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連載

三羽省吾「共犯者」 vol.13

死体遺棄事件の発端は、二十七年前の出来事だった――。報道の使命と家族の絆を巡るサスペンス・ミステリ。 三羽省吾「共犯者」#13-1

三羽省吾「共犯者」

※この記事は、2020年2月10日(月)までの期間限定公開です。



前回までのあらすじ

弱小週刊誌『真相BAZOOKA』のエース記者・宮治和貴は、岐阜の死体遺棄事件を追っていた。富山県警の管理官で幼馴染の鳥内は、布村留美という女性が犯人でほぼ間違いないと取材の中止を促す。大手週刊誌が布村を犯人と決め付け報道する中、父から事件の被害者は宮治の弟・夏樹の実父だと明かされた宮治は、捜査状況を探るため、再び鳥内を訪ねる。鳥内は夏樹の事件への関与を否定するが、宮治は違和感を覚える。やがてある可能性に気付き……。

詳しくは 「この連載の一覧
または 電子書籍「カドブンノベル」へ

 六

 くめはらに会ってから、みやかずは生前のごうゆうを知る人物から話を聞くように努めた。
 二度の服役のきっかけである暴行と傷害、詐欺と恐喝の被害者に会い、障害年金や生活保護の不正受給に絡んで、佐合と直接やり取りをした人々からも話を聞いた。
 誰にとっても思い出したくない過去のようで皆口は重かったが、佐合の口調、服装、態度、ちょっとした仕草などを聞くだけで、彼の人物像が以前よりも数段明確になったような気がした。
 養母である佐合こずにも会った。もつとも介護施設で寝たきりの状態である本人から話を聞くことはかなわず、代わってめいぬくさくらが知っている範囲のことを教えてくれた。
ほとんどは、後で分かったことですけど」
 そう前置きして、貫井は佐合がいかにひどい人間であったかを訴えた。
 三十年以上前に夫を亡くし、子供もいなかった伯母・佐合こず江は、佐合優馬が養子になった時点で認知症がかなり進行しており、恐らく本人はなにも分かっていなかった。
 住んでいた土地と建物を佐合優馬によって売り払われ、夫がのこしてくれていた賃貸アパートも現金に換えられた。その時点で親戚筋に悪いうわさは出回っていたが、誰も深く関わろうとしなかった。
「まぁ、家やアパートを売り払ったお金で伯母さんを施設に入れたことは、縁遠くなっていた親族としては感謝すべきなのかもしれませんけど。でもそれにしたって、あいつが手にした額からすれば、随分と安い施設に入れたというのが私達親族の意見で……」
 はっきりと浮かんで来ていたはずの佐合優馬の人間像だが、その輪郭がぼんやりとにじんでいくような気がした。
 そんな、直接記事にする予定のない取材を続けているうちに、『真相 BAZOOKA』夏の合併号が発売された。

#13-2へつづく
◎第 13 回全文は「カドブンノベル」2019年12月号でお楽しみいただけます!


「カドブンノベル」2019年12月号


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