香港の高校生、自称天才アーティスト、英才(インチョイ)。
絵の具やカンヴァスを買う金もなく、工事現場からくすねてきた刷毛とペンキで床一面の新聞紙に「作品」を描く。
そんな彼のもとに、一通のメッセージが届く。
――たった一枚の絵で、世界を変えてみないか?
それはとてつもなく不思議で、心躍るメッセージ。差出人の名は〈anonyme(アノニム)〉。
学生たちによる反政府デモに沸く、10月の香港で開催されるオークション。そこに超目玉作品として登場する、抽象表現主義の旗手ジャクソン・ポロックの幻の大作「ナンバー・ゼロ」。
超一流の美術品を、手段を選ばず蒐集し続けるという昏い欲望のままに、落札を狙う富豪〈ゼウス〉。
それが〈ゼウス〉の手に渡る前に、贋作とのすり替えを目論む謎の窃盗集団〈アノニム〉。
急速に成長するアジアのアートマーケット。交差する巨万の富と美術品。更新し続ける最高落札額。わずか数分で数億ドルが流動する舞台。優雅な狂乱の裏で展開する、貌の見えない〈アノニム〉と〈ゼウス〉の駆け引き劇が、英才の才気と絶望によって疾走する。

書籍

『アノニム』

原田 マハ

定価 1620円(本体1500円+税)

発売日:2017年06月02日

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