衣笠:本当にはそこまで言ってないですよ。だいたいの話。僕はどうしても勝ちたかったら、そのためにどうにかしたかった。1975年に負けていますからね。江夏を冷静にしないと勝てないと思った。いい状態にしなくていい、ふつうにするために声をかけた。

犬塚:はい。

衣笠:負ける経験は75年にしているから、今度は日本一になる経験をしたかった。僕は、それだけだったよ。日本一っていうのは、なってみないとわからないことだからね。

犬塚:「江夏の21球」は、「その直後、江夏はベンチに戻り、うずくまって涙を流したという」という一文で終わりますが、衣笠さんはその後、江夏さんに声をかけましたか?

衣笠:話したよ。江夏は「おい、俺は来年何すりゃええんだろう」って言っていた。

犬塚:そうなんですか(笑)。勝っちゃったから何をすればいいかわからないと?

書籍

『江夏の21球』

山際 淳司

定価 907円(本体840円+税)

発売日:2017年07月10日

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