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連載

赤川次郎「三世代探偵団3 生命の旗がはためくとき」 vol.15

事故騒ぎに巻き込まれる中、エレンはあることに気付き……赤川次郎「三世代探偵団3 生命の旗がはためくとき」#10-2

赤川次郎「三世代探偵団3 生命の旗がはためくとき」

※この記事は、2020年2月10日(月)までの期間限定公開です。

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「どうなってるの?」
 と、エレンは玄関へ出て来てぜんとした。
 ホールの床にマットレスを敷いて、何人もけが人が寝かされている。そして、近くの病院から駆けつけて来たという看護師が手当に当っていた。
「早く病院へ運べと言ってるんだが……」
 と、松山は汗を拭った。
「こんなこと……。まさか、小林方の手じゃないわよね」
 と、エレンは言った。
「俺もそれは気になってるんだけど……。だが、けが人は本当にけがしてるしな」
「救急車は?」
「この辺じゃ、そう何台もないらしい。ピストン輸送で、病院へ運んでるようだが」
「用心してよ」
 と言って、エレンは、「社長に話して来るわ」
 廊下を戻りかけたエレンは、隅に置かれていた台車につまずきそうになった。
「危いわね!」
 と、文句を言ったが、何しろのせてあるのは武器の入った布袋だ。
 しかし、エレンはふと包みの一つを見て、
「──これは?」
 と、手に取った。「軽いわね」
 開けてみて、目をみはった。──女性の着替えだ。
「──香さん!」
 エレンは駆け出した。
 香の部屋へと駆け込む。
「香さん!」
 いなくなっていることはすぐ分った。ケータイの充電器がいつもの所にない。

「香が出て行っただと?」
 大崎は啞然として、「こんなときに、一体どこへ行ったんだ?」
「分りません。ただ──」
 と、エレンがためらう。
「何だ?」
「香さんは恋をしておいでです」
「だからといって……。相手は?」
「そこまでは……。ともかく、この騒ぎにいやけがさして、家出されたのかも」
「しかし、もし小林の手下にでも捕まったら大変だぞ」
「申し訳ありません。私がもっと──」
「今さら言ってどうなる! 玄関前の騒ぎで人が出入りしているからな」
「すぐに捜します」
「頼むぞ。小林の連中に知れないようにしろ」
「かしこまりました」
 エレンは大崎の部屋から飛び出した。

#10-3へつづく
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