第22回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞し、実写映画化が決定した『記憶屋』著者の織守おりがみきょうやさん。角川ホラー文庫待望の新作は、霊感の強い中学生・春希を主人公に、響野家のまわりで起こる不思議な出来事を集めた怪談集です。満を持してのホラー作品に込めた想いをうかがいました。
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――『響野ひびきの怪談』が生まれたきっかけを教えてください。
織守:角川ホラー文庫なのに、そして日本ホラー小説大賞の読者賞なのに、「『記憶屋』、全然怖くない」という感想をよく見かけたので、次は怖いものも書きたい、と思っていたのですが、当時の担当さんに「『記憶屋』とあまりタイプが変わると読者が混乱するので」と言われ……他社からの依頼もほとんどがミステリで、ホラーの依頼がなかったので、「どこにも依頼されてないけど怖いの書きたい!」と思ったのが最初のきっかけです。

 ホラーも怪談も優れた書き手がたくさんいる中で、私が書く意味を考えたとき、それから、これまでの作品を読んでくださった読者さんたちにも届くものがいい、と考えたときに、シリーズキャラクターがいて、様々な怪異に巻き込まれる、怪談実話のような形式の創作を書こう、と思いました。
――創作とのことですが、もしかして、織守さんの実体験も混ざっているのでしょうか……?
織守:私自身はえないのですが、身内や友人の実体験から膨らませたものは、ええ、いくつか紛れています。中には、ほとんどそのまま書いたものもあります。実際には怪異が起きたわけではないけれど、こういうことがあった、と聞いた話から着想を得て怪談にしたものも含めたら、5分の1くらいは、完全なフィクションではないですね。
――どのエピソードが実話ベースなのかも気になるところです。今回は『記憶屋』のような長編ではなく、怪談集の形にされたのはなぜですか?
織守:バラエティに富んだ怪談を書きたいと思ったからです。

 角川ホラー文庫からも何冊も出ていますが、怪談実話というジャンルがありますよね。いろいろなタイプの怖い話がつまっていて楽しくて好きなので、それを創作でやりたいという思いがありました。

 まだキャラクターもできていない構想段階の話ですが、高橋葉介先生の漫画「学校怪談」の小説版のようなものをやりたい、と漠然と考えていました。「学校怪談」も、主人公が同じで、毎話違った怖いことが起きる、という形で、一つ一つのエピソードのクオリティも高いのに、それがこんなにたくさん読める(短編だから)! という贅沢さにわくわくした記憶があります。

 じっくり長編のホラーを読むのも楽しいのですが、怖い話って、あまり長いと怖さが薄れてしまいがちなところがあります。ずっと怖くて緊張感のあるシーンが続くと疲れてしまうとか、でも、休憩シーンを挟むとだれてしまうとか、難しいんです。短いページ数でスパッと終わったほうがインパクトがあったり、突然宙に放り出された感があって不安になったり、怖さを味わうには適しているのかなと思います。そういう、怪談ならではの余韻を何度も楽しめる本に……なっていたらいいな、と思います。
――たしかにいろいろな種類の怖さがつまっていて、お得感がありますね。短い話だからこその難しさや、挑戦されたことなどはありますか?

書籍

『響野怪談』

織守 きょうや

定価 648円(本体600円+税)

発売日:2019年02月23日

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