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レビュー

【前編】孤独な少女の冒険が始まる――旅の終わりで待つはずの、今より強い自分を目指して。

【カドブンレビュー×カドフェス2017】

「カドブン」を訪れて下さっている皆様、こんにちは。
池内万作と申します。
普段は俳優をやったりコラムを書かせてもらっていますが、今回からここ「カドブン」で本の紹介をさせて頂くことになりました。
忙しいとついついおろそかになる読書ですが、これからは「カドブン」で定期的に本を紹介しなければなりませんからね。
いやでも本を読む時間を作らなければなりません。
控えめに言いますが、「激しく踊ってもいいかなあ」と思うくらい嬉しいです。
今後ともよろしくお願い致します。

さて、今回紹介するのは「カドフェス2017」のラインナップから、あきさかあさひ著『小説 星を追う子ども』。
原作者は小説家、去年の大ヒット映画「君の名は。」の監督でもある新海誠。
この小説は2011年に公開された新海誠原作・脚本・監督作品「星を追う子ども」のノベライズ作品となります。

主人公は人付き合いが苦手で、ちょっと生き辛さを感じている小学校六年生の女の子、アスナ。
そんな彼女がいつものように、一人で鉱石ラジオを聴こうとお気に入りの高台を訪れると(なかなか小学校六年生の女の子にしては寂しい趣味です)、「アガルタという国から来た」という謎の少年「シュン」と出会います。
アスナが心を開くことの出来た少年シュンは、翌日に死体で発見されてしまいます。
その翌日、アスナは学校の授業で「アガルタ」という名を聞くことになります。
シュンがやってきたというアガルタは、人間の死の秘密を司る地下世界、黄泉の国だというのです。
その後、地上の人間からアガルタを守ろうとする少年「シン」や、アガルタに伝わる神々の英智を求める「モリサキ」とともに、アスナのアガルタへの旅が始まります。
地下世界でアスナを待つ運命は?
旅路の果てに彼女は何を見るのか!?
そんな異世界を舞台にした旅の物語が本書『小説 星を追う子ども』です。

この本を読んで、改めて旅っていいなあ〜と唸りました。
自分にも──アスナのように小学校六年生じゃなかったし、物語の登場人物ほど根源的でどうしようもない苦しさを抱えてはいなかったかもしれませんが──何かを埋めるように必死に旅をしていた時期があります。
なんで人はわざわざ長くて辛い旅に出かけるんでしょう。
「ただ、目的地に向かう」という行為は、ややこしい日常に比べて遥かにシンプルで、生きる意義を見出しやすいからかもしれません。
あるいは、旅の向こうにいるはずの、今よりも強くてまっとうな「違う自分」に出会いたいからかもしれません。
自分の場合、いくら旅をしても自分はしょせん自分なんだと思い知らされましたが(笑)、そんな(ある意味)残酷な事実を知るのもまた旅の効能なのでしょう。
長い旅の末に、アスナ、モリサキ、シンの三人はどんな自分を見つけるのか、何を失い何を得るのか、そこは本を読んでのお楽しみです。
読書は「別世界への扉だ」なんて言葉があったような(なかったような)気がしますけど、皆さまも是非、ページを開けて扉を開き、アスナ達とアガルタへの旅へと出かけてみて下さい!

【後編】では池内万作さんの朗読レビューをご紹介いたします。


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