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特集

【魔法の文学館】は「いちご色の世界」へ。内装工事が始まりました!-「江戸川区角野栄子児童文学館」開館プロジェクト 第12回

撮影:内山めぐみ

「江戸川区角野栄子児童文学館」開館プロジェクト 第12回
【魔法の文学館】は「いちご色の世界」へ。内装工事が始まりました!

角野栄子児童文学館建設の「山場」だったフラワールーフ(屋根)が完成して、次の山、文学館を象徴する「いちご色」の内装工事が始まりました。
2022年の暮れも押し迫った工事現場をレポート!

館内すべて、同じ「いちご色」に。

正面玄関から入ってすぐ、鮮やかな「いちご色」が目に飛び込んできました。
受付の壁の塗装作業でした。表面にフリップ(凸凹)が起きないよう職人さんが手でやすりをかけています。この作業後、「いちご色」を塗り重ねていくそうです。


受付の壁の塗装作業。


「いちご色」はアートディレクター・くぼしまりおさんによって基本色が決められました。館内の「いちご色」はすべて同じ色(素材による違いは別)。塗る人によって違いを出さないために仕様決定時のサンプルボードで色を確認しながら、塗り重ねにムラができないよう均一な力加減でローラーを使い、仕上げているとのこと。
文学館の「いちご色」は現場職人の“目”にかかっているのです。

建設前の候補色



現場で使用されているサンプルボード


※撮影時の光の加減で多少違って見えます。

「コリコの町の大階段」には、コリコの町並みが。

受付の横には、「コリコの町の大階段」が!
足場などが取り払われて、ようやく下から上まで見通すことができ、これまでの取材時よりずっと大きく感じられました。
末広がりの階段の右端にはコリコの町並みを模った「建物型手すり」の下地が設置され、小さな覗き穴も空いています。この部分は建物完成後、2月から乃村工藝社によって造形物として仕上げられていきます。


堂々とした大階段。右端には「建物型手すり」の下地が。

大階段のちょうど真裏側には、シアタールームやトイレができていました。
子ども用の小さな手洗い台があったり男性用トイレにもおむつ替えのベッドが設置されるなど、細かな配慮が感じられます。手洗いのカラン(蛇口)は角野栄子さんがこだわった特色で特注品。案内板は目の不自由な方にも使いやすいようエンボス仕様になっていました。


手洗いのカランも「いちご色」!

「閲覧スペース」も工夫がいっぱい!

「大階段」を2階に上がると、右手に本の「閲覧スペース」がありました。
子どもたちが座ったりもぐったりできる特製の本棚が大階段との仕切りとして設置され、
部屋の奥には階段状の本棚で上がる「小上がり」、その手前には大きなテーブルとそれを囲む小さな椅子が置かれる予定です。「大階段」や「閲覧スペース」を取り巻く造形デザインは、くぼしまさんが特に気を遣った部分でした。
そしてこの部屋に並ぶのは、角野さんが選書した子どもたちへのおすすめの本です。


大階段との仕切りになる大きな本棚。小さな窓が付けられて1階を見下ろせる。2月より乃村工藝社によって仕上げられる。


窓からは、建設前から公園にあった桜の樹が見えます。
樹の周りにはウッドパネルが敷き詰められてデッキになり、「閲覧スペース」から直接出入りできるようになるとのこと。


春には満開の桜が見える「閲覧スペース」に。建設前からあった自然を、できるだけ残すよう工夫された設計。


外光によって朝と夕では、「いちご色」の見え方も変わるそう。

建物の1階から2階3階まで丘の傾斜に沿って斜めに設置された階段は、吹き抜けになっており圧迫感がなく、あちこちの天窓から空が切り取られたように見えます。
子どもたちは「閲覧スペース」で手に取った本を、この階段に座って自由に読むことができるそう。素敵ですね。

有料スペースは「いちご色」、無料スペースは「白」で色分け。

館内の有料スペースの壁は「いちご色」、無料スペースの壁は「白」になる予定。
有料スペースは主に1階と2階部分で、3階のガラスの手すりで間仕切りされたカフェスペースは、入館料不要で利用できるそうです。エレベーターホールからカフェへの動線には、長いカウンターを設置予定で、2階で遊ぶ子どもたちを見ながら大人たちが休憩できるスペースに。


エレベーターからのスペース。出窓からは広く大きく景色を楽しめます。


文学館“推し“の「フラワールーフ」も、ここからはっきり見えます。

正面から外に出ると、周囲の景色がエントランスのガラスに映りとても清々しい感じでした。夜になると、館内が照明に照らし出されてそれも美しいそうです。夜も見てみたい!


ほぼ完成した正面入り口。

建物の地面が大きく変化。

敷地内にあった盛り土もずいぶん減っていました。
この盛り土は建設当初整地するために丘を掘削した時のもので、建物完成に伴い元の丘の傾斜を復活させる埋め戻しに使用されているのです。


現在の外観。下の写真と比べると地面がずいぶん高くなっているのがわかります。

館内はまだまだ未完成の状態ですが、ところどころに、角野さんの世界観を表す“いちご色”がお目見えするようになりました。壁面下の巾木はばき(壁と床の境目に取り付ける部材)部分だったり、扉の一部だったり。これから先、館内がどのように変化していくのか。ますます楽しみです!


このあたりまで埋められたことに。(第10回:2022年9月9日撮影)


この壁のラインから30センチ下くらいまで埋め戻されています。(第8回:22年7月27日撮影)

前庭の大きな滑り台は造園担当のクロス・ポイントが設計。デザインは隈研吾都市建築設計事務所、乃村工藝社の3社で共有し、角野さんにも意見を伺いながら進めているそうです。建物は1月完成、2月からは建物内什器の内装作業、造園作業は6月までかかるとのこと。


「ものがたりの丘」の大きな滑り台の基礎部分。


現在、現場には内装設備、塗装、照明、ガラス、サイン(表記)設置など最低でも40~50人くらいの職人さんが毎日入っているそうです。
基礎から取材してきた建設作業も間もなく終了です。
春になれば庭の桜が満開になり、中も外もピンクのグラデーションに染まる「魔法の文学館」になるでしょう。

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