解放された翻訳者のプラハ旅行記
【第2回】
◎11月19日(水)――プラハ2日目
朝起きてアプリを確認したところ、最後のプロセスをクリアしてQRコードが表示されていた。万歳!
朝食のあと、8時30分にロビー集合。ヴィートさん、きょうもどうぞよろしく。
きのうより少し寒いか。コートとマフラーは必要。天気はきょうも快晴。
わたしが風邪気味でときどき咳きこんでいたので、ヴィートさんがのど飴のホールズを持ってきてくれた。なんと親切な。ガイドの仕事をしているとのど飴は必需品で、特に効くのがこの extra strong だ、と。
その後、トラムと地下鉄で移動し、フォリマンカ公園の近くでおりる。
飲料水のペットボトルを買うためにコンビニに寄る。チェコには世界的なチェーンのコンビニがほとんどなく、このとき寄ったのはベトナム人の営む個人雑貨店のようなところ。
ヴィートさんによると、共産主義時代にチェコスロヴァキアとベトナムには深い交流があったので、ベトナムからの留学生がビロード革命後にも多く残り、コンビニを営むようになった。そのため、いまプラハにあるコンビニの9割ぐらいはベトナム人の店だという。
【十字架砦とフォリマンカ公園】
十字架砦は、SOSの主要登場人物のひとり、科学者ブリギタ・ゲスネルのラボがある場所で、正式名はBastion U Božích mukだ。こことつぎのフォリマンカ公園はプラハ市の中心部から少し離れていて、観光地ではないので、あまり人を見かけない。
9時にアマイさんと待ち合わせ。ここへ来る観光客はほとんどいないから、このコースを自分が案内するのははじめてだという。
きのうまわったのはプラハ1区。きょうのここはプラハ2区。
彼方の丘の上に見えるのが十字架砦だ。あそこまでのぼるのか……(さりげない顔をしているが、実はちょっとびびっている)
下のほうを歩いていくと、アマイ探偵が斜面を指さし、あそこがおそらく××××××(ネタバレにつき伏せ字)が突き落とされた崖ではないかという推理を披露してくれる。いやあ、すごい、目で見るSOS解説だ。アマイさんの口癖は I'm not hundred percent sure, but ... だが、100%と言いきってかまわないものばかりだ。
このあと、工事で通行止めの個所などがある関係で、先にフォリマンカ公園へ向かう。
SOS後半の重要な場所(架空の施設)がここにあり、作中では意外に小さいのではないかという印象を受けたが、周囲の構造物の配置などを考えると、1,000平方メートルという記述は妥当ではないかということで、アマイさんと意見が一致した(ネタバレ防止のため、曖昧な書き方ですみません)。
坂の下のあたりにはスポーツセンターがあり、スポーツ関係の銅像がいくつか並んでいる。体操選手の像があったので、自分やそれ以上の世代の日本人にとって、いちばん有名なチェコ人はたぶんベラ・チャフラフスカ(東京五輪、メキシコ五輪で金メダル7個獲得)だと言ったところ、チャフラフスカはヴィートさんと同じ町の出身で、ヴィートさんのお母さんといっしょに買い物に行ったりしていたとのこと。ええっ!? アマイさんもわたしもびっくり仰天だった(松原さんはだいぶ年下なのでチャフラフスカを知らなかった)。
そして、作中で非常に重要な意味を持つフォリマンカ公園の核シェルターの入口に。落書きみたいなものがあってなんだか偽物っぽいが、まちがいなくここだ。
つづいて、今回の旅の最大の目的地と呼ぶべき R2‐D2(101章)の前に。この換気ダクトに匿名のアーティストが絵を描いたのは2017年。当初は R2‐D2 そのものだったが、いまは落書きでこんな感じになってしまった。裏にまわっても同じだ。
それにしても、まわりにだれもいない。チェコではあまり〈スター・ウォーズ〉の人気が高くない、とアマイさんもヴィートさんも言う。これまでに問い合わせがあったのも、外国人の旅行者だけらしい。
そこから少しおりたところに、もうひとつおもしろいものがあるというので、行ってみると、同じ型の換気ダクトなのだが、こっちは黄色い。なんと、ミニオンじゃないか。SOSには出てこないが、ダン・ブラウンは気づいていたのだろうか。
そこから十字架砦のほうへもどっていく。こちらの塀にも落書きがある。
途中で、ゴシックとバロックの様式が混在している建物の前を通る。これは以前は修道院だったが、共産主義時代にプラハ市、その後チェコ共和国の所有物となり、いまは警察博物館として使われているらしい。
十字架砦のゲスネルのラボの外には、実際には現代美術の庭園がある。これらのオブジェは何かの動物を模しているのだろうか。プラハ芸術アカデミー(AMU)の学生が造った作品が多いという。みんなでさわろうとしたが、チェコ語で「さわらないでください」と書いてあるのをヴィートさんが見つけた。危ない、危ない。
そして、先ほどの××××××が突き落とされたのはこの近くだと判明する(アマイ探偵を100%信用しよう)。
某科学者のラボの中心部にあるのは、現実にはこのレストラン(Bastion Prague Restaurant)。営業時間前だったが、アマイさんが交渉してくれ、そのなかで話をうかがったところ、ダン・ブラウンが2021年ごろ(新型コロナの時期)にここに極秘で取材に来たらしい。なんと壁には本人のサインが! まさか、ここでこれに出会えるとは!
興奮冷めやらぬなか、坂をおりていく。
【ダンシング・ハウス】
ヴィートさんの名前は聖ヴィート大聖堂から来ているのか、と尋ねると、そのとおり、聖人の名前から採ったもので、そのようなケースは年長者ほど多いという。
そう言えば、カフカはチェコ語でカラスの一種(ニシコクマルガラス)だとのこと。スメタナは発酵クリームという意味で、ムハ(ミュシャ)はハエだそうだ。クイズのネタをいろいろ仕入れることができた。
そこからトラムで移動し、昼食の場所の近くに。おりたところのすぐそばにダンシング・ハウス(16章)があった。
フランク・ゲーリーとヴラド・ミルニッチが設計した建物で、1990年代に建造された当初は景観を損なうということで市民の反発を招いたが、いまは好意的に受け入れられているという(損なっていないと思う)。
愛称はフレッドとジンジャー。そう、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースが踊っているように見えるでしょう? これと直接の関係はないけど、フェデリコ・フェリーニ監督の〈ジンジャーとフレッド〉も傑作なので、よかったら観てみてください。
アマイさんはきょうはここまで。あすもう1日、さらなる名推理を楽しみにしています。
ところで、日本からのお土産のひとつとして、ここで松原さんがアマイさんにカボチャのスープをプレゼントしたところ、アマイさんがすかさず、"Is this Hokkaido?" と訊いてきた。たしかにパッケージに北海道のシルエットが描かれているんだけど、えっ、なんでわかったの? どうやら、チェコではオレンジ色のちょっと小さめのカボチャが Hokkaidó と呼ばれているとのこと。へえ、知らなかった。あとで調べたところ、かつて北海道から輸入された品種がいまは現地で育てられるようになっていて、チェコだけでなく、ドイツやオーストリアなどでも普及しているそうだ。
【昼食:U Kalendů】
コーディネーターのフイエンさん、さらにダン・ブラウン作品のチェコでの出版社・アルゴ社の代表であるゲルナルさんと5人で昼食。
ここもフイエンさんの選んだ店だから、もちろん美味。
たくさんシェアしたので、全部は思い出せないけど、自分のメインはローストビーフ。
1枚目右上の黒っぽいやつはなんだっけ。豚の何かです。そうそう、鼻だ。チェコでは豚の膝の料理も大人気らしい。
1枚目真ん中のウナギの料理が、日本では珍しい調理法で、新鮮な味わい。
タルタルステーキ(1枚目右側の真ん中の2皿)もまったく癖がなく、生肉があまり得意ではない自分でもいくらでも食べられる。
ゲルナルさんから、SOS翻訳の裏話をいろいろ聞く。
何年も前から、ダンは極秘でアルゴ社と協力しつつ執筆を進め、原稿はひとりの編集者だけが読んでいたという(ゲルナルさん自身もまったく読ませてもらえなかった)。編集者の責任は重大だ。たぶん、謝辞に名前のあるペトル・オヌフェルという人ですね。その横にゲルナルさんのお名前も載っています。
日本では翻訳者6人が一室にこもって2か月半で作業したという話をしたところ(「監禁された翻訳者の手記」参照)、一同に驚かれる。映画〈9人の翻訳家〉のことはだれも知らなかったから、ひょっとしたらチェコでは公開されていないかもしれない。
ゲルナルさんはレコード針を収納する小さい箱を集めるのが趣味とのことで、特に日本のものの柄が大好きだということだが、スマホで画像を見せてもらっても、自分でも見たことがないような珍しいものだった。世の中、いろいろな趣味の人がいるものだ。
いちばん好きなダン・ブラウン作品は『天使と悪魔』だとのこと。意見が合いました。
SOSはプラハが舞台なので、前作よりもずいぶん販売部数を増やしたのではないかと松原さんが尋ねたところ、せいぜい2倍程度だとのこと。前作の初版部数はだいたい日本と同じくらいらしいので、チェコの人口が日本の10分の1ぐらいであることを考えると、もともとものすごい人気だということだ。
チェコでの問題があるとしたら、若い人は英語でむずかしいものを読める人が多いので、チェコ版の翻訳を待たずに英語で読んでしまうということだという。たしかに人口の少ない国では悩ましい問題だろう。
食事を終え、5人で記念写真。
しまった、この店はコフォラがあったのに、注文するのを忘れた! もう出発の時間だ。あすの昼に行く店には確実にあるらしいので、それまで我慢しよう。
【クレメンティヌム】
午後のツアーのメインはクレメンティヌム(61章など)。アプリがあるから安心してはいれる。
フイエンさんはあすは来られないので、ここでお別れ。いろいろお世話になりました。また近いうちにぜひ会いましょう。
ここからはクレメンティヌム専属のガイドがついてくれる。髪が長く聡明そうな(ちょっとオタクっぽいかもしれない)青年だ。なんとなく、SOSに出てくるペンギン・ランダムハウス社のIT担当、アレックス・コナンはこんな風貌ではないかという気がする。
入口の前には、各国語(日本語も含む)のくわしい館内案内が置いてある。
螺旋階段をのぼって、2階の図書館控えの間へ。クレメンティヌムはイエズス会の修道士たちがプラハへやってきた1556年に創建されたものだという。現在、ここは3万冊近くを収蔵する国立図書館だが、一般の人がはいれる場所は少ないそうだ(理由がはっきりしていれば、閲覧はできる場合がある)。
SOSに登場するギガス写本(悪魔の聖書)は、一時的にプラハに貸し出されたことがあるものの、ふだんはスウェーデンにある。ここにはそのレプリカがあるが、それも一般の人は閲覧できないらしい(ダン・ブラウンが見たとしたら、特別な許可を得てそうしたはずだ)。
そこから、バロック様式の図書館(63章など)の前へ。入室はできないので、入口から撮影。貴重な資料が並んでいるから、フラッシュ撮影は禁止とのこと。
作中ではラングドンはこの空間を自由に移動し、ちょっとした騒動を起こしたあと、63章の最後に、秘密の扉の奥に隠れていたある人物と会う。ガイドのかたによると、それは2階奥の右にある黒い扉で(拡大して見てください)、たしかに奥に部屋があるが、秘密というわけではないという。いつもながら、ダンは現実の舞台をうまく利用してフィクションに昇華させているので、読者のみなさんはここへ行っても勝手に忍びこんだりしないように、どうぞよろしく。実のところ、ガイドのかたは、今後は変なお客さんがここで奥へ駆けこもうとしたり放火したりしないように警戒する必要があると苦笑していた。
そこからまた螺旋階段をのぼると、3階が天文塔、4階が子午線の間で(階段ののぼりがけっこうきつくて老兵はしんどい)、古めかしい観測装置がある。16、7世紀のティコ・ブラーエやヨハネス・ケプラーの時代から使われていたものらしい。装置は一見原始的に見えるが、説明を聞くとなかなか理にかなっていておもしろい。
クレメンティヌムでは何百年も気温などが測定され、その記録がよく参照されて、最近の天気予報でも、「クレメンティヌムで何年に観測されて以来」などと表現されるという。
そこからさらにのぼった学習室にも、趣深い天文機器がいくつか並んでいる。
さらにのぼり、最上階へ。屋外の回廊からは市内が一望できてこの上ない絶景だが、手すりがあまり高くないので、はっきり言ってこわい。脚が震える。こわい、こわい。『インフェルノ』の冒頭のシーンが脳裏をよぎる。こわい、こわい、こわい。
外へ出て写真を撮ろうと言われたので、がんばって立っていたが、笑顔が引きつっているのがわかるだろうか。
しかし、高い場所が好きだという松原さんは、楽しげに回廊をすいすい歩いて1周している。こんなところで担当編集者に弱みを握られてしまった。
【フォーシーズンズ・ホテル】
恐怖の塔からほうほうのていで脱出し、つぎはラングドンとキャサリンが泊まっていたフォーシーズンズ・ホテルへ。
こんどはホテルの担当者の女性が案内してくれる。
春ぐらいまではSOSとのジョイント企画をやっていて、宿泊者はダン・ブラウンのサイン本をプレゼントされるらしい(うらやましい!)。
ロビーはこんな感じ。ラングドンがあわてふためいて駆けこんだ場所だ。
左奥にある彫像は、昨夜の〈共産主義の犠牲者たち〉と同じ作者のものだそうだ。言われてみれば、たしかに似ている。
ラングドンとキャサリンが泊まったロイヤルスイートを上から見るとこんな感じ。作中にあるとおり、本館とつながった離れになっている。残念ながら、きょうは宿泊客がいるので、中は見せられないという。SOSが日本で爆々売れしたら、ご褒美に再度のプラハ旅行でここに泊まらせてくれるかもしれない、と願掛けをする。
ラングドンが飛びこんだヴルタヴァ川はこれ。写真ではわかりにくいが、部屋からゆうに10メートル近く離れている。全力で助走をつけても飛びこむのはなかなかむずかしいが、超人ラングドンのことだから軽々とやってのけたのだろう。
ラングドンがベーコン味のカクテル、キャサリンがボヘミアンアブサンを飲んだ、というか、飲まされたバーはここ(24章)。ベーコン味のカクテルはかつて実在したそうで、写真を見せてもらった。もちろん、ここにはとびきり美味のカクテルが何種類もあるにちがいない。
最後にヴィートさんが、案内してくれた女性に "Are you in the book?" という意表を突いた質問をしたところ、答は残念ながらノー。ただし、とんでもないことをやらかしたラングドンに腹を立てたマネージャーについては、彼女の上司をモデルにしているのではないかと思われる節があるという。
いろいろ教えてくださって、ありがとうございました。
【ブックタワー、旧市庁舎】
夕食へ向かう途中、プラハ中央図書館の入口ロビーにそびえ立つブックタワーへ。8,000冊の本を接着して造ったものだという。中は空洞だが、上下に鏡が貼ってあるので、無限に重なっているように見える。
KADOKAWA の武蔵野ミュージアムのことを思い出し、つぎに日本に来たときはそこへ案内しますとヴィートさんに言ったら、大喜びしていた。
それにしても、息を呑むほど夜景が美しい街だ。
しかし、最後の写真の建物(旧市庁舎)の前を通ったとき、ヴィートさんが、これを見てバランスが悪いと思いませんか、と言った。建物の右側のほうが色がちがっているが、これは第2次大戦が終わるころにナチスとプラハ勢の戦いで焼けたのを、若い人たちに戦争の記憶を伝えるためにあえて修復せずに残したのだという。
ただ美しいだけでなく、ずっしりと歴史の重みが感じられる街だ。
少し時間が余ったので、お土産のためにガラス製品の店をちょっとのぞいたあと、夕食のレストランへ。
【夕食:420 restaurant】
夕食は420 restaurant で。420というのは国際電話でのチェコの国番号だ。
店内は無数の鳥が飛んでいるかのようで、ゆったりと落ち着いた贅沢な空間。疲れが癒やされる。
言うまでもなくここも美味だったのだが、メニューに Rooster Ramen なるものがあって、思わずメインのほかにこれを注文した(衝撃のあまり、メインで何を食べたかは忘れた)。ヴィートさんも初耳だそうで、自分でも注文していた。
そして出されたのがこれ。その場でスープが注がれたんだが……なんだ、これは?
英語のメニューによると、この料理は "Rooster broth with noodles, egg yolk, dumplings with shredded meat and smoked rooster with lobe" だそうだ。日本語訳すると、「雄鶏のスープに麺、卵の黄身、ダンプリング(水餃子みたいなもの)、薄切りの肉を入れたものに、耳たぶのついた雄鶏の肉の燻製を添えた」という感じか。
まあ、画像と照らし合わせて見ると、どれがどれだかわかる。スープはほぼ醤油味。麺も卵も、日本のラーメンではちょっとお目にかかれない代物だけど、味は悪くない。
しかし、横の雄鶏はいったいなんのためにいるんだ? 実はその場ではトサカそのものの唐揚げだと思って食べたんだけど、これ、最初からラーメンの上にのっければいいんじゃね?
ヴィートさんも、これはちょっと理解できないと言っていたので、この店だけの超レアなスペシャルメニューなんでしょう。楽しい珍メニューが好きなかたは、プラハへ行ったらこの店で食べてみてください。値段は450チェココルナ(1チェココルナは現在7.5円ぐらい)なので、自己責任でどうぞ。珍メニューはこれだけで、あとはふつうのすばらしいチェコ料理を堪能できます。
それはそうと、これまでの食事ではいっさいアルコールを口にしなかったヴィートさんが、きょうははじめてビールを注文。実はビールが大好物だが、仕事中は飲まないことにしていて、これがお別れの晩餐なので1杯いただくという。2日間、ユーモアを絶やさず誠実にガイドと通訳をつとめてくれたヴィートさんとの別れがほんとうに名残惜しい。
ヴィートさんは日本では静岡の三島のあたりに来ることが多いという。つぎの来日の折には、ぜひわれわれが東京でのガイドをつとめたい。
きのう書き忘れたことがひとつ。ヨーロッパではほぼすべての店でクレジットカードが使えるので、今回、あわただしい出発だったこともあって松原さんもわたしもまったく現金を持参しなかったが、ホテルのベッドメイクなどで若干のチップが必要になった。
1日目の夜は、ホテルにある両替機を使おうとしたが、日本の新紙幣に対応していなくて、たまたま1枚だけあった旧紙幣を使ってどうにかしのいだ。
2日目の夜は、街なかにある両替機がクレジットカードに対応していたので、それでチップ用の50チェココロナ硬貨を数枚手に入れた。
今後チェコへ旅行する人のために、ご参考まで。
ホテルに着き、ヴィートさんとお別れの記念写真。最高のガイドさんにプラハで出会えました。ありがとうございました。
朝食のあと、8時30分にロビー集合。ヴィートさん、きょうもどうぞよろしく。
きのうより少し寒いか。コートとマフラーは必要。天気はきょうも快晴。
わたしが風邪気味でときどき咳きこんでいたので、ヴィートさんがのど飴のホールズを持ってきてくれた。なんと親切な。ガイドの仕事をしているとのど飴は必需品で、特に効くのがこの extra strong だ、と。
その後、トラムと地下鉄で移動し、フォリマンカ公園の近くでおりる。
飲料水のペットボトルを買うためにコンビニに寄る。チェコには世界的なチェーンのコンビニがほとんどなく、このとき寄ったのはベトナム人の営む個人雑貨店のようなところ。
ヴィートさんによると、共産主義時代にチェコスロヴァキアとベトナムには深い交流があったので、ベトナムからの留学生がビロード革命後にも多く残り、コンビニを営むようになった。そのため、いまプラハにあるコンビニの9割ぐらいはベトナム人の店だという。
【十字架砦とフォリマンカ公園】
十字架砦は、SOSの主要登場人物のひとり、科学者ブリギタ・ゲスネルのラボがある場所で、正式名はBastion U Božích mukだ。こことつぎのフォリマンカ公園はプラハ市の中心部から少し離れていて、観光地ではないので、あまり人を見かけない。
9時にアマイさんと待ち合わせ。ここへ来る観光客はほとんどいないから、このコースを自分が案内するのははじめてだという。
きのうまわったのはプラハ1区。きょうのここはプラハ2区。
彼方の丘の上に見えるのが十字架砦だ。あそこまでのぼるのか……(さりげない顔をしているが、実はちょっとびびっている)
下のほうを歩いていくと、アマイ探偵が斜面を指さし、あそこがおそらく××××××(ネタバレにつき伏せ字)が突き落とされた崖ではないかという推理を披露してくれる。いやあ、すごい、目で見るSOS解説だ。アマイさんの口癖は I'm not hundred percent sure, but ... だが、100%と言いきってかまわないものばかりだ。
このあと、工事で通行止めの個所などがある関係で、先にフォリマンカ公園へ向かう。
SOS後半の重要な場所(架空の施設)がここにあり、作中では意外に小さいのではないかという印象を受けたが、周囲の構造物の配置などを考えると、1,000平方メートルという記述は妥当ではないかということで、アマイさんと意見が一致した(ネタバレ防止のため、曖昧な書き方ですみません)。
坂の下のあたりにはスポーツセンターがあり、スポーツ関係の銅像がいくつか並んでいる。体操選手の像があったので、自分やそれ以上の世代の日本人にとって、いちばん有名なチェコ人はたぶんベラ・チャフラフスカ(東京五輪、メキシコ五輪で金メダル7個獲得)だと言ったところ、チャフラフスカはヴィートさんと同じ町の出身で、ヴィートさんのお母さんといっしょに買い物に行ったりしていたとのこと。ええっ!? アマイさんもわたしもびっくり仰天だった(松原さんはだいぶ年下なのでチャフラフスカを知らなかった)。
そして、作中で非常に重要な意味を持つフォリマンカ公園の核シェルターの入口に。落書きみたいなものがあってなんだか偽物っぽいが、まちがいなくここだ。
つづいて、今回の旅の最大の目的地と呼ぶべき R2‐D2(101章)の前に。この換気ダクトに匿名のアーティストが絵を描いたのは2017年。当初は R2‐D2 そのものだったが、いまは落書きでこんな感じになってしまった。裏にまわっても同じだ。
それにしても、まわりにだれもいない。チェコではあまり〈スター・ウォーズ〉の人気が高くない、とアマイさんもヴィートさんも言う。これまでに問い合わせがあったのも、外国人の旅行者だけらしい。
そこから少しおりたところに、もうひとつおもしろいものがあるというので、行ってみると、同じ型の換気ダクトなのだが、こっちは黄色い。なんと、ミニオンじゃないか。SOSには出てこないが、ダン・ブラウンは気づいていたのだろうか。
そこから十字架砦のほうへもどっていく。こちらの塀にも落書きがある。
途中で、ゴシックとバロックの様式が混在している建物の前を通る。これは以前は修道院だったが、共産主義時代にプラハ市、その後チェコ共和国の所有物となり、いまは警察博物館として使われているらしい。
十字架砦のゲスネルのラボの外には、実際には現代美術の庭園がある。これらのオブジェは何かの動物を模しているのだろうか。プラハ芸術アカデミー(AMU)の学生が造った作品が多いという。みんなでさわろうとしたが、チェコ語で「さわらないでください」と書いてあるのをヴィートさんが見つけた。危ない、危ない。
そして、先ほどの××××××が突き落とされたのはこの近くだと判明する(アマイ探偵を100%信用しよう)。
某科学者のラボの中心部にあるのは、現実にはこのレストラン(Bastion Prague Restaurant)。営業時間前だったが、アマイさんが交渉してくれ、そのなかで話をうかがったところ、ダン・ブラウンが2021年ごろ(新型コロナの時期)にここに極秘で取材に来たらしい。なんと壁には本人のサインが! まさか、ここでこれに出会えるとは!
興奮冷めやらぬなか、坂をおりていく。
【ダンシング・ハウス】
ヴィートさんの名前は聖ヴィート大聖堂から来ているのか、と尋ねると、そのとおり、聖人の名前から採ったもので、そのようなケースは年長者ほど多いという。
そう言えば、カフカはチェコ語でカラスの一種(ニシコクマルガラス)だとのこと。スメタナは発酵クリームという意味で、ムハ(ミュシャ)はハエだそうだ。クイズのネタをいろいろ仕入れることができた。
そこからトラムで移動し、昼食の場所の近くに。おりたところのすぐそばにダンシング・ハウス(16章)があった。
フランク・ゲーリーとヴラド・ミルニッチが設計した建物で、1990年代に建造された当初は景観を損なうということで市民の反発を招いたが、いまは好意的に受け入れられているという(損なっていないと思う)。
愛称はフレッドとジンジャー。そう、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースが踊っているように見えるでしょう? これと直接の関係はないけど、フェデリコ・フェリーニ監督の〈ジンジャーとフレッド〉も傑作なので、よかったら観てみてください。
アマイさんはきょうはここまで。あすもう1日、さらなる名推理を楽しみにしています。
ところで、日本からのお土産のひとつとして、ここで松原さんがアマイさんにカボチャのスープをプレゼントしたところ、アマイさんがすかさず、"Is this Hokkaido?" と訊いてきた。たしかにパッケージに北海道のシルエットが描かれているんだけど、えっ、なんでわかったの? どうやら、チェコではオレンジ色のちょっと小さめのカボチャが Hokkaidó と呼ばれているとのこと。へえ、知らなかった。あとで調べたところ、かつて北海道から輸入された品種がいまは現地で育てられるようになっていて、チェコだけでなく、ドイツやオーストリアなどでも普及しているそうだ。
【昼食:U Kalendů】
コーディネーターのフイエンさん、さらにダン・ブラウン作品のチェコでの出版社・アルゴ社の代表であるゲルナルさんと5人で昼食。
ここもフイエンさんの選んだ店だから、もちろん美味。
たくさんシェアしたので、全部は思い出せないけど、自分のメインはローストビーフ。
1枚目右上の黒っぽいやつはなんだっけ。豚の何かです。そうそう、鼻だ。チェコでは豚の膝の料理も大人気らしい。
1枚目真ん中のウナギの料理が、日本では珍しい調理法で、新鮮な味わい。
タルタルステーキ(1枚目右側の真ん中の2皿)もまったく癖がなく、生肉があまり得意ではない自分でもいくらでも食べられる。
ゲルナルさんから、SOS翻訳の裏話をいろいろ聞く。
何年も前から、ダンは極秘でアルゴ社と協力しつつ執筆を進め、原稿はひとりの編集者だけが読んでいたという(ゲルナルさん自身もまったく読ませてもらえなかった)。編集者の責任は重大だ。たぶん、謝辞に名前のあるペトル・オヌフェルという人ですね。その横にゲルナルさんのお名前も載っています。
日本では翻訳者6人が一室にこもって2か月半で作業したという話をしたところ(「監禁された翻訳者の手記」参照)、一同に驚かれる。映画〈9人の翻訳家〉のことはだれも知らなかったから、ひょっとしたらチェコでは公開されていないかもしれない。
ゲルナルさんはレコード針を収納する小さい箱を集めるのが趣味とのことで、特に日本のものの柄が大好きだということだが、スマホで画像を見せてもらっても、自分でも見たことがないような珍しいものだった。世の中、いろいろな趣味の人がいるものだ。
いちばん好きなダン・ブラウン作品は『天使と悪魔』だとのこと。意見が合いました。
SOSはプラハが舞台なので、前作よりもずいぶん販売部数を増やしたのではないかと松原さんが尋ねたところ、せいぜい2倍程度だとのこと。前作の初版部数はだいたい日本と同じくらいらしいので、チェコの人口が日本の10分の1ぐらいであることを考えると、もともとものすごい人気だということだ。
チェコでの問題があるとしたら、若い人は英語でむずかしいものを読める人が多いので、チェコ版の翻訳を待たずに英語で読んでしまうということだという。たしかに人口の少ない国では悩ましい問題だろう。
食事を終え、5人で記念写真。
しまった、この店はコフォラがあったのに、注文するのを忘れた! もう出発の時間だ。あすの昼に行く店には確実にあるらしいので、それまで我慢しよう。
【クレメンティヌム】
午後のツアーのメインはクレメンティヌム(61章など)。アプリがあるから安心してはいれる。
フイエンさんはあすは来られないので、ここでお別れ。いろいろお世話になりました。また近いうちにぜひ会いましょう。
ここからはクレメンティヌム専属のガイドがついてくれる。髪が長く聡明そうな(ちょっとオタクっぽいかもしれない)青年だ。なんとなく、SOSに出てくるペンギン・ランダムハウス社のIT担当、アレックス・コナンはこんな風貌ではないかという気がする。
入口の前には、各国語(日本語も含む)のくわしい館内案内が置いてある。
螺旋階段をのぼって、2階の図書館控えの間へ。クレメンティヌムはイエズス会の修道士たちがプラハへやってきた1556年に創建されたものだという。現在、ここは3万冊近くを収蔵する国立図書館だが、一般の人がはいれる場所は少ないそうだ(理由がはっきりしていれば、閲覧はできる場合がある)。
SOSに登場するギガス写本(悪魔の聖書)は、一時的にプラハに貸し出されたことがあるものの、ふだんはスウェーデンにある。ここにはそのレプリカがあるが、それも一般の人は閲覧できないらしい(ダン・ブラウンが見たとしたら、特別な許可を得てそうしたはずだ)。
そこから、バロック様式の図書館(63章など)の前へ。入室はできないので、入口から撮影。貴重な資料が並んでいるから、フラッシュ撮影は禁止とのこと。
作中ではラングドンはこの空間を自由に移動し、ちょっとした騒動を起こしたあと、63章の最後に、秘密の扉の奥に隠れていたある人物と会う。ガイドのかたによると、それは2階奥の右にある黒い扉で(拡大して見てください)、たしかに奥に部屋があるが、秘密というわけではないという。いつもながら、ダンは現実の舞台をうまく利用してフィクションに昇華させているので、読者のみなさんはここへ行っても勝手に忍びこんだりしないように、どうぞよろしく。実のところ、ガイドのかたは、今後は変なお客さんがここで奥へ駆けこもうとしたり放火したりしないように警戒する必要があると苦笑していた。
そこからまた螺旋階段をのぼると、3階が天文塔、4階が子午線の間で(階段ののぼりがけっこうきつくて老兵はしんどい)、古めかしい観測装置がある。16、7世紀のティコ・ブラーエやヨハネス・ケプラーの時代から使われていたものらしい。装置は一見原始的に見えるが、説明を聞くとなかなか理にかなっていておもしろい。
クレメンティヌムでは何百年も気温などが測定され、その記録がよく参照されて、最近の天気予報でも、「クレメンティヌムで何年に観測されて以来」などと表現されるという。
そこからさらにのぼった学習室にも、趣深い天文機器がいくつか並んでいる。
さらにのぼり、最上階へ。屋外の回廊からは市内が一望できてこの上ない絶景だが、手すりがあまり高くないので、はっきり言ってこわい。脚が震える。こわい、こわい。『インフェルノ』の冒頭のシーンが脳裏をよぎる。こわい、こわい、こわい。
外へ出て写真を撮ろうと言われたので、がんばって立っていたが、笑顔が引きつっているのがわかるだろうか。
しかし、高い場所が好きだという松原さんは、楽しげに回廊をすいすい歩いて1周している。こんなところで担当編集者に弱みを握られてしまった。
【フォーシーズンズ・ホテル】
恐怖の塔からほうほうのていで脱出し、つぎはラングドンとキャサリンが泊まっていたフォーシーズンズ・ホテルへ。
こんどはホテルの担当者の女性が案内してくれる。
春ぐらいまではSOSとのジョイント企画をやっていて、宿泊者はダン・ブラウンのサイン本をプレゼントされるらしい(うらやましい!)。
ロビーはこんな感じ。ラングドンがあわてふためいて駆けこんだ場所だ。
左奥にある彫像は、昨夜の〈共産主義の犠牲者たち〉と同じ作者のものだそうだ。言われてみれば、たしかに似ている。
ラングドンとキャサリンが泊まったロイヤルスイートを上から見るとこんな感じ。作中にあるとおり、本館とつながった離れになっている。残念ながら、きょうは宿泊客がいるので、中は見せられないという。SOSが日本で爆々売れしたら、ご褒美に再度のプラハ旅行でここに泊まらせてくれるかもしれない、と願掛けをする。
ラングドンが飛びこんだヴルタヴァ川はこれ。写真ではわかりにくいが、部屋からゆうに10メートル近く離れている。全力で助走をつけても飛びこむのはなかなかむずかしいが、超人ラングドンのことだから軽々とやってのけたのだろう。
ラングドンがベーコン味のカクテル、キャサリンがボヘミアンアブサンを飲んだ、というか、飲まされたバーはここ(24章)。ベーコン味のカクテルはかつて実在したそうで、写真を見せてもらった。もちろん、ここにはとびきり美味のカクテルが何種類もあるにちがいない。
最後にヴィートさんが、案内してくれた女性に "Are you in the book?" という意表を突いた質問をしたところ、答は残念ながらノー。ただし、とんでもないことをやらかしたラングドンに腹を立てたマネージャーについては、彼女の上司をモデルにしているのではないかと思われる節があるという。
いろいろ教えてくださって、ありがとうございました。
【ブックタワー、旧市庁舎】
夕食へ向かう途中、プラハ中央図書館の入口ロビーにそびえ立つブックタワーへ。8,000冊の本を接着して造ったものだという。中は空洞だが、上下に鏡が貼ってあるので、無限に重なっているように見える。
KADOKAWA の武蔵野ミュージアムのことを思い出し、つぎに日本に来たときはそこへ案内しますとヴィートさんに言ったら、大喜びしていた。
それにしても、息を呑むほど夜景が美しい街だ。
しかし、最後の写真の建物(旧市庁舎)の前を通ったとき、ヴィートさんが、これを見てバランスが悪いと思いませんか、と言った。建物の右側のほうが色がちがっているが、これは第2次大戦が終わるころにナチスとプラハ勢の戦いで焼けたのを、若い人たちに戦争の記憶を伝えるためにあえて修復せずに残したのだという。
ただ美しいだけでなく、ずっしりと歴史の重みが感じられる街だ。
少し時間が余ったので、お土産のためにガラス製品の店をちょっとのぞいたあと、夕食のレストランへ。
【夕食:420 restaurant】
夕食は420 restaurant で。420というのは国際電話でのチェコの国番号だ。
店内は無数の鳥が飛んでいるかのようで、ゆったりと落ち着いた贅沢な空間。疲れが癒やされる。
言うまでもなくここも美味だったのだが、メニューに Rooster Ramen なるものがあって、思わずメインのほかにこれを注文した(衝撃のあまり、メインで何を食べたかは忘れた)。ヴィートさんも初耳だそうで、自分でも注文していた。
そして出されたのがこれ。その場でスープが注がれたんだが……なんだ、これは?
英語のメニューによると、この料理は "Rooster broth with noodles, egg yolk, dumplings with shredded meat and smoked rooster with lobe" だそうだ。日本語訳すると、「雄鶏のスープに麺、卵の黄身、ダンプリング(水餃子みたいなもの)、薄切りの肉を入れたものに、耳たぶのついた雄鶏の肉の燻製を添えた」という感じか。
まあ、画像と照らし合わせて見ると、どれがどれだかわかる。スープはほぼ醤油味。麺も卵も、日本のラーメンではちょっとお目にかかれない代物だけど、味は悪くない。
しかし、横の雄鶏はいったいなんのためにいるんだ? 実はその場ではトサカそのものの唐揚げだと思って食べたんだけど、これ、最初からラーメンの上にのっければいいんじゃね?
ヴィートさんも、これはちょっと理解できないと言っていたので、この店だけの超レアなスペシャルメニューなんでしょう。楽しい珍メニューが好きなかたは、プラハへ行ったらこの店で食べてみてください。値段は450チェココルナ(1チェココルナは現在7.5円ぐらい)なので、自己責任でどうぞ。珍メニューはこれだけで、あとはふつうのすばらしいチェコ料理を堪能できます。
それはそうと、これまでの食事ではいっさいアルコールを口にしなかったヴィートさんが、きょうははじめてビールを注文。実はビールが大好物だが、仕事中は飲まないことにしていて、これがお別れの晩餐なので1杯いただくという。2日間、ユーモアを絶やさず誠実にガイドと通訳をつとめてくれたヴィートさんとの別れがほんとうに名残惜しい。
ヴィートさんは日本では静岡の三島のあたりに来ることが多いという。つぎの来日の折には、ぜひわれわれが東京でのガイドをつとめたい。
きのう書き忘れたことがひとつ。ヨーロッパではほぼすべての店でクレジットカードが使えるので、今回、あわただしい出発だったこともあって松原さんもわたしもまったく現金を持参しなかったが、ホテルのベッドメイクなどで若干のチップが必要になった。
1日目の夜は、ホテルにある両替機を使おうとしたが、日本の新紙幣に対応していなくて、たまたま1枚だけあった旧紙幣を使ってどうにかしのいだ。
2日目の夜は、街なかにある両替機がクレジットカードに対応していたので、それでチップ用の50チェココロナ硬貨を数枚手に入れた。
今後チェコへ旅行する人のために、ご参考まで。
ホテルに着き、ヴィートさんとお別れの記念写真。最高のガイドさんにプラハで出会えました。ありがとうございました。
監禁された翻訳者の手記──
『シークレット・オブ・シークレッツ』翻訳秘話
2025年11月6日に発売されたダン・ブラウン最新作『シークレット・オブ・シークレッツ』の翻訳秘話が詳細につづられた、翻訳者・越前敏弥氏の日記を大公開! ダン・ブラウン作品として原書の発売日から史上最速での邦訳刊行となった『シークレット・オブ・シークレッツ』は一体どのようにして実現したのか? 超貴重な翻訳者の仕事内容、進め方、興奮から心の葛藤まで、実際の日記でお楽しみいただけます。