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特集

学校がつらい、生きづらい・・・そんなあなたに寄り添いたい――『明日、学校へ行きたくない 言葉にならない思いを抱える君へ』発売記念インタビュー!

取材・文:ヨメルバ編集部 

山崎聡一郎さん、茂木健一郎さん、信田さよ子さんの著書『明日、学校へ行きたくない 言葉にならない思いを抱える君へ』が、KADOKAWAより刊行。著書のおひとりである山崎聡一郎さんに出版までの経緯や本作にかける思いなどをインタビューしました。インタビュー後半では、不登校新聞編集長との対談もお届けします。


――出版された著書『明日、学校へ行きたくない 言葉にならない思いを抱える君へ』に込めた思いと、出版までの経緯について教えてください。


山崎:2019年にニコニコ生放送番組「明日、学校へ行きたくない」の出演者として呼んでいただいたのがきっかけです。この番組は、夏休み明けの9月1日に子どもの自殺が1年でもっとも多くなる問題を踏まえて、生放送で少しでも悩んでいる子どもに寄り添いたいと、2018年から放送されています。

学校に行きたくないと悩んでいる子、学校生活がつらい子、いじめにあっている子、そしてかつてそうだった大人たちからの投稿について、脳科学者・茂木健一郎さんと臨床心理士・信田さよ子さんとともに語っています。それでKADOKAWAさんと書籍をつくる話になったときに、この番組の書籍化を提案して実現したんです。

大人って、子どもから相談されたらつい「こうした方がいい」などと答えを伝えようとしてしまいます。それは、やっぱり悩みを解決してあげたいと思うから。だけど、子どもの悩みを決めつけて、自分の知識や経験から勝手なアドバイスをして、本当にその子が救われるかなって考えたんです。アドバイスじゃなくて、話をじっくり聞くことから始めないといけないんじゃないかなって。

だから、番組ではまずは悩みを聞いて「ああじゃないな」「こうじゃない」「こうだと思うんだけど、どうなんだろう」と、専門家が悩んでいる姿を見せられればいいなと思ったんです。

書籍でも生放送で専門家がウンウンうなっている様子を、できるだけそのままに再現できるように工夫してつくったんですよ。この本を読んでくれた子どもが、答えを少し見つけられるとか、自分と同じように悩んでいる人がいるとか、専門家でもわからないんだなぁと感じてもらえればいいなと思っています。

ここからは不登校新聞編集長として不登校問題について長年取り組まれている石井志昂さんとともに、たっぷりお話しをうかがいました。


写真

(写真左から)山崎聡一郎さん、石井志昂さん


――お二人はどんな思いで活動されているんでしょうか。


石井:私は『不登校新聞』という新聞を月2回発行しています。不登校をしている本人や親御さんが安心できる新聞をお届けしたいなと思っていて、当事者の声や体験談をなるべく載せるようにしています。というのも、私自身が中学2年生の時に不登校になったんですね。

先生との関係が悪かったり、親の期待に応えられないことがプレッシャーになったりと、いろいろなことが重なって学校に行けなくなりました。行けなくなって「自分は終わりだ」と思いました。でもちょうどそのとき、フリースクールがあることを知ったんです。

20年前はフリースクールなんて誰も知らなかったんですよ。フリースクールを知ったことは、私の唯一の希望になりました。自分は生きていていいと思えたんです。そしてこの経験は「情報が人を救う」という気づきを与えてくれました。それが私の活動の原点となっていて、不登校の人たちが生きていくために必要な情報を届けていきたいと、不登校新聞を続けています。


山崎:ぼくは、法教育からいじめ問題を解決することを目指して、研究や執筆、講演活動をしています。小学校の時にいじめの被害にあって、中学校を受験していじめから逃れたんですね。でもそれは、たまたま引っ越しをしなくても希望の私立中学に通える条件が整っていたこと、受験する方法もあるという情報を得られたこと、特待生となって経済的に通えるという条件がそろったからなんですよね。

つまり中学受験をしていじめから逃げるという方法は、誰にとっても開かれた方法ではないんですよ。いじめは、学校に通っていたらどこかで遭遇する可能性があるものです。それに学校って、原則として行かなきゃいけないものという前提がみんなの中にありますよね。でも義務教育の場にもかかわらず、行けなくなったときのフォローが全然ない。それっておかしいんじゃない、と思うんです。だから、学校が誰にとっても積極的に行きたい場所でありつづけるために、ぼくは活動をしています。


――最近は「つらかったら学校に行かなくていいよ」と言ってくれる人が増えてきました。でも学校以外のところってどこがあるんでしょうか。フリースクールくらいしか思い当たりません。


写真

石井志昂さん


石井:フリースクール以外にもたくさんの場所があるんですよ。ホームスクーリングといって、家庭が学びの場となって学習を進めていく方法もありますし、公的機関では「教育支援センター」と呼ばれる施設が不登校の子の居場所になっています。

フリースクールのない地域では、御神輿クラブや合唱クラブなど、地域のクラブが不登校の子の受け入れの土壌になっています。いろんな年齢の人が集まる場所に週1回通うなかで、本人の居場所になるようですね。高校になれば通信制高校もあるので、選択肢はさらに広がります。


山崎:ぼくは不登校ではなかったんですけれど、いじめにあっていたときに児童相談所にお世話になっていました。児童相談所っていうと、親に虐待されている子どもが行くところとか、家庭に問題があるような子が集まる場所など、あまり良くないイメージがあるかもしれませんね。

でも、ぼくはそういう家庭環境ではありませんでしたし、学校で抱えていた心の傷をケアしてもらうために週に1回くらい通っていたんです。遊び場のひとつみたいなイメージでしたね。


石井:児童相談所も不登校の相談を受けていたという歴史があるんですよ。悪いイメージがあったとしても、通う子どもにとって居心地が良ければいい場所ですよね。


写真

山崎聡一郎さん


山崎:そうですね、ぼくには悪いイメージがないんです。カウンセラーさんと1時間くらい雑談したり、いろいろ話を聞いてもらったり遊んだりしていました。最初は親に連れて行かれましたが、そのうち自分で自転車をこいで通っていましたね。


石井:学校や場所がどこであるかは大事ではなくて、話を聞いてくれる人がいることが大切で、不登校の子の受け皿になるんですよね。


――明日、学校に行きたくないと思っている人にメッセージはありますか。


石井:もし「明日、学校行きたくない」と思ってる人がいたら、今日と明日はぜひお休みしてもらえたらなと思います。私も「明日はもう学校に行けない」と思って、それからずっと行かなかったんです。行けなくなったとき、「自分の人生は終わった」と思いました。

でもそのあとに待っていた人生は、とっても普通の人生でした。楽しいことも苦しいこともある、仕事にも就いて、好きな人もできて、結婚もしました。もちろん夫婦ゲンカだってしています。

学校を休んだら自分の人生がどうなっちゃうんだろうと心配しているかもしれません。でも、みんなが頭の中に描くような普通の未来が待っていたんです。だから安心して今日と明日は休んでほしいなと思います。


山崎:明日、学校に行くか行かないか、自分で決めてほしいなと思います。もし、あなたが学校に行かないことを選んだのであれば、それを良い選択にしてほしい。

良い選択にするためには、どうしたらいいか。それは、学校に行っていたらやらないはずだった、ほかの何かをやってみることです。勉強だってゲームだって、どんなことを選んだっていい。自分から選びとることが大切です。

「何もやらない」だって立派な選択です。これは実は、とても勇気のある選択なんですね。将来やらなければいけないこと、やりたいことが見つかったときに、「何もやらない」を選んだことが、きっと大きな力になってくれるはずです。ぜひ「明日は学校に行かないで、何もしないぞ」と主体的に選んでほしいなと思います。


山崎 聡一郎

教育研究者、写真家、俳優。『こども六法』(弘文堂)著者。
「法教育を通じた いじめ問題解決」をテーマに研究や講演を行いながら、ミュージカル俳優・声楽家としても活動中。

石井 志昂

NPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』の編集長。
不登校の子どもや若者、不登校経験者の声を聞き続けている。

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