文芸評論家の北上次郎さん(76歳)が、2023年1月19日(木)、肺がんのため逝去されました。
北上次郎さん(本名:目黒考二さん)は「本の雑誌」を創刊、「本の雑誌社」初代社長として活躍され、藤代三郎さん名儀で競馬エッセイも執筆されました。当サイトでも書評連載「北上次郎の勝手に!KADOKAWA」を2020年4月より連載していただいておりました。2022年11月30日付の「第33回・清水一行『小説 兜町』を50年ぶりに読む」が最終回となりました。
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たくさんの素晴らしい書評をありがとうございました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
北上次郎さんと長年親交が深かった編集者・宍戸健司氏(元KADOKAWA)に追悼のコメントをいただきました。
目黒考二さん、さようなら
目黒考二さんが、逝ってしまった。
目黒さんとは、僕が文芸編集者になりたての頃に知り合い、単行本や文庫本を幾冊も作ったが、文芸誌「野性時代」の「日本全国ギャンブル場巡り」という訳の分からない連載を企画して、毎月全国の公営ギャンブル場へ旅打ちに出かけて行ったのが昨日のことのようで忘れることができない。麻雀もよくやった。酒はシングルモルトをいつも飲んでいたが、麻雀になるとコーヒーに切り替えて朝まで卓を囲んだ。そして、とても強くて毎回勝ち頭だったと記憶している。また、本の話では好みが分かれ、激突したことも1度や2度ではない。目黒さんのお墨付きは、出版界では大きな勲章だが、本人が面白いと言ってくれても帯文用の原稿は必ず断る人であった。しかし、馳星周の『不夜城』の刊行の際には、その決まりを破って、帯のためだけのコピーを書いてくれた。
目黒さんは僕にとって、本の指南役であり、ギャンブルのお手本であり、いつでも話を聞いてくれるいい兄貴分でもあった。
目黒さん、締め切りのない世界で心行くまで本を読んで、そして思う存分飲んで打ってください。さようなら、そして、ありがとうございました。
宍戸健司