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特集

男子高校生バディが大活躍する放課後ミステリ! 『学園の魔王様と村人Aの事件簿』刊行記念。著者・織守きょうやインタビュー

秘密×友情×男子高校生ミステリ!
織守きょうや『学園の魔王様と村人Aの事件簿』

2021年に刊行した『花束は毒』が「100%騙されるミステリー」と話題になり、ますます注目を集める織守きょうやさん。
ホラーとミステリの両ジャンルを自由に書きこなす織守さんに、新刊『学園の魔王様と村人Aの事件簿』について、担当編集者がお話を伺いました。



▼『学園の魔王様と村人Aの事件簿』紹介マンガはこちら
https://kadobun.jp/feature/readings/1kc30gjmeu00.html

『学園の魔王様と村人Aの事件簿』刊行記念 織守きょうやインタビュー

キャラクターの関係性を前面に出したものを書こう


――『学園の魔王様と村人Aの事件簿』刊行、おめでとうございます! 今作は、これまで織守さんがKADOKAWAで書いてこられた「記憶屋」シリーズや『響野怪談』とは違って、ホラー要素のないミステリですね。書くことになるきっかけは何だったのでしょうか。

織守:以前からキャラクターやその関係性を褒めていただけることが多くて、いつかそれを前面に出した作品が書きたいという気持ちがありました。『響野怪談』でしっかり怖いものを書けたこともあり、次はそのターンかなと思って。


――なるほど。『響野怪談』を書き終える時点で既に構想があったのですね。

織守:求められているような気がして(笑)。「男子高校生ふたりがキャッキャウフフしてるのを書きます!」というのが最初からあって、担当さんにもそう話していました。


――確かに、探偵と助手が見事なまでにキャッキャウフフしてます(笑)

織守:キャラクターの関係性を楽しんで貰う、これをメインにするからには、やはりポジティブで読みやすくしなければと。ただ、単行本で出すのでしっかりミステリも入れたいと思って、色々と工夫しました。


――二人の関係性だけじゃないのがこの作品の魅力ですよね。ネタバレになるから書けないですけれど、ちゃんと驚けるというか。

織守:驚いて貰えてよかったです。自分らしい一冊になったんじゃないかなと思います。

「王道の名探偵と助手」をちょっとずらす


――魔王様みたいな推理力の探偵・御崎くんと、普通の高校生の助手役・山岸くん。二人のキャラクターはどのように作られたのでしょうか。

織守:シャーロック・ホームズとワトソンみたいに、とても賢いけれどちょっと付き合いにくい名探偵と、読者の視点に立てる平凡な助手、という定番の構図がまずあって、そこからちょっとだけずらすことを考えました。定番、王道は、皆が好きだから王道なわけですが、そこにオリジナリティを加えて、意外と他にはないような感じに。二人の性格とか……関係性についても、たとえば御崎と山岸はお互い「くん」付けで呼び合っているんですが、普通は探偵と助手の関係ってもう少し遠慮が無いですよね。でもこの二人は出会ったばかりで、それぞれ好感は持っているけれどまだ距離を測りかねている。こういう感じは珍しいかなと。


――わずかな「ずらし」が、この作品の魅力に直結してますね。恐る恐る仲良くなる二人の関係性にニヤニヤしちゃいます。

織守:よかったです(笑)


――そんな探偵と助手の関係に添うように、事件も考えられたのですか? 連作短編形式の今作は全部で4つの事件が起こりますよね。

織守:そうですね、第一話については以前の職場で「トイレがイタズラされる」という出来事が本当にあって。そこから膨らませて、こういう真相だったら面白いんじゃないかなと考えました。
第二話については、「犯人の顔を見た目撃者がいるのに、何故名乗り出ないのか。探しても目撃者は何故見つからないのか」という謎と答えが最初に浮かんで、そこに合わせて事件を作ったんですが、題材を特殊詐欺事件にしたのは、実際に弁護士として携わったことがあったので、リアリティを持って描けるかなと思って選びました。


――事件の題材はご自身の経験にヒントを得ているものもあるのですね。

織守:弁護士時代に経験したことは、事件のディティールをリアルにするのに役立っているのかなと思います。トリックやロジックはもちろん自分で考えないといけないんですけど(笑)


――最終話ではヤクザや半グレの集団なんかも出てきていますがひょっとして……。

織守:これは完全に創作です(笑)。物語の結末は決めていたので、最終話の事件は何とかそこに辿り着かなきゃと必死に考えました。第一話からつなげなければいけないというのもあったので、背景に特殊詐欺を働いているグループがいることにして全部の事件につながりを作ったんですが、すべてが収束するはずの最終話で、その道筋を作るのが大変で。「御崎が真相を暴き犯人グループと対峙してどうにかして解決」というプロットがまずあって、「真相って何? どうやって暴くの? どういう経緯で対峙して、そこからどう解決するの?」と後から頑張って……頑張って考えました。


――最終話の展開と結末、すごく計算されているなあと感じていたのですが、まさかそんな作り方だったとは意外です。

ミステリとホラーをどう描くか


――最初に少し触れましたが、織守さんはミステリとホラー、両方をお書きになっていますよね。それぞれのジャンルで執筆される際の意識の違いなどはありますか?

織守:ミステリだからこうしよう、ホラーだからこうしよう、という風に考えることはないです。作品ごとに書きたいことが決まっていて、それを効果的にする文章はどういうものかな?と考えています。たとえばノンシリーズの短編ミステリなら、できるだけ無駄をなくしてシャープにとか、『学園の魔王様と村人Aの事件簿』は二人の関係性がメインだから掛け合いを増やそうとか。


――あくまでジャンルではなく作品ごとに意識されるのですね。

織守:ホラーを書く前にはホラーを読んだり見たりして、気持ちを高めることはありますよ(笑)


――今後も変わらずホラーとミステリの両方を書いてゆくお気持ちでしょうか。

織守:両方のジャンルが好きですし、そのとき書きたいものが物語になる、という感覚で、どちらか片方に力を入れていこうと思うことはないです。実際、ホラーとミステリの融合した新作を「怪と幽」で載せて貰うべく準備中だったりもします。


――織守さんがホラーとミステリを融合させたらどんな風になるか、とても楽しみです。

織守:がんばります(笑)。どんなジャンルであれ、これまでいいねと言っていただけることの多かった関係性やキャラクターをきちんと書いて、この人物だからこそこういう感じ方、こういう結末になるんだなと読者に納得して貰える作品をこれからも作っていきたいです。

作品紹介



学園の魔王様と村人Aの事件簿
著者 織守きょうや
定価: 1,815円(本体1,650円+税)
発売日:2022年6月29日

「山岸くんには、探偵助手の才能がある」秘密×友情×男子高校生ミステリ!
ライトノベルが好きな普通の男子高校生・山岸巧(やまぎし・たくみ)は別のクラスの眉目秀麗な生徒・御崎秀一(みさき・しゅういち)に本を拾って貰い、彼のスマートさに憧れを抱く。しかし御崎には、ヤクザの孫だとか、先輩をたたきのめしたなどの不穏な噂があった。ひょんなことから御崎のたぐいまれなる推理力を知った山岸は、彼の助手として学校や町で起こる事件の解決に挑むことに。些細な違和感を見逃さず、魔王・御崎は予想外の真相を導く!
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322101000887/
amazonリンクはこちら



織守きょうや(おりがみ きょうや)
1980年イギリス・ロンドン生まれ。2013年、第14回講談社BOX新人賞Powersを受賞した『霊感検定』でデビュー。15年、『記憶屋』で第22回日本ホラー小説大賞読者賞を受賞し、同作は、シリーズ累計35万部を超えるベストセラーとなる。その他の著作に『黒野葉月は鳥籠で眠らない』『世界の終わりと始まりの不完全な処遇』『ただし、無音に限り』『響野怪談』『花束は毒』などがある。

はなげのまい先生による『学園の魔王様と村人Aの事件簿』あらすじマンガ公開中!



『学園の魔王様と村人Aの事件簿』発売記念。『高良くんと天城くん』のはなげのまい先生による紹介マンガ公開中!
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