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特集

【会員限定】伊坂幸太郎 幻の短編「マリアビートル・イントロダクション」

『マリアビートル』ハリウッド映画化記念
伊坂幸太郎、幻の短編が読める!

「小説 野性時代 2007年11月号」に掲載された単行本未収録短編「マリアビートル・イントロダクション」を、カドブン会員の皆様だけにお届けします。
※公開は期間限定です。予告なく終了する場合がありますのでお早めに閲覧ください。

▼【会員限定】伊坂幸太郎 幻の短編「Drive/イントロ」はこちら
https://kadobun.jp/feature/readings/c33hmhzqelw8.html

マリアビートル・イントロダクション

伊坂幸太郎

      1

 藤沢金剛中学校の二年三組、男子生徒の須藤望は、いわゆる同級生による苛めで死ぬことになった。クラスには三十名強の生徒がいて、そのうち男子生徒十名による苛めだった。
 最初は、不名誉な渾名あだなからはじまった。須藤望のこめかみ部には幼少の頃から黒いあざがあり、それが昆虫の触覚もしくは目に見えることから、「虫」と呼ばれるようになったのだ。「おい、虫」「虫けら」と面白半分に呼ばれ、須藤望ははじめのうち、「やめろよ」と抵抗を見せていたが、次第に、「虫」から「無視」を連想するからか、男子生徒から、無視をされることになる。机には、「虫は無視するに限る」と落書きがされ、須藤望は誰にも喋りかけられず、自ら話題に加わろうとしても、いないものとして扱われることになった。
 そのうち、授業中に座っているところに、鞄を投げつけられるようになる。黒板と教師のほうを向いていると鞄を、頭部にぶつけられた。男子生徒が交代で、投げていたのだ。鞄の所有者ははっきりせず、中には重い辞書や本が入っていたため、当たると重みで衝撃が強い。それが続くうち、須藤望はいつどこから鞄で殴られるかと恐怖を感じるようになり、席替えの際、教壇に一番近い最前列に移動となってからは、どこから投げられるか分からない不安で周囲をきょろきょろと警戒するようになり、教師から叱責を受ける。隙があれば、鞄は投げ続けられ、一度は中に鉄の玉が入っていたため鎖骨にひびが入ることになった。
 持参する弁当に、蟻やしょうじょうバッタの死骸が大量に詰められていたこともあった。ゴミ箱へ捨てようとしたところを、クラスメイトが見咎め、「すべて食べろ」と数人で押さえつけられ、口の中に無理やり入れられた。


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