日本のおすすめミステリ小説10選
続いて、国内作家によるおすすめのミステリ小説をご紹介。ミステリファンにとって絶対に欠かすことができない作家、作品ばかり。今後何年にもわたり国内のミステリ史にさんぜんと輝き続けるであろう名作を、ぜひ読破してみてください。
1、横溝正史『獄門島』(KADOKAWA刊)
「じっちゃんの名にかけて」というせりふ が有名な、国民的アニメ「金田一少年の事件簿」。こちらは、その"じっちゃん"が主人公の作品です。1985年と2012年の2度、東西ミステリーベスト100の国内編1位を獲得するほか、幾度となく映画化・ドラマ化・舞台化がなされるなど、ミステリファンの間で長年熱狂的な人気を勝ち得てきました。
「誰もがその名前を知るミステリ界の巨匠・横溝正史さんの作品の中でも、5本の指に入るほどの名作です。敗戦直後を舞台とする骨太なストーリーに、俳句や歌舞伎といった要素を取り込み、重厚な世界観を作り上げています」(カドブン編集者U)
孤島で発生した連続殺人事件に金田一耕助が挑む
瀬戸内海に浮かぶ獄門島。南北朝の時代、海賊が基地としていたこの島に、悪夢のような連続殺人事件が起こった。金田一耕助に託された遺言が及ぼす波紋とは? 芭蕉の俳句が殺人を暗示する!?
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/199999130403/
2、東野圭吾『白夜行』(集英社刊)
「ガリレオ」シリーズでおなじみの東野圭吾さんが。同作では、ある事件の被害者の息子と容疑者の娘の19年に及ぶただならぬ関係性を描きます。2005年に舞台化、2006年にテレビドラマ化、また、国内外で映画化も果たしています。
「二人の主人公の19年間を描いたものでありながら、一切主人公の心理描写がないという異色の切り口で、読み終わって真相を知ってもなお、二人の心情を推し量ろうと何度も何度も読み直してしまいます。愛とも憎しみともつかぬ奇妙な、そして強すぎる絆で結ばれた主人公二人のほの暗い関係は、あなたの心に強烈な印象を残すでしょう」(カドブン編集者M)
少年と少女の異様な関係と緻密なストーリーが読者を翻弄する
1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々と浮かぶが、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と「容疑者」の娘・西本雪穂――暗い目をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別の道を歩んでいく。二人の周囲に見え隠れする、いくつもの恐るべき犯罪。だが、証拠は何もない。そして19年……。伏線が幾重にも張り巡らされた緻密なストーリー。壮大なスケールで描かれた、ミステリー史に燦然と輝く大人気作家の記念碑的傑作。
3、島田荘司『占星術殺人事件』(講談社刊)
アジアを中心に海外で作品が翻訳され「推理之神(God of mystery)」として世界的評価を受ける島田さん。同作はそんなミステリ界の巨匠・島田さんの渾身のデビュー作です。2011年には東西ミステリーベスト100で国内編3位を獲得し、2014年にはイギリス有力紙『ガーディアン』で「世界の密室ミステリーベスト10」に選ばれました。
「複雑に入り組んだ物語、至る所にちりばめられた謎に翻弄(ほんろう)されながらも、ページをめくる手が止まりません。結末が哀切な余韻を残す、不朽の本格ミステリ名作です」(カドブン編集者N)
海外でも高評価を受ける本格ミステリ
密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。彼の死後、六人の若い女性が行方不明となり肉体の一部を切り取られた姿で日本各地で発見される。事件から四十数年、未だ解かれていない猟奇殺人のトリックとは!? 名探偵・御手洗潔を生んだ衝撃のデビュー作、完全版! 二〇一一年十一月刊行の週刊文春臨時増刊「東西ミステリーベスト一〇〇」では、日本部門第三位選出。
(あらすじ:BOOK☆WALKERより引用)
4、湊かなえ『告白』(双葉社刊)
『夜行観覧車』(双葉社刊)や『白ゆき姫殺人事件』(集英社刊)など多くの映像化作品を抱える超人気作家・湊さんのデビュー作となる同作。2008年の小説推理新人賞を皮切りに、ミステリーベスト10で第1位、このミステリーがすごい!で第4位、そして、本屋大賞を受賞するなど、爆発的人気を誇りました。
「少し冷めたところのある女教師が、クラスの生徒に向かって淡々と語りかけるところからこの物語は始まるのですが、彼女の何気ない発言が後々に大きな伏線となり読者に衝撃を与えます。なんともじっとりとした後味の悪さは、まさに湊かなえ作品の真骨頂!」(カドブン編集者T)
衝撃的なラストが物議を醸した本屋大賞受賞作
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラー。
5、恩田陸『ユージニア』(KADOKAWA刊)
吉川英治文学新人賞や山本周五郎賞、近年では『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎刊)で本屋大賞と直木賞をダブル受賞するなど、受賞歴を数え上げれば枚挙にいとまがない恩田陸さん。旧家で発生した大量毒殺事件から十数年、捜査が困難を極める中、関係者たちの証言から事件の真相が浮かび上がるというストーリーです。
「青春群像劇からSFに至るまで幅広く手掛ける恩田さんの、第59回日本推理作家協会賞長編賞を受賞した屈指のミステリ小説です。事件関係者の語りで少しずつ全貌が明らかになっていく物語の進行や、恩田さんの持ち味である作り込まれた世界観が魅力です」(カドブン編集者U)
日本推理作家協会賞長編賞受賞、著者渾身の代表作!
あの夏、白い百日紅の記憶。死の使いは、静かに街を滅ぼした。旧家で起きた、大量毒殺事件。未解決となったあの事件、真相はいったいどこにあったのだろうか。数々の証言で浮かび上がる、犯人の像は――。
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/200711000367/
6、伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』(新潮社刊)
首相暗殺事件のぬれぎぬを着せられた男の緊迫した逃亡劇を描いた同作。2008年の本屋大賞に選ばれ、第21回山本周五郎賞を受賞し、堺雅人さん主演で映画化もされています。この作品が発表された当時、著者である伊坂幸太郎さんの集大成とも評されました。
「ビートルズの楽曲の名前でもある『ゴールデンスランバー』をはじめ、作中に同バンドの楽曲名が数多く登場し、ビートルズファンには二重に楽しめる作りとなっています。他にも、違う伊坂作品で登場した人物が脇役として出てくるなど、さまざまな遊びが仕掛けられており、一粒で2回も3回も美味しい作品です」(カドブン編集者M)
本屋大賞と山本周五郎賞をダブル受賞した代表作
衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない――。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。(解説・木村俊介)
7、有栖川有栖『双頭の悪魔』(東京創元社刊)
クローズドサークルものの定番「学生アリス」シリーズの3作目である同作は、1992年に発売されたものであるにも関わらず、今なお週刊文春ミステリーベスト10や東西ミステリーベスト100などに選出され続けている、ミステリ界の名作です。
「読者に向けて数多くの斬新な試みがなされた実験的な小説で、その魅力は時を経ても色あせません。シリーズの前作を読んでいなくても大丈夫! クローズドサークルの挑戦状、あなたも受け取ってみませんか」(カドブン編集者U)
クローズドサークルものの定番にして実験的なミステリ小説
娘を連れ戻してほしいのです――山間の過疎地で孤立する芸術家のコミュニティ、木更村に入ったまま戻らないマリアを案じる有馬氏。要請に応えて英都大学推理小説研究会の面々は四国へ渡る。かたくなに干渉を拒む木更村住民の態度に業を煮やし、大雨を衝いて潜入を決行。接触に成功して目的を半ば達成したかに思えた矢先、架橋が落ちて木更村は陸の孤島と化す。芸術家たちと共に進退きわまった江神・マリア、夏森村に足止めされたアリスたち――双方が殺人事件に巻き込まれ、川の両側で真相究明が始まる。読者への挑戦が三度添えられた、犯人当て(フーダニット)の限界に挑む大作。妙なる本格ミステリの香気、有栖川有栖の真髄ここにあり。
8、道尾秀介『向日葵の咲かない夏』(新潮社刊)
直木賞、山本周五郎賞、大藪春彦賞など、数多く受賞歴のある道尾秀介さん。本作もまた、第6回本格ミステリ大賞候補に選ばれ、100万部の売り上げを達成した人気作です。小学生のミチオは、終業式の日に亡くなり、あるものに姿を変えて「僕は殺されたんだ」と訴えるクラスメートの言葉を頼りに、事件の真相を追い始めます。
「気味の悪い世界観や、どこか狂気を感じる登場人物たちに恐れを感じながらも、ページをめくる手が止まりません。作品全体を通して仕掛けられたトリックに、最後は度肝を抜かれます」(カドブン編集者H)
不気味な物語に仕掛けられたトリックに驚愕する
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
9、鮎川哲也『リラ荘殺人事件』(KADOKAWAほか刊)
1990年には推理小説新人賞で鮎川哲也賞が創設されるなど、ミステリ界を代表する巨匠の一人、鮎川哲也さん。その鮎川さんの代表作ともいえる本作では、学生たちが訪れた別荘で連続殺人事件が発生。学生のコートとスペードのAが意味することとは? 名探偵が殺人鬼の正体に迫ります。
「同作の主人公である名探偵の星影龍三は、鮎川さんの生み出したキャラクターの中でもひときわ魅力的。秩父の山荘で突如として起こる連続殺人事件を、星影が解決するさまは爽快としか言いようがありません。探偵ものの王道と言えば本作!」(カドブン編集者F)
名探偵星影龍三登場、長篇本格ミステリー!
リラ荘を七人の芸大生が訪れた翌日から、殺人鬼の活動は始まった。老人が殺され、死体の横には学生のコートと、スペードのAが。それを機に別荘で次々と起こる殺人、凶悪無残な殺人鬼の正体とは?
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321502000218/
10、貴志祐介『硝子のハンマー』(KADOKAWA刊)
第58回日本推理作家協会賞受賞を受賞し、ドラマ『鍵のかかった部屋』の原作ともなりました。『悪の教典』(文藝春秋刊)などからイメージされるようなダークな世界観とは異なり、本作は謎解きを中心に据えながらもコミカルな雰囲気をまとっています。
「別解をひたすらつぶしていきながら進んでいくストーリーは、普段ミステリに慣れていない人でも推理の過程を頭に入れながら読み進めることができ、読者にとって非常に親切な作りです。じっくりとロジカルにミステリを楽しみたい人におすすめ!」(カドブン編集者M)
ミステリー界を仰天させた完璧無比の密室トリック!
日曜日の昼下がり、株式上場を間近に控えた介護サービス会社で、社長の撲殺死体が発見された。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、窓には強化ガラス。オフィスは厳重なセキュリティを誇っていた。監視カメラには誰も映っておらず、続き扉の向こう側で仮眠をとっていた専務が逮捕されて……。弁護士・青砥純子と防犯コンサルタント・榎本径のコンビが、難攻不落の密室の謎に挑む。日本推理作家協会賞受賞作。月9ドラマ『鍵のかかった部屋』原作!
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/200704000297/