カドブンノベルをご愛読いただいた皆様へ
2020年12月号をもって、いったん、カドブンノベルを休刊する運びとなりました。
ガラケーからスマホへ、PCからタブレットへ、時代もデバイスも、日々めまぐるしく変化している中、いつでも思いたったときに、自由に、好きなだけ、最旬の物語が楽しめるように。電子媒体だからこその、のびやかで勢いのある、チャレンジングな試行錯誤を、様々重ねてまいりました。そんな挑戦を面白がり、共鳴してご寄稿くださった作家の方々、そしてその物語を楽しみ、支持してくださった読者の皆様の存在に、あらためて深くお礼申し上げます。
脈々と築きあげてまいりましたこの大きな物語の流れと、培ってまいりましたデジタルの知見を活かして、さらに自由で驚きに満ち、パワーアップした媒体を、2021年春にはお届けできるよう、編集部一同、日々学びを深め、鋭意準備を重ねております。これからお届けすることになる物語にも、これまでと変わらぬ、あたたかなお気持ちを寄せていただけますように――再会を期しつつ、改めてお願い申し上げます。
長きにわたってのご愛読、本当にどうもありがとうございました。
カドブンノベル編集長
松崎夕里
今月のおすすめ
★特集「その境界を越えてゆけ」
境界線の先には、何が見えるのか。
自分で引いた線から自由になるためには。
ほんのちょっと軽やかに、
少しでも居心地よく生きるためには。
エンターテインメントの想像力には、無限の可能性があります。
小説
彩瀬まる/王谷晶/河野裕/こざわたまこ/近藤史恵/白尾悠/高殿円/津村記久子/寺地はるな/似鳥鶏/深沢潮/古内一絵/宮内悠介
エッセイ・読み物
佐藤亜紀/オカヤイヅミ/はらだ有彩/ぬまがさワタリ/出張版 野性歌壇
★新連載 月村了衛「白日」
千日出版の教育部門で課長を務める秋吉に衝撃的な情報が入った。
事業を率いる局長の息子が、謎の転落死を遂げたというのだ……。
第10回山田風太郎賞受賞作家、最新作!
著者より
『白日』、いよいよ連載開始となります。これは一体どういう小説なのか。
人間、生きて行くと色々あります。職場において、ときにはのっぴきならない選択を迫られることもあるでしょう。仕事か、家庭か。企業利益か、社会正義か。そうした状況に直面したとき、人はどう動くのか。あるいは動こうともしないのか。
これはあなたの物語であり、私の物語であります。そしてなにより、今の日本が直面している問題でもあります。
社会のありようを切り取ってみせる――それができれば本望です。
編集部より
先日、『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞した月村了衛さん、新連載です!
舞台は、教育関連の事業部を有する出版社。ある一大プロジェクトが進む中、主人公に衝撃的な情報が入ります。
真実がどこにあるのか不明な中、隠蔽を図るかのような会社上層部。管理職としてミッションや部下を守らねばならない状況と、亡くなった子を知っていた者としてあるべき感情に引き裂かれながら主人公は奮闘します。
組織の論理の中、いかに「人間」でいられるか――。主人公は、そしてあなたは、どう生きますか。
「人としてのありかた」に奥深く潜りながら、先が気になる展開に翻弄されるどエンタメ、開幕です。
今月のラインナップ
小説
赤川次郎/榎田ユウリ/櫛木理宇/小林泰三/真藤順丈/竹宮ゆゆこ/谷村志穂/中山七里/藤井太洋/藤野恵美/増田俊也/三羽省吾/宮木あや子/夢枕獏/米澤穂信
エッセイ・読み物
井上純一/今野敏/酒井順子/でんすけのかいぬし