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特集

怪談現場で飲酒すると…奇妙な出来事が!? 清野とおるさん『東京怪奇酒』インタビュー

撮影:首藤 幹夫  取材・文:藪魚 大一 

直接体験者から聞いた、怪談の現場で飲酒する――そんなエクストリームな行為「怪奇酒」を行う実録漫画『東京怪奇酒』は、『東京都北区赤羽』などのディープなエッセイ・ルポ漫画で知られる清野とおるさんによる「怪談×グルメ」の異色作にして、怪談愛溢れる意欲作。そんな本作について、清野さん、そして掲載誌「東京ウォーカー」の加藤玲奈編集長にも同席していただき、お話を伺った。


――清野さんはこれまでの作品でも、怖い話を扱った回を描かれたりはしていましたが、意外にも怪談をメインに据えた作品はありませんでした。今回なぜ怪談をメインテーマに描かれたんでしょうか?


清野:昔から怪談は好きなんですが、それはある種本能的なものなんじゃないかと自分では思っているんです。今回怪談を取り上げたのも、それがわりと普遍的なもので、いつの時代も求めている読者は常に一定数いると思ったからなんです。だからある程度以上のレベルをクリアしさえすれば、手に取ってもらえるんじゃないかという、浅はかではあるんですけど、そういう「計算」はありました。


――『東京怪奇酒』は、「怪談」と「グルメ」を掛け合わせるという斬新なアイデアが特徴的です。


清野:シンプルな怪奇ものをやりたいという気持ちもあるんですが、そういったものはすでに多くの方がやられているじゃないですか。今まで誰もやったことがない変なジャンルを作り出したいといつも思っているので、今回もどうせやるなら変な形でやろうかなと。


――こちらは「東京ウォーカー」で連載されていますが、グルメ要素があるとはいえ怪談ものは異色ですよね。どういった経緯で連載が始まったんでしょうか?


加藤:連載の話自体はずっとこちらからオファーをし続けてきて、今回ようやくご一緒できることになったんです。それで最初に「今、一番清野さんがやりたいことは?」とお聞きしたら、「怪奇酒」の話をされたんです。最初は何を言っているのかわからなかったですね(笑)。ただ清野さんが描きたいと言っている以上は、すごく面白いものになるだろうなと思ったので『東京怪奇酒』を連載することになりました。当初は正直「東京ウォーカー」との相性はどうだろうかとも思ったんですが、結果的にすばらしい看板連載になっていただけました。


清野:グルメ要素を入れたのは、東京ウォーカーさんに対する申し訳なさっていうのもありましたね(笑)。


加藤:それはすごく伝わってきました(笑)。めちゃめちゃありがたいです。


――『東京怪奇酒』にはさまざまな怪奇体験が登場しますが、体験者の方々はどのように探されているんですか?


清野:意外と身近な人が多いんです。前から知り合いだった人がこのタイミングで話を聞かせてくれたり。あとは加藤さんの知り合いの方などですね。


――身近な繋がりだけでこんな濃いお話が拾えるなんて、かなりヒキが強いのでは?


清野:いや、僕はわりと誰でもそういう話を持っているんじゃないかと思っているんです。それを思い出せるか、出せないかの違いだけなんじゃないかと。だからこちらの聞き方次第で、高確率で話を引き出せると思います。だって、この加藤さんでさえ持っていたんですよ。


――『東京怪奇酒』に収録されている「幻の大仏」のお話ですね。加藤さんが取材の帰り道に通りかかった公園の中に大仏が鎮座しているのを見かけたのに、一ヶ月後に同じところを通ったら影も形もなく、そもそももとから存在すらしてなかったと知ってパニックになったという……。先程現場にも一緒に行きましたが、大変興味深かったです。


加藤:大仏のことを思い出すまで、私も霊体験みたいなものは全くないと思っていたんですが……。


画像1

加藤編集長が見たという「幻の大仏」。


清野:最初にこの連載を始めるにあたって、加藤さんに怪奇情報があるか聞いた時は「そんなのないし、どちらかといえば半信半疑だ」と言っていたんです。そんな加藤さんですら、あんな大仏を見ていたんです。自分の中で解せないものって、忘れるようにできているのかもしれないですね。


――そんな記憶に埋もれた怪奇体験を引き出せるのは、相当な取材力だと思います。状況なども詳細に聞き出されていますね。


清野:基本的には『「疑」寄りの半信半疑』というスタンスで聞いているんです。僕が全面的に信じてしまわずに、疑いつつ話を聞き出しています。そのうえでこれは嘘ではないなっていうものだけを、作品にしています。というのも、今まで怪談本やテレビの怪談番組などを見てきたなかで「なんでそこをもっと詳しく聞いてくれないんだろう?」とか思うことが結構あって、常々「自分だったらこうしたい」と思っていたことを今回実践させてもらっています。


――本編に入りきらなかった情報が掲載してある「おこぼれ怪奇情報」というコーナーもいいですね。怪奇現象とは直接関係ない周辺情報なども詳しく書かれています。


清野:「おこぼれ怪奇情報」を作ってまでどうでもいいディテールにこだわったのは、どうでもいいことを掘り下げれば掘り下げる程、本筋の怪談のリアリティが増してくるんじゃないかという理由からです。


――そうして取材された怪談の現場に赴いて「怪奇酒」を行うわけですが、現場には清野さん一人で行かれるんですか?


清野:基本的にはそうですが、加藤さんに同行してもらうパターンもあります。おかしなことが起こった時に、一人だと気のせいかもしれないので漫画に使いづらいこともありますが、二人の時に起これば信憑性が増しますよね。あと、これも僕なりのこだわりなんですが、なるべくその怪異が起こった場所でネームや漫画を描くようにしているんです。現場で描くと、怪異の空気に浸れてよりいいものが描けるんじゃないかと思っていて。先程行った大仏の公園も、そのために何回も来ています。


――それは濃い漫画になりそうですね……。


清野:実は『東京怪奇酒』を買っていただいた方の周りで、ネタではないレベルの怪異が起こっているらしいんです。「夜中の二時にインターホンを連打された」とか「寝ている時に何度もツンツン突かれた」とか、ツイッターで呟かれているんです。それって、もしかしたらそんなことをしているせいかもしれないし、なんなら描きながら「読者に、洒落になる程度で怪異が起これ!」って強い念を込めてるので、そのせいもあるかもしれないです(笑)。


――清野さんの思いが届いて怪異のおすそ分けが発生しているわけですね。『東京怪奇酒』では清野さん自身も奇妙な体験をされてますね。不可解な写真が撮れたり、尋常じゃない頭痛に見舞われたり。


清野:でもそれだけじゃ霊体験とは言い難いですね。見なきゃだめですよ、やっぱり。


――漫画でも描かれてましたが、はっきりと霊を見たいんですね。


清野:そうです!


――これまで、霊が見えるまでのことはないにしても、それに近い体験をされたことはないんですか?


清野:一つだけ、明らかにおかしな体験をしたことがあるんです。それは今後の『東京怪奇酒』で描こうと思っています。それでも僕の中では満足度六十から七十パーセントくらいですね。「いわくつきの場所で、実体として現れて、目の前で消える」くらいの体験をしないと、百パーセントではないです。だからまだ足りないですね。


――お化けを見たいという気持ちの表れか『東京怪奇酒』は実話純度の高さを感じます。これまで多くのルポ漫画を描かれてきた清野さんは、やはり怪談でも実話志向なんですね。


清野:僕はやっぱりフィクションより現実の話の方が面白いです。映画やテレビでもどちらかというとドキュメンタリーが好きですね。「こんなこと本当にあったの!?」ってびっくりしたいんです。


――同じ実話といっても『東京都北区赤羽』などのように生きている人を取材するのと『東京怪奇酒』で怪奇を取材するのとでは、違いはありますか?


清野:いや、完全に一緒です。『東京怪奇酒』でやっていることは、変な人を霊にすり替えただけで、実質『赤羽』なんかと全く同じなんですよ。でも変な人とはいえ実在している人間だと、描いてお終いとはいかないじゃないですか。しがらみができて、生きている限りずっと接し続けることになるのが大変です。その点幽霊は、そういったしがらみがないのが楽ですね(笑)。ただもちろんめちゃくちゃ怖いですよ。こんだけ幽霊を見たいと言いつつも、心の底から怖いので「怪奇酒」の現場では本当に怖がっています。でも怖いから楽しいんですよねえ。


――ちゃんと怖がりたいから、その怖さをちょっとマイルドにするためのお酒だったりするわけですね。


清野:そうですね。飲まないと怖過ぎちゃって楽しめないし、飲み過ぎちゃうと怖さがなくなって楽しめない。怖さを楽しめる絶妙なラインの飲酒が「怪奇酒」のポイントですね。


画像2

怪談の現場という非日常空間での飲酒には、独特の興奮が伴う。


――そんな『東京怪奇酒』の、第二弾のご予定は?


清野:二巻目は今年中には出したいと思っています。


――それは楽しみです。今後の「怪奇酒」にも期待しています。


清野:加藤さんの知り合いから聞いた話で、今すごい気になっている物件があるんです。できれば近いうちにそこで「怪奇酒」をできたらなと目論んでいます。




「小仏」写真、その内容とは?

清野さんの写真データをカメラマンにお送りしたお返事がこちらです。

メール添付のせいか生データではなくなってしまっていますが、状況は以下ですね。
a)iPhone11 PROで撮影
b)メール添付だったからかEXIF情報が廃棄されてしまっていた。
c)複数枚の写真で霧のような白い写真になった。
d)その他の場所ではこの状態にならない。
e)手持ちで撮影した。

1.印象だけでいえば、長時間露光でフラッシュをたいた露光オーバーの写真に見える。

2.カメラ側の照明が点いた状態(フラッシュとか)でレンズ前に指など何かものがある場合に、この状況になることが考えられる。特にスマートフォンはレンズ近くにライトがあるためこのような写真になる可能性は高い。(上記cから考えにくい)

3.ただし、スマートフォンのカメラは自動露光制御が通常はされているので、このような露光オーバーの写真にはなりにくい。以下の条件の中なら可能性はある。
2-1)アプリを使用して撮影した(マニュアル露光ができるアプリなど)
2-2)撮影後に加工を行った。(今回の場合考えにくい)
2-3)水がついているなど、カメラレンズが異常に汚れていた。
2-4)カメラの故障(上記cから考えにくい)
2-5)偶然のカメラ誤作動。

4、私が撮影した以下の写真の左側に写っているマンションが画像のマンションと似ている。さらに、この位置くらいに外灯があるのがわかる。



5、相当な露光オーバーの状況でなければならない。その場合、右下の発光物体が外灯なら、カメラが固定されてなければならない。(上記eから考えにくい)

これらのことから……
わかりません(笑)。
何なんでしょうね。
不思議です。

「小仏」写真拡大版

清野さんの怪奇体験、いかがでしたでしょうか。最後に「小仏」写真の大きいサイズを掲載します。読者のみなさまに不思議で楽しい出来事が起こりますように!



清野とおる『東京怪奇酒』詳細はこちら(KADOKAWAオフィシャルページ)
https://www.kadokawa.co.jp/product/321911000491/



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清野 とおる

東京都北区赤羽在住、30代の男性漫画家。『ウヒョッ! 東京都北区赤羽』(双葉社)、『その「おこだわり」、俺にもくれよ!』(講談社)、『ゴハンスキー』(扶桑社)など、問題作を次々と発表し続ける奇才漫画家。

加藤 玲奈

「東京ウォーカー」編集長。

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