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レビュー

天使と悪魔、魔女にUFO。あらゆる「兆し」が終末に向けて暴れ回る痛快コメディ。『グッド・オーメンズ』

【朗読つきカドブンレビュー】


 カドブンを訪れて下さっている皆様、こんにちは。
 毎月カドブンからはレビューブックリストなるものが送られてきて、そのリストの中からレビューを書く本を選ぶのですが、今回そのリストを見てビックリ。
 自分がイギリスに住んでいた20代の頃に出会い、英語の原書でなんども読み返した一冊が入っているではありませんか!
 そんなわけで今月はなんとも思い出深い一冊、『グッド・オーメンズ』の日本語訳を紹介したいと思います。

 天地創造が行われてから6000年、人間界を舞台に小競り合いを続けてきた天国と地獄との間に、ついに善と悪の最終戦争「ハルマゲドン」が起ころうとしていた。
 最終戦争の後に待つのは永遠の天国か永遠の地獄。
 さまざまな終末の「兆し」が現れる中、人間界に派遣されていた天使のアジラフェールと悪魔のクロウリーは、人間界を破滅から救うべく「ハルマゲドン」を止めようと立ち向かう!
たまりませんねえ。
 大好きなんです、こういう話(笑)。
 オーメンというと悪魔の子ダミアンが主人公のホラー(?)映画を思い浮かべる人もいると思いますが、本来の意味は「兆し」。
 世界の終わりを前に「グッド・オーメンズ=いい兆し」ってどういうことだ?!
 って思うかもしれませんが、これはちょっとした皮肉というか、ブラックユーモア。
 そんなタイトルから推し量れるように、この作品はコメディーとなります。

 さてさて。
 自分がイギリスに住んだり、ヨーロッパを旅して感じたのは、いかに彼らが文化や歴史を培い、波及させてきたかということ。
 建築物や絵画はもちろん、憲法や議会政治なんていう国家のあり方、使っているテクノロジー、その基礎となる近代科学、哲学、経済システムと、我々の暮らしや社会の中には、キリスト教文化圏の中で生まれ、世界に広まっていったものが数え切れないほどあります。
 ちょっと大袈裟ですが、そんな『グッド・オーメンズ』はまさに西洋文化の歴史や文化の結実といってもいいでしょう。

 と、小難しいことをいいましたが、天使や悪魔、反キリスト、地獄の番犬や四人の騎士、魔女と魔女狩り軍の軍曹、秘密地下都市シャンバラにUFO、原子力やアトランティス大陸と、ありとあらゆる「兆し」が終末に向かって暴れ回る痛快コメディーですのでね。
 是非ページを開き、最高の人類滅亡をお楽しみ下さい!


 最後に一つ。

 この『グッド・オーメンズ』はAmazon Videoで映像化されており、なんと5/31から配信予定なんだとか!
 しかも脚本を担当したのが筆者の一人であるニール・ゲイマン。
 共著者は文学への貢献でナイト爵を授与された世界的に有名なSFファンタジーコメディー作家、テリー・プラチェットですが、彼は残念ながら2015年に亡くなっています。

「今回の脚本は、テリーを観客だと思って書きました。彼が観たら満足してくれるかどうか、それが今回の自分の基準だったのです」

 ニール・ゲイマンはインタビューでそう語っていました。
 そんな作者同士の絆がいまだに残る「グッド・オーメンズ」、まずは原作を読み、その後に映像も楽しんで下さい!


書誌情報はこちら≫著者:ニール・ゲイマン/テリー・プラチェット 訳:金原 瑞人/石田 文子『グッド・オーメンズ 上』


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