怠惰な俺が謎のJCと出会って副業を株式上場させちゃった話

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第二章 起業へ!
1 しおりの導き
ひとまず、その後のおれと江川とノベルビレッジの話をしよう。
「少し大人になった」と江川がおれを褒めてくれた。「続けるんだ」という意志を固めたら、ユーザーとの絆を大事にする心が芽生えた。
良三さんを訪ねてからひと月も経たずに『オーガスト戦記』の連載は再開された。物語は新しい展開となって、たちまち読者を引きつけた。すると、離れていた読者が戻った。ノベルビレッジはふたたび活況を呈した。
江川は、おれの提案するサイトの改変に積極的に取り組んで、使い勝手のいいサイトづくりに励んでくれた。投稿しやすく、また読者がお気に入りの作品を応援するコメントもあげやすくなった。数か月後には、広告収入が1桁アップし、黒字に近づいた。
『オーガスト戦記』は、その半年後、
書籍化に当たって、楽園舎の編集者とどんなやりとりがあったか、おれは知らない。しかし、出版に際して大幅に書き直されたことは確認できた。それはごこたいちゃんの指摘した通りの改変だった。この本はたちまち話題の新刊として、売れに売れた。ノベルビレッジはますます注目され、競って新しい作品が投稿されるようになり、そこに新しい読者がつく、という好循環が生まれた。さらに広告収入が増えたが、それと同様に回線使用料も上がり人手も必要となった。そこで3人の大学の後輩をバイトに雇った。経費がかさんだが、結局スレスレの黒字を維持できる程度にはなった。
このタイミングでおれと江川は、ノベルビレッジの法人化の検討に入った。会社を辞めて、副業を本業とするのだ。おれたちの教科書は、ごこたいちゃんの残してくれた「しおり」だ。
しおりにはこうあった。
〈大切なことその1 好きなことを本業にしよう〉
ノベルビレッジのサイトのプロフィール欄を読むと、お2人は副業として個人事業でこのサイトを運営されていることが分かります。それでも立派に〝起業を果たした〟と言えますが、いまは法人化して本業として取り組む〝真の起業〟のチャンスがやってきたと思うべきです。
ノベルビレッジはいま進むか退くかの正念場です。やめてしまうならそれもよし、しかし、『オーガスト戦記』が再開されれば閲覧者も投稿者も増えるでしょう。そうなれば回線も増え、サービスの向上が求められます。副業のままで続けることは難しくなるでしょう。いっそのこと法人化して副業を脱して本業としてノベルビレッジに専念するという選択肢はありませんか?
副業でもやっているのは楽しいからですよね。いっそ、好きなことをやって食べていきませんか。副業を本業にするのです。それこそ〝真の起業〟だと思います。
大人の世界で会社員を辞めるってリスクですよね。だけど人間、どのみち自分を元手(資本)に生きてゆくしかないんだから、いっそのこと楽しんだほうがいいように思います。
〈大切なことその2 自分の力で会社をつくろう〉
好きなことをやって食べていくために、会社をつくりましょう。
会社づくりは甘くないわ。あなたたちには、社会人としての振る舞いが求められます。まともな社会人やったことないでしょう?
「会社のことよく分からないまま社会人になった人」って、顔に書いてある。
会社づくりとその運営を自分たちでやってみれば、どういうものか、理解できるでしょう。
社名は? 会社の形態は? 本店の所在地は?
〈大切なことその3 会社をつくることは、大きな夢への第一歩です〉
でも、法人化が人生の目的ではないわ。法人化は、あなたたちの大きな夢の第一歩でなければいけません。ノベルビレッジの法人化がその夢の第一歩ね。あなたたちの大きな夢が何かは、わたしは知らない。あなたたちにも分からないかもしれない。きっと法人化の先に本当の夢が見えてくるわ。
〈大切なことその4 ヒト、モノ、カネをどうするか、という3つの視点で考えましょう〉
壁にぶつかったら必ず、ヒト(人材)、モノ(製品、サービス、情報)、カネ(資本、資金)という3つの視点から考えること。
──以上の4つが中学生のごこたいちゃんがおれたちに与えてくれたアドバイスだった。
強引だと思わないか? なんでも自分の思い通りになると思っている中2病的強引さの発露だろうか。だけどもおずおずとそのアドバイスに従おうとしている自分がいて苦笑い。
しおりの最後に、
「月に1度は報告してね♥ 見守っています」
とあった。
おれはその後せっせと月末に報告のメールを送った。「月次報告」ってやつ? 返事が来ることもあったが、来ないことのほうが多かった。