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>>第1回『戒名探偵 卒塔婆くん』
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第2回のベストレビューは、m181さんの『麒麟児』に決まりました。m181さん、ありがとうございました。



勝海舟がすごすぎる。たぶん、作者の冲方丁さんは、勝の大ファンだと思う。スリリングな展開で、江戸城無血開城の裏側が描かれていました。

レビュアー:m181 さん
 この本のタイトルは「麒麟児」と言います。
 この麒麟児は、二人の人物を指し示しています。
 江戸無血開城について会談した官軍と幕軍の代表、
 勝海舟と西郷隆盛のことです。
 この当時は、勝阿波守と西郷吉之助だったと思うのですが、僕は後の定着した呼称である海舟と隆盛と呼びたいと思います。
 雑誌の「野性時代」で連載していたのは知っていました。
 知り合いが、あの雑誌のファンで「勝が、とにかく、かっけー」と連呼していたのを覚えています。
 その理由が、この本を読んでわかりました。
 この物語の勝海舟は、もはや、超人ですよ。頭脳明晰、行動力がすごく。
 人格まで尊敬に値するような人なのです。
 実際には、こんな完璧な人間はいないと思います。
 冲方さんは、かなり話しを盛っている可能性あり。
 この勝海舟のカッコよさが、この物語の軸になっており、
 とにかく、読ませます。どんどん、引き込まれていく。話しがおもしろい。弱者の駆け引きとか、そういうのがハマりました。
 お前は諸葛孔明かと、つっこみを入れたくなるほど、すごい。
 そして、相方の西郷さんもすごい。
 この二人の時代の寵児が、とてつもなく魅力的に描かれています。
 もう、それだけで読む価値ありの作品でした。
 西郷のことを、「小さく打てば小さく響き、大きく打てば大きく響く」と評したのは、かつて勝が手足のように使い、頼った末、京の一角で暗殺された、坂本龍馬という土佐藩出身の浪人である。まったくその通りだと勝も考えていた。天下について問えば天下のことが、正義について問えば正義のことが、西郷の内より大きく響き出す。

p31

「勝安房守は、味方のなかには敵が沢山いるくせに、敵のなかには敵らしい敵がいない」
 という状況を作り出していた。それがあるいは勝をここまで生き延びさせ、そしてまた今の大役を背負わせることになった要因だろう。

p43


このように勝や西郷を深く掘り下げています。

書籍

『麒麟児』

冲方 丁

定価 1728円(本体1600円+税)

発売日:2018年12月21日

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