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特集

安全第一で進行中! 鉄筋だらけの基礎工事の様子をレポート 「江戸川区角野栄子児童文学館」開館プロジェクト第4回

撮影/薮内努 取材・文/高関聖子(アンチェイン)


「江戸川区角野栄子児童文学館」完成イメージの模型


児童文学作家・角野栄子さんの功績や作品の世界観を伝える「江戸川区角野栄子児童文学館」が、江戸川区のなぎさ公園・展望の丘で建設されています。江戸川区がすでに基本設計を発表しているとおり、設計パートナーは日本を代表する建築家の隈研吾さん。いったいどんな児童文学館が完成するのでしょうか。2023年度の開館を目指して現在施工中の建設現場を取材しました。
普段は見られない建設現場の様子をこれからも定期的にレポートしていきますので、お楽しみに!

鉄筋の数は約30000本! 基礎工事の現場へいざ潜入!

江戸川区にあるなぎさ公園。ここでは現在、角野さんの想いが詰まった児童文学館の建設が始まっています。今回、工事の様子を説明してくださったのは、建築を担当するスターツCAM株式会社の営業担当の加藤秀章さんと施工担当の竹内勇磨さん。隈研吾建築都市設計事務所の監修のもと、基礎工事から完成までのすべての工事を請け負います。
児童文学館は、2021年10月下旬に着工し、現在は基礎工事中(2022年3月)とのこと。なぎさ公園の象徴でもある「展望の丘」の一部を掘削(くっさく)し、土台の上に鉄筋を組んで、建物の骨組みを作っている作業の途中でした。


現在の様子


工事開始前の様子

周りを囲む塀の規模や工事用の材料が高く積み上げられた様子にも驚きましたが、それ以上に驚いたのは、鉄筋の量! 児童文学館建設にあたり使用される鉄筋の総量はおよそ30000本とのこと。今回見学したのは、建物の土台となる「基礎配筋(きそはいきん)」という工程。太さや長さが違う鉄筋を図面通りにセレクトし、必要に応じてカットしたりしながら、着実に組み入れている様子が窺えました。


膨大な数の鉄筋が規則正しく配列されていて、その美しさに驚きます!

「配筋を担当する現場作業員は約10名で、毎日、安全第一と正確さをモットーに、鉄筋の組み立てを行なっています。今回の児童文学館の場合、建物の形も複雑なのでさまざまなメーカーから重量や形状の異なる鉄筋を仕入れて、それをパズルのように組み合わせて配筋しています。スピードと正確さの両立が大事な工程ですね」(加藤さん)


鉄筋の表面に凸凹があるのは、表面積を増やして後から流し込むコンクリートと絡めやすくするためなのだそう。


鉄筋に刻まれた謎の数字。これは鉄筋を製作したメーカーと鉄筋の経(太さ)と強度を示しているのだとか。「組み立てる位置によって、使う鉄筋の経や強度が変わります」(竹内さん)

ダブルチェック体制で、安全対策も万全!

この日の時点で、配筋工事はあらかた終わっており、スターツCAM株式会社の検査部の方たちがチェックをしている様子が見られました。これは、鉄筋の太さや間隔、本数などが適切に配置されているかどうかを一つひとつ設計図と照らし合わせて確認しているのだそう。こういう丁寧で堅実な仕事の積み重ねが安全で安心な建物を生み出しているのだと実感しました。


青いアウターを着ているのが検査部の方たち。図面と鉄筋を交互に見比べる姿は真剣そのもの。

各ポイントごとに、本当に一本一本数えては手元の資料に記録していく検査部の方の姿が印象的だったこの日。加藤さんは、検査についても語ってくださいました。
「たしかに、気の遠くなる作業ですね(笑)。ですが、これは建築の成功に関わる大事なところなので、絶対に欠かせない工程なんです。スターツでは、現場作業員によるチェックに加えて、あえてチェックだけを行なう検査部を設置しています。その検査部とのダブルチェック体制で、安全性の高い工事が進められているんです」(加藤さん)
また、今回の建築工事の難しさを聞いてみると、竹内さんはこう語ってくださいました。
「ただの四角形ではない、少し変わった形状の建物というのもあって、鉄筋の組み方は複雑なほうだと思います。美しい造形はこれらの基礎工事がしっかりなされてこそ。気を抜かずに、安全で丁寧な作業を進めていきたいと思います」


丘の上から大階段予定位置を見下ろした様子。土台の鉄筋がまるで迷路のよう。


カフェが設置されるあたりから撮影。実際のカフェは、旧江戸川の眺望が楽しめるそうです。

続けて、加藤さんと竹内さんは、隈研吾建築都市設計事務所との綿密な連携の重要さも語ってくださいました。
「スターツは、隈研吾建築都市設計事務所の管理のもとで現場での安全管理と円滑な工事を進めていますので、相互の連携が非常に重要となります。工事の進行と報告を毎週1回の会議で共有し、隈研吾建築都市設計事務所による現場チェックも欠かせません」(加藤さん)

そして、気になるこの後の具体的な作業工程について聞いてみました。

「配筋が完了した後は、コンクリートを流し入れて、土台を作ります。また、モックアップといって、実物そっくりに作られた原寸大の模型を現場横に組み立てて、仕上がりをイメージする作業に入ります。この原寸大モックアップでの確認という過程も非常に重要なんです。たとえば、設計図上で考えた材質や、壁の色が、実際の大きさになるとイメージと違うこともしばしば。それを原寸大模型で早めに確認し、修正が必要であれば設計図に反映してもらいます」(竹内さん)


よく見ると鉄筋と鉄筋の間にパイプが組み込まれている。これは、のちに配管が貫通するためのもの。

次回は、壁の素材感、屋根の形、色などを原寸大のモックアップ(模型)で確認していく様子をレポート予定。このチェック作業には隈研吾氏も参加するそう。ぜひ、楽しみにしていてくださいね!

「江戸川区角野栄子児童文学館」とは?

児童文学の傑作であり、世界中の子どもに夢を与えた『魔女の宅急便』の作者、角野栄子さん。50年以上にわたって創作活動に邁進し、これまでに生み出した作品はなんと250以上! その角野さんのゆかりの地である江戸川区に児童文学館が設立されることになりました。江戸川区が、児童文学の素晴らしさを発信するためのベースステーションとして建設を計画。現在、2023年の開設に向けて準備中です。建設場所は、総合レクリエーション公園「なぎさ公園」の展望の丘。江戸川区の自然に囲まれたこの場所で、新しく生まれる児童文学館にぜひご期待ください!
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e081/kuseijoho/keikaku/bungakukan/index.html


完成予想図


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