滝本:はい。だからこそ、僕は僕自身のためにも責任を取ろうとあがきました。なぜなら、実は僕自身がかつて「本を読む」という体験でものすごく幸せになったからです。僕の母は、僕を作家にしようと誘導していたみたいで、幼い頃からいろいろな本を与えてくれました。
 そのなかで、ある日読んだ『ドラゴンランス戦記』という物語にとてつもない衝撃を受けたんです。あれは、まごうことなく衝撃で、読み終えたときには僕は作家になることを決めていました。

──いくつのときでしょう。

滝本:当時、小学生でした。読み終えたときに現実に引き戻すのではなく、ものすごいプラス効果があって、こんな小説を書きたいと思ったんです。

──結果、2001年に作家デビューを果たします。デビュー作の『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』、続けて『NHKにようこそ!』は読者に広く迎え入れられました。

滝本:でも、そこが限界でした。本当はもっと読者を幸せにしたかったんですが全然足りなかったんです……。
 よく、作家は想像の翼を羽ばたかせ森羅万象を描くと言われますが、僕はダメでした。当時の僕はものすごく暗くて自分の持つ感情の幅の限界を超えることはできない、と思い知ったんです。だから共感してもらえても、ハッピーな気持ちにまで読者を連れていけなかった。書くためには僕自身がハッピーな気持ちを知らなければならない。だから修行を始めました。

自分が足らないと思い知ったから
ナンパを始めました

──どんな修行でしょうか。

滝本:ナンパです(きっぱり)。それまで他者に受け入れられたことがなかった僕は、その次に書いた『超人計画』のように、自分自身を改造しようと試みたんです。
 そこで、まずは他人と関わろうと決めて、外に出て女の子に声をかけることを始めました。もちろん最初はうまくいきませんでした。100人のうち100 人に無視される日々が続きましたが、だんだんと話を聞いてくれる人が現れて、最近ではときどきお茶をして楽しく話すことができるようになりました!

──「小説家になろう」と決めて実際になったこともですが、「ナンパしよう」と決めて、行動に移し成果をあげることがすごいです。

書籍

『ライト・ノベル』

滝本 竜彦

定価 1728円(本体1600円+税)

発売日:2018年11月29日

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