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角川文庫キャラ文通信

【キャラホラ通信5月号】『准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る』刊行記念 澤村御影インタビュー

角川文庫キャラ文通信

怪異収集家の准教授と、噓を聞き分ける耳を持つ大学生の凸凹コンビが、日常の怪異を“解釈”する「准教授・高槻彰良の推察」シリーズ、待望の第2巻となる『准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る』が今月、角川文庫より刊行されました。作者の澤村御影さんに、本作への思いをうかがいます!

――「准教授・高槻彰良の推察」シリーズは、1巻刊行時から幅広い世代に大人気で、発売後には即重版もかかりました。本作が生まれたきっかけを教えてください。

澤村:デビュー作の『憧れの作家は人間じゃありませんでした』が3巻で一段落したので新作をという話になりまして、当時の担当さんと会議室に2時間以上籠もってネタ出しをしました。コンビもの・バディものがやりたいという希望は私から出しましたが、「男女と男同士ならどっちがいいですか?」と訊いてみたら「男二人ですね!」と担当さんが即答しまして(笑)。怪談・都市伝説系のネタにしたのは、ほぼ私の趣味……昔から怖い話が好きなんです。
で、二人で話し合って結構細かくキャラ設定を決めたんですが、いざ家に持ち帰ってプロットにしようとしたらどうにも上手くいかなくて。結局『バディもの』『怪談・都市伝説もの』という部分だけ残して、設定はまるっと作り変えてしまいました。プロットを提出するときは「怒られる、これ絶対怒られる……『なに勝手に変えてるんですか、あんなに話し合ったでしょうが!』って言われたらどうしよう……!」とドキドキしていたんですが、担当さんからはあっさりと「これでいきましょう」というお返事が。「別に変えてもいいんですよ、要は面白ければいいんです」という担当さんのお言葉に「おおお、なんて懐が深い……!」と感動したのを覚えております。

――そして今回、待望の第2巻『准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る』を刊行されました。新刊の読みどころはどこでしょうか。

澤村:今回、『噓を聞き分けられる』という能力を持つ尚哉の耳に異変が起こります。それによって高槻と尚哉の関係がどうなるのか、というのは読みどころの一つかと思います。コンビものとはいえ「普段から常に一緒、何でもわかり合ってる二人」というわけではないので、二人の関係は今後もちょっとずつ変化していくと思います。また、尚哉にとってはわからないことだらけの高槻の過去についても、少しだけ明らかになります。

――本シリーズには、たくさんの魅力的なキャラクターたちが登場しますが、澤村さんのお気に入りのキャラクターは誰ですか? 理由も教えてください。

澤村:それはやっぱり高槻ですね。この話のヒーローですし、物語の中心に立っている人でもあるので。ただこの人、実は結構書きづらくて……思考回路があんまり私に似ていないうえにキャラとしての自由度も高めにしてあるので、脳内会議してみたらこっちが言い負かされて思い通りに物語が進まないこともあります(笑)。
でも、読者様からの一番人気は、高槻ではなく佐々倉なんですよね……いただく感想がどれも健ちゃんびいきで、「出番少ないのになぜ!?」と叫びそうになりました。

――このシリーズを書くうえで、大切にしていることは何でしょうか?

澤村:この物語で扱う怪異は本物の怪異とは限らず、特に1巻では人為的なものだったというネタが多かったんですが、「では、なぜそんなことになったんだろう」の部分を書くときには、人の心の闇のようなもの、後ろ暗い部分をどうしても書かざるをえません。でも、一方から見れば汚く見えるものも、別の方から見ればまた違う形が見えてくるかもしれません。たぶんこの世の出来事の多くはそんな風にできていて、見る人によって、解釈する人によって、その姿や意味を変えていくのではないかと思います。どこかに救いのようなものがある、そんな解釈ができたらいいなと思いながら書くようにしています。

――なるほど! これからの展開もとても楽しみです。最後に、読者の皆さまにメッセージをお願いします。

澤村:1巻を世に出す前は「これ売れるのかな……」という不安で一杯だったのですが、幸いなことに多くの読者様に愛していただけて、こうして2巻を出すことができました! 本当に本当にありがとうございます! これからも高槻と尚哉の凸凹コンビをどうかよろしくお願いいたします。



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