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「営繕かるかや怪異譚」シリーズ探索のおともに。


私家版・かるやかや観光マップ

企画・文:朝宮運河 地図制作:REPLAY(リプレイ)

建物や土地にまつわる不思議な事件を、極上の恐怖とともに描いた小野不由美さんの人気シリーズ「営繕かるかや怪異譚」(角川文庫)。この作品の舞台である「河口に位置する小さな城下町」は、小野さんが生まれ育った大分県中津市がモデルと推測される。そこで中津市をイメージした町の地図に「営繕かるかや怪異譚」1巻&2巻に登場する建物を配置し、「私家版・かるやかマップ」を作成してみた。恐ろしくも懐かしい、かるかやワールド探索のおともにどうぞ。(文:朝宮運河)

※本企画はフィクションです。実在の地図の地名と小説の舞台の舞台とは関係はございません。



①襖が勝手に開く家


①襖が勝手に開く家

「古い家並みの直中ただなかに残る典型的な町屋――いわゆる『うなぎの寝床』だ。間口は狭く、建物は奥へと長い」「生垣の端には小さな木戸がある。かつて、そこには絶対に近づいてはならないことになっていた。木戸の外は水路だったからだ」
(営繕かるかや怪異譚「奥庭より」)
祥子が越してきたのは奥庭のある古い日本家屋。「奥庭の向こうに見える家並みの上、曇天を背に黒々と城がそびえていた」とあるのが印象的だ。この家で祥子は、不思議な体験をすることになる。

②屋根裏に誰かがいる家


②屋根裏に誰かがいる家

「晃司の家は古い。藩政時代、上級武士が暮らしていたという町の一郭に、古色蒼然そうぜんとした屋敷を構えている。土塀に囲まれた敷地の中には、年輪を重ねた樹木が鬱蒼うつそうと茂り、その間に平屋の母屋と離れの座敷が棟を並べる」
(営繕かるかや怪異譚「屋根裏に」)
武家屋敷が建ち並んでいたエリア、ということで位置はこのあたりだろうか。「ねえ、屋根裏に誰かいるのよ」という晃司の母親の台詞から始まるこのエピソードは、古い城下町ならではの怪異が描かれる。

③喪服の女が現れる家


③喪服の女が現れる家

「古い城下町、いかにも似つかわしい石畳の袋小路、その突き当たり。木造平屋の小さな古屋だ」「石畳が敷かれた小路には人影がなかった。道幅は車一台がかろうじて通行出来できる程度、両側には土塀が続き、ほんの十メートルほど先で折れている」
(営繕かるかや怪異譚「雨の鈴」)
有扶子が暮らすのは、狭い小路が複雑に折れ曲がったエリア。「外堀を越えて城下に侵入した敵を迷わせるため」にあえて複雑につくられているという町並みが、尋常ならざる現象を起こしてしまう。これも古い城下町ならではのエピソードだ。

④老人の見える家(「異形のひと」)


④老人の見える家

「退屈で不便な田舎町。暗くて古い家、野暮ったい制服、おまけに学校までは浜風の吹く道を二十分もかけて歩かねばならない」
(営繕かるかや怪異譚「異形のひと」)
父の仕事の都合で、田舎町に引っ越してきた中学生の真菜香。彼女が暮らす家の位置ははっきりしないが、「低い生垣で区切られた隣の家の庭には、小さな菜園がある」というから、そこまで町中でもなさそうだ。この家で、真菜香はたびたび怪しい老人を目撃する。

⑤庭木が枯れる家


⑤庭木が枯れる家

「麻理子が生まれ育ったこの街は古い城下町だ。いまでは周囲の町村と合併してそれなりに大きくなっているものの、麻理子の実家も家も古い街並みの中――旧市街にある」「このあたり一帯、海抜ゼロメートル地帯だ」
(営繕かるかや怪異譚「潮満ちの井戸」)
麻理子の家の庭を覆う怪しい影。それは庭いじりに凝っている夫・和志が壊した祠のせいか。それとも古井戸に原因が? ガーデニング怪談ともいうべきこのエピソードでは、水辺の町というシチュエーションが重要な役割を果たしている。

⑥車が故障する家


⑥車が故障する家

「麻美の家は旧市街の縁のあたりに位置する古い集落の中にある。集落の周辺には田圃たんぼや畑が続いていた。農地の間を走る道こそ真っ直ぐに整備されているが、ひとたび集落の中に入れば道は細く、曲がりくねる」
(営繕かるかや怪異譚「檻の外」)
旧市街のへりあたり、という記述から位置を推測した。この暗い集落で、シングルマザーの麻美は恐怖に見舞われることになる。賑やかな中心地を少し離れると、広大な農地や雑木林が広がる、という眺めは多くの日本人にとってなじみのあるものだろう。

⑦三味線の聞こえる家


⑦三味線の聞こえる家

「実家は古い町並みの中にある古い町屋だった。小さな城下町の一郭にあって、かつては花街だったというが、現在ではその面影はどこにもない」
(営繕かるかや怪異譚 その弐「芙蓉忌ふようき」)
貴樹が暮らしている一帯は元花街だ。以前は置屋があり、現在でも料亭が営業している。そんな歴史の染みついた町と背中合わせにあるのが寺町。生と死が表裏一体となったエリアで、貴樹はこの世にはいない者に魅入られてしまう。

⑧鬼のいる神社


⑧鬼のいる神社

「佐代はその旧市街で生まれた。古風な町名が残る古い町だ」「その家があった町の一郭に、神社があったのだ。今となっては記憶もおぼろだが、参道の脇にあった八重咲きの紅梅が綺麗だったことは覚えている」
(営繕かるかや怪異譚 その弐「関守」)
運んでみると、神社の周囲にあった魚屋、八百屋、雑貨屋、クリーニング店などは姿を消し、隣の敷地が駐車場になっている。人の営みとともに、町も姿を変える。

⑨猫の訪れる家


⑨猫の訪れる家

「幸い、実家は祖父の代からの茶舗だった。早世した父親に代わって母親が店を引き継いでいる。小さな店だが、城下町のせいか、人口に比して茶道人口が多い」
(営繕かるかや怪異譚 その弐「まつとし聞かば」)
茶道人口が多いというのが、いかにも城下町。俊弘が住む茶舗は一階の手前が店舗、二階が住居スペースという昔ながらの造りだ。この家に猫がやってくる。息子の航は行方不明の飼い猫・小春が帰ってきたのだというのだが……。

⑩女の声が聞こえる家


⑩女の声が聞こえる家

「育が住んでいるのは古い長屋だった。城下町の一郭の古色蒼然こしよくそうぜんとした住宅街の奥。石畳の細い道に面した、小さな平屋が三軒連なった棟割り長屋の真ん中だ」
(営繕かるかや怪異譚 その弐「魂やどりて」)
築五十年以上という古民家を借り、自力でリフォームして住んでいる育。長年憧れていた生活を手に入れたはずだったが、彼女の心に陰が差し始める。こうした長屋スタイルの住宅も、今日では珍しくなった。

⑪水の臭いのする家


⑪水の臭いのする家

「尾端は建物を見上げ、そして家の左右を見た。一方は小さいけれど小綺麗な寺で、もう一方は築十年程度のアパートだった」「『あと――ここから少し行くと川沿いの堤防に出るんですけど、そこに大型ゴミを不法投棄するのを何度も目撃されて、そのたびに問題になってます』」
(営繕かるかや怪異譚 その弐「水の声」)
少年時代、水難事故で友人を亡くした弘也。友人の亡霊は大人になった今でも、彼を悩ませている。川のある町という舞台設定は、いくつかの印象的なエピソードを生み出した。「水の声」もそのひとつ。

⑫隠し部屋のある家


⑫隠し部屋のある家

「祖父が死んだあと、祖母が一人で暮らしていた家は古かった。最近では古民家などと言って、恰好かつこうの良い古い家が紹介されたりするけれど、そんな洒落しやれたものではない。大昔に建てた家を増築や改築で継ぎはぎして、単に古くて暗くて不便な家になっていた」
(営繕かるかや怪異譚 その弐「まさくに」)
小学6年生の樹が天井裏で見つけた、秘密のスペース。そこには誰かが隠れていた痕跡があった。古家に棲む者との共存を描く「まさくに」は、シリーズのエッセンスが詰まった名品。もっともこの家で暮らすのは相当勇気が要りそうだが……。


「営繕かるかや怪異譚」シリーズ



  • 営繕かるかや怪異譚 その参

    • 著者 :小野不由美
    • 発売日 :
    • 定価 :1870円(税込)
  • 営繕かるかや怪異譚 その弐

    • 著者 :小野不由美
    • 発売日 :
    • 定価 :792円(税込)
  • 営繕かるかや怪異譚 その弐

    • 著者 :小野不由美
    • 発売日 :
    • 定価 :1760円(税込)
  • 営繕かるかや怪異譚

    • 著者 :小野不由美
    • 発売日 :
    • 定価 :660円(税込)
  • 営繕かるかや怪異譚

    • 著者 :小野不由美
    • 発売日 :
    • 定価 :1650円(税込)




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