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レビュー

壮大な旅路を歩んでゆく主人公に励まされ、恐れずに一歩を踏み出そう――『アルケミスト 夢を旅した少年』

【カドブンレビュー×カドフェス最強決定戦2017】

あなたの夢は何ですか。

このシンプルな問いにどれだけの人が胸を張って答えられるだろう。
その日を生き延びる事で精一杯。それどころではないと過ごしているうちに、いつの間にか見失ってしまう。いつも通りの日常を繰り返す事が当たり前になり、小さな挑戦でさえ段々と億劫になっていく…。

アルケミスト 夢を旅した少年』は夢に向かって歩んでいく事の尊さを思い出させてくれる作品だ。

物語はスペインの少年が同じ夢を二度見るところから始まる。その夢は、ピラミッドのそばに来れば、隠された宝物を発見できるというお告げだった。少年の名は「サンチャゴ」。神秘的な力を持つ年老いた王様の導きもあり、サンチャゴは夢のお告げを信じて、宝物を探す冒険の旅に出る。言葉も分からない初めての土地で、大砂漠の横断、オアシスをめぐる戦争といった試練を乗り越えていく。旅の道中、サンチャゴは「アルケミスト(錬金術師)」をはじめとした様々な人と出会い、人生とは何かについて悟っていく。

1998年にブラジルの人気作家、パウロ・コエーリョが記した本作は世界的なベストセラーとなっている。童話風の物語は、サン・テグジュペリの『星の王子さま』と並び称されるほどだ。少年が宝探しの旅に出るという親しみやすいストーリーの中に、どこまでも深い哲学的な言葉がちりばめられている。

まだ若い頃は、すべてがはっきりしていて、すべてが可能だ。夢を見ることも、自分の人生に起こってほしいすべてのことにあこがれることも、恐れない。ところが、時がたつうちに、不思議な力が、自分の運命を実現することは不可能だと、彼らに思い込ませ始めるのだP.28より

昨日と同じ今日がある。今日と同じ明日がある。それは思い込みだ。
本作でも平和だったオアシスが突如として戦場となる。
日常があっという間に崩れ、人生の終わりが唐突にやってくる。明日が来ないと分かった時、昨日までの生き方で後悔しないだろうか。

困難な旅の途中で、サンチャゴは何度も夢を忘れかける。しかしその度に、出会った人々の言葉で自らが進むべき道を思い出す。そして、旅路の果てに本当に大切なものを手にする。

広大な砂漠を渡っていくサンチャゴの勇敢な姿に、自分もまだ旅の途中だった事をふと思い出す。恐れずに一歩踏み出してみよう。どんなに困難な道だとしても、サンチャゴが歩んだこの物語が道標となり、目的地まで導いてくれると信じて。


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