怠惰な俺が謎のJCと出会って副業を株式上場させちゃった話

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第六章 上場への長い道のり
1 その仕事は誰を幸福にするか、その仕事は……
あの夜以来、おれの中でIPOしたいという気持ちが、火花となってパチパチと音を立て始めた。翌週には、さっそく準備のための行動を起こした。上場の意志を固めた年をN−3期だとすれば、ここで直前々期(N−2期)、直前期(N−1期)、そして申請期(N期)、足かけ4年の物語に舞台を移そう。
文枝さんとの最初の出会いから10日ほど経過した梅雨の走りのある日、今度はおれと大沢の2人で会計事務所を訪ね、文枝さんに上場の決意を伝えた。
「上場の道のりは厳しいわよ。やっぱりやめた、なんてこともよくあるし」
と今度は牽制してきた。
おれと大沢は持参したパワポ資料で、手分けしてノベルビレッジの現状と未来を説明した。①紙の出版業界は右肩下がりだが、電子書籍市場は成長著しく、だからこそおれたちみたいな新参者のIT屋にチャンスがあること、②日本の電子書籍市場の8割をマンガが占めているが、幸い当社もマンガ投稿サイトとコミックスレーベルの立ち上げに成功して将来の成長が望めること、③これから着手するマンガアプリ事業とVRノベルには莫大な資金が必要で、そのためにはIPOと買収が不可欠だ──といったことを説明した。
「その仕事は誰を幸せにするか? その仕事は自分にとって楽しいか? その仕事は新しいか? 3つの答えが全部イエスだったらその仕事はやるべきことなんですよね。初めてお会いしたときに教わったこの3つの基準のことは、ずっと
とおれは身を乗り出した。
「そうね」
おれたちの資料の束をひらひらさせながら、文枝さんはうなずき、
「整備するところがたくさんあるとは思うけど、なんとかなるかしら?」
と言いながら、
「IPOの目標は3年後の2020年としましょう。ベンチャーだから当然市場はマザーズね。監査法人や主幹事証券会社はおいおい紹介するとして、まず大沢くんの下に準備室を作りましょう。早い時期にプロジェクトを発足させる必要があると思うの。まずはその要となる〝上場準備室〟を発足させることね」
と、まくしたてた。文枝さんによれば、プロジェクトはバーチャル組織とはいえ全社員を巻き込むからいろいろ痛みを伴う、組織間の
「いい人材がいるのよ。掘り出し物よ」
と片頰を歪ませた笑顔で紹介されたのが吉田真理子さんだった。