いくつか新たな発見がありました。
 山岡鉄舟が、西郷の元に勝の手紙を届ける、あの見せ場。
 「西郷どん」や、他のドラマ、映画、小説などでも、必ずアクションシーンとなる場面なのですがこれは史実ではありません。
 幕府側にとらえられていた薩摩の男が、勝の気持ちに賛同し道案内を買って出て簡単に西郷に会えてしまいます。
 あえて、史実通りに描いたのは、たぶん、西郷の度量の深さを際立たせる演出でしょう。
 作者は、いたるところで、これをやっております。
 とくに、前半から中盤にかけては見せ場の連続。
 二人の会談ですが、二人で江戸城の中でやったと思っていたのですが。
 じゃなかった。
 江戸の端っこでやってたのです。そりゃ当然、まだ、戦争中なのですから、江戸城に入れるわけありませんよね。
 背景にある二人の駆け引き、イギリスのパークス大使の存在、榎本武揚の幕府の軍艦。
 勝は、手持ちのカードを駆使し、密偵に情報収集させ、まるで、現代の外交場面のように戦います。
 すごいハラハラドキドキの展開。
 この物語の2つ目の魅力は、ここ。
 二人の麒麟児の背景にあった事情です。
 江戸無血開城の後は、少しトーンダウンするのは、勝海舟が歴史のキーマンではなくなったからですが、幕府側の視点から見た色んな人の思惑、行動、大義はなかなかに面白かった。
 300ページが、あっと言う間に過ぎていきました。
 おもしろかったです。


☆m181 さんレビューページはこちら→https://www.honzuki.jp/book/272699/review/219582/(本が好き!)


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