちの“LIFE”(生き方)を変える大冒険へと発展する。

【STAFF&CAST】
監督・脚本:いしづかあつこ
キャラクターデザイン:吉松孝博
出演:花江夏樹 梶 裕貴 村瀬 歩/花澤香菜/田村 淳(ロンドンブーツ1号2号) 指原莉乃
主題歌:[Alexandros] /「Rock The World」(ユニバーサルJ / RX-RECORDS)
配給:KADOKAWA

公式サイト
https://donglees.com/
公式Twitter
https://twitter.com/gb_donglees

©Goodbye,DonGlees Partners

紹介書誌情報



角川文庫
『グッバイ、ドン・グリーズ!』
著者 山室有紀子
原作:Goodbye,DonGlees Project
脚本:いしづかあつこ
発売日:2022年1月21日
定価: 638円(本体580円+税)


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