『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』に代表されるような、「アートと小説の融合」を目指す原田マハさん。最新作『アノニム』は、謎の窃盗団と無名の高校生アーティストが活躍する、新時代のアートエンタテインメント小説です。芸術の垣根を越えて、世界を縦横無尽に楽しむ術を伺いました。
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現代アートの源流、ポロック

──『アノニム』、一気に読みました。現代アートを題材に描いたスリリングな作品です。小説の構想はどのようにして生まれたのでしょうか。

原田:『アノニム』を構想したときのフレームは大きく分けて二つあって、一つは、アートをめぐるアドベンチャー小説。アート界のルパン三世とか、古いけど鼠小僧とか。

──義賊ですね。

原田:そうです。自分たちの私利私欲のためにアートを盗む泥棒はいるけれど、その逆はどうだろう。アートを使って世直し。そういうことをしている人たちを描きたいな、と。

──それがこの小説のタイトルにもなっている「アノニム」という謎のチームですね。

原田:最初にタイトルがあったんです。フランスの美術館で絵を見ていると、ときどきキャプションに「anonyme(アノニム)」と書かれたものがあるんですね。ちょっと古い作品に多いんですけど、作者不詳のことです。英語でいうとunknown。「アノニム」という語感がまず印象に残りました。それに私自身のなかに一つの大きなテーマとして「作者不詳」があったんですね。アート作品には作者がつきもの。作者がわかっているものこそがアートなのか、それとも作者がわかっていない作品でもアートといえるのか。誰も結論は出せないと思うんですけど。
 もう一つのフレームが現代アート。アートの義賊たちが挑むとすればどんな作品だろう。いろいろ考えたんですけど、その答えが現代アートだったんです。

書籍

『アノニム』

原田 マハ

定価 1620円(本体1500円+税)

発売日:2017年6月2日

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    書籍

    本の旅人2017年6月号

    角川書店編集部

    定価 100円(本体93円+税)

    発売日:2017年05月27日

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