吉田:安定剤か、なるほどね(笑)。

綾野:撮影が進み、豪士として生きていくうちに“もう大丈夫だ”と思えたので、撮休の日に朝10時くらいからホテルで読み始めたら一気に最後まで読んでしまった。そうしたら、豪士の身体的特徴に“内股”と書いてあってびっくりしたんです。

吉田:原作を読まずに、自然と豪士の内股の役作りを?

綾野:ええ。脚本から人物を感じ取りつつ、修一さんならきっと、周囲から疎外されて自然と体がすくむというか、内股で内省が強い感覚の人物を描いたんじゃないかと想像して。初日から内股になっていました。だから、原作を読んだときすごく勇気が持てましたね。“あ、俺、間違っていなかったんだ”って。

吉田:瀬々(敬久)監督に相談は?

綾野:「内股にしていいですか」とはあえて聞いていないです。たぶん、監督も途中から気付いたんじゃないでしょうか。「あれ、あいつ内股じゃん!」って。

書籍

『犯罪小説集』

吉田 修一

定価 691円(本体640円+税)

発売日:2018年11月22日

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